甲斐承太郎え、何?このタイトル……。
「脱サラ失敗の末路」って、縁起でもないよ



気持ちはわかります。
でもね、わたしたちの仕事は“挑戦する人の人生を背負う”部分もあります。
成功する人の影には、静かに消えていく人たちもたくさんいるんです。
今は開業の勢いに任せて突き進む時期かもしれません。
けれど、苦戦が続けば“撤退”という判断も、必ずどこかでやってきます。
そのときに慌てないために――いまのうちから「失敗しても生きていける道」を知っておいてほしいんです。
- 経営の不調が続いた場合の撤退ラインについて
- 精神的な回復を経て、再びビジネスや社会で活動する方法について
- 金銭的な問題を解決し、安定した基盤で再スタートを切る方法について



失敗しても、生きる方法はいくらでもあります。
店をたたんでも、人生はたたまなくていい。
大事なのは、終わり方を準備しておくことです。


第1章|失敗の末路は本当に悲惨なのか





実際、開業した人の3割しか3年後も残っていません。
でも“失敗”の原因は料理の味でも才能でもない。
多くは、「数字を見なかった」こと。



あるオーナーは開業に全資金を注ぎ込み、半年で資金ショート。
別の人は、半年間赤字でも動けるように運転資金を確保して、
最終的に軌道に乗りました。
違いは情熱じゃなく、見える数字なんです。



じゃあ、数字を見ていれば大丈夫?



数字は地図です。
情熱で走るのは自由ですが、地図を見なければ森に迷うだけ。
飲食店が失敗に陥る3つの構造
| パターン | 起こる理由 | 防ぐ方法 |
|---|---|---|
| 資金ショート | 開業費に全力投資し、運転資金が尽きる | 「開業費+半年分の運転資金」を確保 |
| コンセプト迷走 | 誰に売るかが曖昧で客層が定まらない | ターゲットと立地を数字で分析 |
| 宣伝軽視 | 「来れば分かる」と考えて広告費を削減 | 集客費を「家賃の1〜2割」で固定 |



情熱は燃料。
数字は制御装置。
どちらかが欠けると、進まないか、爆発します。
第2章|できるだけ痛手を負わずに撤退する方法





……もし、だよ?
うまくいかなくなったらどうすればいいんだろう。
閉店なんて考えたくないけど、頭の片隅ではずっと不安で。



その不安を持てているなら、すでに一歩リードしています。
撤退は「失敗」じゃなく、「再起動の準備」なんです。



たとえば、撤退を意識せずに始めた人は、
最後に借金や原状回復費で数百万円を失います。
一方で、最初から出口を設計していた人は、
損失を最小限にして、次の事業へスムーズに動けた。



承太郎さん、店を始める時に「始まり」だけじゃなく「終わり」を決めておく。
これが、経営者としての本当の覚悟です。



なるほど……
たしかに“撤退のルール”を作っておく方が、落ち着いて判断できそうだ。
「撤退ライン」を決める3つの基準
| 判断軸 | 内容 | チェックの目安 |
|---|---|---|
| 資金 | 手元資金が3か月分を切った時点で検討開始 | 月次のキャッシュフローを確認 |
| 売上 | 目標売上の60%を3か月連続で下回った場合 | 来客数と客単価を分けて分析 |
| 心理 | モチベーションより不安が勝ち始めた時 | 無理に続けず第三者の意見を聞く |



もし、この撤退ラインになってしまったらどうすればいいの?



焦らずに選択肢を整理しましょう。
撤退には“守り方”があります。
どんな状況でも、あなたの時間と資産を最大限に残す道はあるんです。
経営不振を乗り切る3つの撤退戦略
| 戦略 | 定義・概要 | メリット | 主な手続き・方法 |
|---|---|---|---|
| 居抜き売却による閉店 | 内装設備を含む事業の売却。 | 資産の一部回収、原状回復義務の免除など。 | オーナーの許可、売却相手の探索、造作譲渡契約の締結。専門の仲介が推奨される。 |
| 業務委託での営業継続 | 運営を他者に委託しながら、賃貸借契約を維持する方法。 | 運営の手間が省け、定期収入が得られる。委託先は初期投資を抑えられる。 | 契約内容の明確化、適切な委託先の選定、委託料の設定、契約締結。 |
| 業務転換で再スタート | 現ビジネスモデルの変更や新しい業態への転換。 | 新市場への参入、収益性の向上の機会。 | 新業態への転換、競合分析、ターゲット層の再定義、新たな投資とリスクの評価。 |



