
キッチンカーって、開業資金が少なくて済むってよく聞くけど……。
実際に始めようと思ったら、一体いくらくらい必要なの?
車だけ買えばすぐ営業できるってわけじゃないんだよね?



「キッチンカー=安く始められる」って話、あれは半分ホントで半分ウソです。
たしかに小さな店舗を構えるよりは低コストですが
車両費だけで安心してたら、後から「え、こんなのも必要なの!?」ってなる人が多いんです。
- 開業にかかる初期費用のリアルな目安と内訳
- ローン・リース・補助金など資金調達の現実
- 見落としがちな「設備・保険・運転資金」の盲点



キッチンカー開業には、300万〜500万円の資金が必要です。
自己資金ゼロでもローンで開業可能な場合もありますが、運転資金が不足すると即撤退になります。
この記事では、車体費用の相場から、設備・保険・営業許可・融資まで、段階的に整理して説明します。
第1章|キッチンカーはいくらで買える?入手方法と価格帯の違い





まずは一番気になる「キッチンカーの本体価格」だけど、
ネットだと100万円以下の中古もあるし、300万円以上の新車もあるし……。
何が正解なのか、よくわかんないよな〜。



そこが第一の落とし穴です。
キッチンカーの入手方法は大きく4種類。
それぞれ費用もリスクも全然違うんですよ。
図にまとめると、こんな感じです。
🚚【比較表】キッチンカーの入手方法と費用の目安
入手方法 | 費用目安 | メリット | 注意点・デメリット |
---|---|---|---|
DIY(自作) | 50〜100万円+車両代 | コストを抑えられる可能性 | 保健所の基準が厳しく、許可が下りず 再依頼のケースも多い |
中古 | 50〜350万円 | すぐに始められる | 基準未対応・設備不一致・修理コストが発生しがち |
オーダーメイド | 150〜350万円(軽トラベース) | 設備・レイアウトを自由に設計可能 | オプションの押し売りや許可非対応の業者に注意 |
レンタル | 2万〜10万円/日 | お試し営業・イベントに最適 | 長期的には割高・自由度が低い |



2021年(令和3年)6月の食品衛生法改正以降、営業許可に必要な設備基準が全国統一化されました。
したがって、中古車を選ぶ場合は、必ず“改正後の基準に対応しているか”を確認すべきです。
非接触式の水道、3層シンク、200Lタンクなどが要件に含まれます。



へ〜、中古は安いけどリスクもあるんだな〜。
ちなみにオーダーメイドって、信頼できる業者はどうやって見つければいいの?



「営業許可取得を保証してくれるか?」
「保健所同行サポートがあるか?」
この2点を明記しているかで判断するといいでしょう。
あと、最低2〜3社は見積もりを取りましょう。
適正価格か見えてきますよ。
第2章|【徹底内訳】キッチンカー開業費用の項目別シミュレーション



キッチンカー本体の値段はわかったけど、
「車買ったら終わり!」ってわけじゃないよね?
他には何にいくらくらいかかるんだ?



そう、それが「想定外の出費地獄」のはじまりです……。
ここでモデルケースを使って、費用の全体像を見てみましょう。
📊開業費用のモデルシミュレーション(唐揚げメニューの場合)
車体費用 | 軽トラベース・オーダーメイド | 約300万円 |
調理設備 | フライヤー・換気扇・冷蔵庫など | 約30万円 |
内装・電装 | 照明・電源配線・換気装置 | 約20万円 |
給排水設備 | 3層シンク・給水タンク200L・排水タンク | 約20万円 |
営業許可取得費 | 保健所申請費用+食品衛生責任者講習費 | 約2万円 |
駐車場初期費用 | 月極契約2ヶ月+礼金等(都市部) | 約5〜10万円 |
運転資金(最低1ヶ月) | 食材仕入れ・燃料費・出店料など | 10〜20万円 |
その他備品 | 容器・消耗品・サインボード等 | 約5万円 |



開業資金とは別にPL保険(製造物責任保険)の加入を忘れずに
事故・食中毒のリスクをカバーする重要な保険ですが、加入が義務ではないため見落とされがち。
自治体の衛生協会で入れる「安心フード君」などが、保険料を抑えやすくおすすめです。



許可関係は軽く見てたけど、仕込み場所のことまで考えると手間もお金もかかるんだな……



車内調理だけなら飲食店営業許可だけでOKですが、
仕込みを別の場所でするなら、仕込み場所にも許可が必要です。
たとえば唐揚げ用の鶏肉を前日に捌くなら、施設基準を満たす別の許可物件が必要ということですね。
第2.5章| 業態別に違う!必要な設備と初期費用の目安



