開業夜明け前

最終章|ものがたりに終わりはない

アカガネ所長

飲食店の経営は、どれだけ情熱を注いでも、市場の変化や予期せぬ出来事で、終わりを迎えることがあります。
でも、その経験は無駄になりません。
廃業は「終わり」でもあり、次の「始まり」でもあるんです。

甲斐承太郎

アカガネ所長

承太郎さん。
もし将来、すべてを失って“不幸”だと感じたとき、
なぜそれを“不幸”だと分かるんでしょう。

アカガネ所長

それは、あなたの中に“幸せ”を知っている部分があるからです。
夜があるから、朝がわかる。

アカガネ所長

人生が一冊の物語なら、どん底は――
クライマックスの真ん中かもしれません。

アカガネ所長

だから、どうか。
自分で筆を置かないでください。
まだ最終ページではありません。
暗いのは、明るい方へ向かっている途中かもしれない。
人生は、そうやって進んでいきます。

シマナガ

……たとえ、事業が行き詰まったとしても。
日本には、立ち直るための制度がちゃんとあります。
あなたが思っているより、ずっとたくさん。
再挑戦向けの融資。生活を立て直すための相談窓口。
雇用保険がなくても使える給付金や、再就職を助ける手当。
家賃が厳しいときの支援も――あります。全部、あるんです。
借金が苦しいときの整理だって、
任意整理、個人再生、自己破産。
「返せないなら終わり」じゃない。
順番があります。法的な手段があります。
廃業=終わり、ではありません。
「止まった人が、また歩き出す」ための仕組みが、
最初から用意されている。

シマナガ

私は、行政書士です。
申請書の書き方が分からなくても、大丈夫です。
私が隣で。いちばん側で。
一緒に考えて、書き上げます。
……あなたが、迷わないように。
困難に直面した人が、行政の支援を“正しく”受けられるようにする。
それが私…行政書士の使命です。

アカガネ所長

そして私の仕事は、飲食店開業という“夢の入口”を開くことです。
でも、夢が叶った瞬間がゴールじゃない。そこからが始まりです。
嵐の日は必ず来ます。
だから、ひとりで抱え込まないでください。
数字も、資金繰りも、方向転換も――
整理して順番にやれば、道は見えます。
あなたの努力が「失敗」で終わらないようにする。
それが、私の責任です。

甲斐承太郎

・・・!

甲斐承太郎

とても心強いよ。ありがとう!
ふたりに出会えたことにとても感謝しているよ。

あれから

甲斐承太郎

ついに念願だった脱サラを達成できました。
ありがとうございます!

アカガネ所長

おつかれさまでした。
経営者としてはこれからがスタートです。
無理をなさらずに頑張ってくださ…

シマナガ

ジュリリ、ジュリリ

アカガネ所長

てっ!?シマエナガくん!!なに、油断しているの!
元の姿にもどってるよ!!

シマナガ

所長こそ、最初から
ずっと顔だけ道産子のままでしたよ。

アカガネ所長

Oh mon Dieu!!
なんで言ってくれなかったの?
とりま…脱出!!

「……さて、今日もお便りのご紹介です。
今年も“雪の妖精”シマエナガの姿が観測されています。
札幌市内でも多くの目撃報告がありますので、みなさんも探してみてはいかがですか?」

──おしまい。