各戦略には法的な手続きとリスクがあります。
契約解除のタイミングや原状回復の条件など、
細かい条項を確認しながら動くことが重要です。



つまり、撤退も“戦略”です。
終わりを綺麗にできる人は、またすぐ次を始められる。
失敗は一度きりの壁ではなく、何度でも乗り越えられる階段なんですよ。



撤退を「怖い決断」だと思うから、みんな遅れるんです。
でも実際は、再スタートのための「安全装置」なんですよ。
飲食店を一度閉めた人が、次に成功する確率は意外と高い。
なぜなら、どこで止めるかを知っているからです。
第3章|飲食店が失敗する理由は、情熱より「準備不足」





……ここまで来るのに、相当準備したつもりだけど。
それでも、失敗する人が多いってこと?



ええ。実は、失敗の原因はとても単純です。
「準備の深さ」が足りないんです。
つまり、“考えたつもり”で止まっている。
- 開業資金をギリギリで組んで運転資金が尽きる。
- コンセプトがぼやけて誰に来てほしいか伝わらない。
- 宣伝を「SNSでなんとかなる」と軽視してしまう。



どれも特別な失敗じゃありません。
でも、この「凡ミス」が9割の店を潰します。



たしかに……どれもやりがちだな。
でも、どうすれば防げる?
飲食店が失敗する3つの落とし穴
| 落とし穴 | ありがちな誤解 | 解決の方向性 |
|---|---|---|
| 資金計画 | 「最初の半年で黒字化する」 | 開業費とは別に半年分の運転資金を確保 |
| コンセプト | 「自分が好きなメニューを出す」 | 客層・立地に合わせた需要分析を実施 |
| 集客 | 「SNSで話題になれば勝てる」 | 継続的な広告とリピート施策を設計 |



開業はマラソンのスタートラインです。
勢いで飛び出しても、ペース配分を誤ればゴールまで持ちません。
大事なのは、走りながら調整できる余白を残すこと。



情熱は必要ですが、
計画がない情熱は事故の前兆です。
第4章|数字で守る経営──感情ではなく現金を見る



ねえ所長。
やっぱり数字って苦手だよ。
料理がしたくてこの店を作ったのに、数字とにらめっこなんて性に合わない気がする…



その言葉、何度も聞きました。
でも、数字を避けた店ほど早く沈みます。
理由は単純。
お金が尽きるのは「売れなかったから」ではなく、「把握してなかったから」。



たとえば、目標にしている原価率30%を超えてしまったとしましょう。
その時、あなたは原因と対策をしっかり説明できますか?
毎月をしっかり棚卸しをして原価率を管理することで資金の管理ができるのです。



原価率とか数字をしっかり見れば、未来が読めるってこと?



そう。数字は嘘をつきません。
感情がブレても、数字は現実を見せてくれます。
月次決算をしっかりするだけで失敗を防ぐことができます。
失敗する経営者の多くは原価率の変動の説明ができません。
お金が尽きる前に見るべき3つの数字
| 指標 | 意味 | 危険サイン |
|---|---|---|
| 手元資金 | 現金・預金の残高 | 3か月分の経費を下回る |
| FLR比率 | 原価+人件費+家賃の割合 | 70%を超えると危険域 |
| 売上構成比 | 売上を時間帯・商品別に分析 | 主力商品の依存率が高すぎる |



数字を見ていれば、撤退も再挑戦も怖くありません。
この「現金を見る目」が、プロと素人の境界線なんです。



数字は冷たいようで、いちばん優しいです。
早く教えてくれるぶん、まだ間に合う。
第5章|失敗から立ち上がる力──終わりを始まりに変える



もし、この店がうまくいかなかったら……。
そのとき、俺はもう一度やり直せるのかな?