やっぱりメニューによって必要な設備って違うの?
唐揚げとソフトクリームじゃ全然違いそうだけど…。



おっ、いいところに気づきましたね。
そうなんだ、業態ごとに設備もコストも変わるから、ざっくりでもシミュレーションしておくと現実味が出てきますよ。



人気の業態ごとにおおよその開業資金の目安を7つ用意しました。
資金計画の参考にお使いください。
1.唐揚げ(揚げ物系)


開業費合計:400〜550万円
月間維持費:7〜12万円
(油・ガス・廃油処理)
設備・費用目安
- フライヤー:10〜25万円
- 換気フード・脱臭装置:10〜15万円
- 消火器・防炎シート:1〜2万円
- 3層シンク・給排水設備:20万円前後
- 冷蔵庫・保冷庫:10〜15万円
フライヤーを使うと火災リスクや臭い問題が大きいので、消火設備と脱臭装置の導入は必須!
2.クレープ・たこ焼き(調理工程が多い)


開業費合計:350〜500万円
月間維持費:5〜10万円
(消耗品・光熱費・ガスなど)
設備・費用目安
- クレープ機/たこ焼き器:10〜30万円
- 作業台・収納棚:5〜10万円
- 電源設備(ポータブル電源・バッテリー):15〜20万円
- 換気扇・換気ダクト:5〜10万円
- 3層シンク・給排水タンク:20万円前後
バッテリーや電源設備が重要!ブレーカーとの相性に注意。
3.カレー・丼もの(保温中心)


開業費合計:300〜450万円
月間維持費:4〜7万円
(消耗品・光熱費・ガスなど)
設備・費用目安
- 保温鍋・電気ジャー:3〜7万円
- IH調理器:5万円前後
- 食器棚・作業台:5万円
- 冷蔵庫(具材保存):10〜15万円
- 3層シンク・給排水設備:20万円前後
「仕込み→温めて提供」の構成にすればワンオペでも回せる。保温容器やカレーの保存方法にこだわろう!
4.お弁当・お惣菜(加熱済み販売)


開業費合計:250〜400万円
月間維持費:3〜6万円
(包材・衛生用品など)
設備・費用目安
- 冷蔵ショーケース:15〜20万円
- 保冷バッグ・簡易パック:3〜5万円
- レジまわり・梱包台:5万円前後
- 検温器・日報管理システム:3万円
- 3層シンク・給排水タンク:20万円前後
調理済商品は「製造業許可」が必要な場合もあるので、仕込み場所との兼ね合いに注意
5.カフェ・ドリンク専門(コーヒー・ジュースなど)


開業費合計:300〜450万円
月間維持費:3〜6万円
(豆・水・紙カップなど)
設備・費用目安
- エスプレッソマシン or ドリップ設備:15〜40万円
- グラインダー・ポット・ミル:5〜10万円
- 冷蔵庫・氷冷庫:10〜15万円
- 電源設備(バッテリー・インバーター):10〜15万円
- 給排水タンク・3層シンク:20万円前後
少人数オペレーションでも可。機材の清掃や水道設備の配置にこだわると提供効率UP!
6.ベーカリー・パン販売(調理なし)


開業費合計:250〜350万円
月間維持費:3〜5万円
(包材・雑費など)
設備・費用目安
- 陳列用ショーケース・棚:10万円前後
- 冷蔵庫(要冷品用):10〜15万円
- 包装資材・簡易レジ:5万円前後
- 給排水設備(最小限):10万円前後
- サイドオーニング(雨天対策):5〜8万円
本業のパン屋で製造したパンを販売するだけなら「菓子製造業許可+営業届出」でOKな場合も。
平日は店舗・休日・イベントは移動販売の2足のわらじスタイルもオススメ。
7.ソフトクリーム・ジェラート(冷菓系)


開業費合計:250〜400万円
月間維持費:8〜12万円
(電気代・食材)
設備・費用目安
- ソフトクリームサーバー:40万〜100万円
- 冷凍ストッカー:10万〜15万円
- ジェラートケース:20万〜50万円
- 電源(ポータブル電源 or 発電機):20万円〜
冷却系設備は電力消費が大きいため、発電機 or 高容量バッテリー必須!冬季営業は需要低下も考慮。



設備は単体だとそれほど高く見えなくても、積み重なるとすぐに数十万円単位になります。
さらに、その設備が“許可を取れる基準”を満たしているかが重要です。
第3章|リアルボイスで学ぶ資金感覚



ここからはよくある疑問としてキッチンカーの開業に関する質問にお答え致します。
第4章|自己資金が少なくても開業できる?資金調達の選択肢





開業に300万〜500万円かかるって言ってたけど、そんなお金すぐ用意できる人ばっかじゃないよね?
自己資金が少なくてもキッチンカーって始められるの?



もちろん、自己資金ゼロでもスタートできる方法があります。
キッチンカーの資金調達には、主に次の3つがあります。
🚚資金調達の主な方法
方法 | 特徴 | 注意点 |
---|---|---|
ローン | 自動車ローンのような感覚。審査も通りやすい | 信用情報にキズがあるとNG |
リース | 車体を借りて月額支払いで運営できる | 総支払額は高めになりがち |
融資(公庫) | 創業融資などを受けられる | 計画書や面談の準備が必要 |



ローン審査の通過率は「300万円以内」が一つのラインです。
信用情報(カードの延滞や携帯代の未払いなど)に傷があると審査に影響します。
また、融資を狙う場合は創業計画書の完成度が問われます。



じゃあ、少し貯金がある人でも全額は出さずにローン組むって人もいるの?



それが現実的なラインです。
たとえば…
総費用:450万円
自己資金:150万円
残り:300万円 → ローン
という形で「初期投資は抑えつつ、運転資金を残しておく」って考え方が理想的です。



運転資金がゼロだと、出店料や仕入れにすぐ困ります。
開業時に最低でも1ヶ月分(20〜30万円程度)は現金で確保しておくことを推奨します。



なるほど。買うだけじゃなくて、始めてからもお金かかるってことだね!
第5章|【見逃し注意】想定外にかかる盲点コストまとめ



あれ?まだ費用あるの?
300〜500万円で全部そろうんじゃなかったの?



おっと、それが甘い見積もりってやつでね。
実際に始めた人が「まさかこんな出費があるなんて…」って驚く、盲点コストがいくつかあるんだよ。
💡 盲点コスト一覧|見落とされがちな追加出費
項目 | 内容・注意点 |
---|---|
ETC・駐車場 | 車高が高く「中型車」扱いで割増になるケースあり。 立体駐車場で照明破損→弁償も… |
冬季営業の凍結対策 | 給排水タンクやポンプが凍結する。北海道などでは冬は営業不可エリアも |
ポータブル電源・発電機 | キッチンカーは電源ナシの場所が多く、自前で電源確保が必要。 20万〜50万円の出費も |
PL保険・任意保険 | ネット保険は不可のことが多く、代理店型の任意保険加入が必要 |
清掃・メンテ用品 | 防水じゃない車内は“水拭きNG”! 特殊な洗浄用品や清掃サービスが必要になることも |



特に「PL保険」と「水回りの凍結対策」は、寒冷地では致命的です。
営業許可を取っても、現場で動けないと意味がありません。
最初の設備選びや営業エリアの選定にも影響する要素です。
第6章|地域・営業形態によって費用はこう変わる



ねえねえ、営業場所とかメニューの種類で、かかる費用ってそんなに違うの?



うむ、これがけっこう違うのです。
都市部・イベント・常設出店では「場所代」がぜんぜん違うし、
提供メニューによって必要な「許可の種類」も変わるんです。
営業場所による違い(例)
出店場所 | 特徴 | 想定されるコスト |
---|---|---|
都市部(例:札幌駅前) | 駐車場代が高い、競合が多い | 駐車場:月3〜5万円以上 |
イベント | 出店料が高め。集客力は大きい | 出店料:1日1万〜3万円 |
公園・道の駅など | 地元行政の認可制。営業期間が限定的な場合も | 書類申請や年次契約費が必要な場合あり |
役所・庁舎前 | 平日出店向き。競合が少なく安定 | 市役所広場など:月1〜2万円程度 |
メニューによる許可の違い
カレー・からあげ | 飲食店営業許可のみでOK(200Lのタンクの設備必須) |
弁当(仕込みあり) | 飲食店営業許可+仕込み場所の許可 |
クッキー販売 | 菓子製造業の許可(※仕込み場所による)+営業届出 |
パックジュース販売 | 営業届出(梱包された商品をそのまま販売) |
まとめ|300万円で足りる人、500万円でも足りない人



キッチンカー開業は「夢が広がるビジネス」ですが、費用面では現実もちゃんと見ないといけません。
300万円で足りる人もいれば、500万円を超えても苦しい人もいる。
違いは「準備の丁寧さ」と「無理のない資金計画」にあるのです。
- 初期費用の目安は300万〜500万円
- 車体・機材・許可・駐車場などの内訳を明確に!
- 自己資金ゼロでも挑戦できる
- ローン・リース・補助金を活用して資金調達!
- 運転資金と盲点コストの確保がカギ
- ETCや保険、冬季対策、設備トラブルにも備えを



「初期費用」=スタート地点であり、「運転資金」=継続の命綱です。
どちらも揃ってはじめて、事業は安定します。



そっかー。じゃあ、夢見る前にちゃんと現実もチェックだね。
それなら次の記事で、どんな「儲かるメニュー」があるのか見てみたいな!
準備中