やり直せます。
失敗は終わりではなく、再設計のチャンスなんです。
挑戦した人にしか、次の挑戦はできません。
失敗後の3つの再起ルート
| 再起ルート | 内容 | 特徴 |
|---|---|---|
| ① 再挑戦 | 経験をもとに小規模で再開 | 固定費を抑えた堅実経営が可能 |
| ② 転身 | 飲食関連の別業種に就職 | 業界経験を活かせる |
| ③ 売却・M&A | 店舗やノウハウを他者に譲る | 損失を抑え、次の準備資金に転用 |
① 再挑戦──経験こそ最大の武器


一度失敗しても、すぐに立ち上がる人がいました。
例えば、最初は10坪の居酒屋で失敗した人が、
次は5坪の立ち飲みスタイルで再挑戦し、
原価・人件費を抑えて黒字化したケース。
再挑戦組の共通点は、「数字で考え始める」こと。
経験で得た痛みが、計画の精度を上げるんです。



なるほど……。
一度つまずいても、その分だけ目が肥えるってことか。



失敗はスキルです。
次の挑戦で、それが資産になります。
② 転身──“経営経験”はどこでも通用する


飲食業から離れて、関連業種へ転身する道もある。
たとえば、元オーナーが食材卸やレジ・会計システムの営業に転職し、
現場経験を活かして高い評価を受けています。
経営者経験は、会社員時代よりずっと強い武器です。
数字、接客、リーダーシップ、クレーム対応――全部、即戦力のスキルです。



「経営の失敗」が「ビジネスの授業」だったわけか。
そう思えば怖くないな。



一度“経営の現場”を知った人は、もう素人ではありません。
③ 売却・M&A──引き継ぐことで救われる店もある


意外に知られていませんが、個人店でもM&A(事業譲渡)は可能です。
居抜きで譲ることで、次のオーナーに店の価値を残せます。
たとえば、SNSで人気だったカフェが閉店を決めたとき、常連のお客様が引き継いで新オーナーになった例があります。
その結果、店は姿を変えても“記憶”として残った例があります。
「やめる勇気」も、「譲る勇気」も、どちらも立派な経営判断です。



店を守る方法は、“続ける”だけじゃないんだな。



バトンを渡すことも、挑戦の一部です。



大切なのは、“どう倒れるか”ではなく、“どう起き上がるか”。
失敗を怖がるより、失敗を使う。
それが経営者の成長です。



……怖さよりも、ワクワクが戻ってきた。
やってみたいって気持ちが、また湧いてきたよ。



その感情は正常です。
失敗を理解した人だけが、本当の挑戦者です。
第6章|傷口を小さくする撤退の技術──正しいお店のたたみ方





店舗面積1坪あたり15万円程度の撤退費用を覚悟しなければなりません。
店舗閉店に必要な主な費用と手続きをまとめました。
店舗閉店に必要な主な費用と手続き
- 内外装の原状回復費用
- 賃貸借契約に基づき、店舗造作物の解体・撤去費用が必要です。多くの場合、スケルトン状態への復帰が求められます。
- 地代家賃(解約予告期間分)
- 賃貸借契約に基づき、解約予告期間分の家賃を支払います。通常は6ヶ月程度が一般的です。
- 買掛金、未払金
- 営業中に仕入れた食材や備品の支払いが残っている場合、これらの費用を支払う必要があります。
- リース・割賦契約残債
- リースや割賦契約で取得した器具・備品の残債を、契約に基づいて全額一括返済することが通常です。
- 借入金の返済
- 開業資金や運転資金などの借入金を返済する必要があります。返済不能の場合、保証人や担保に影響が出ることもあります。
- 各種契約の解除手続き
- 営業に必要な契約の解除手続きを行います。途中解約には費用が発生する場合があります。
- その他の手続き
- 従業員への解雇手続き、オーナー自身の再就職活動が必要です。また、店舗開店時に差し入れた保証金は、撤退完了後に一部返却されますが、「保証金償却」分は減額されることがあります。



まさに泣きっ面に蜂
お店をたたむ3ステップ
| ステップ | やること | 目的 |
|---|---|---|
| ① 状況把握 | 売上・負債・契約の全体像を洗い出す | 損失を“見える化”する |
| ② 手続き準備 | 退去・廃業届・リース解約など | 不要な費用の発生を防ぐ |
| ③ 撤退計画 | 廃棄・売却・譲渡をスケジュール化 | 価値を最後まで使い切る |
① 状況把握──“現実を数字で直視する”



まずは現状の棚卸しです。
家賃・仕入れ・光熱費・借入の残高を一覧にして、
「何に、いくら使っているか」を見える化する。



これをやるだけで、
「止血できる部分」と「延命できる部分」がハッキリします。
数字は冷たいけれど、痛みを広げない最初の薬なんですよ。



たしかに、見えないものがいちばん怖いな……。



経営の終わりに必要なのは、勇気ではなく記録です。
② 手続き準備──“無駄な出血を止める”
- 賃貸契約の解約通知(通常1〜2か月前)
- リース機器やクレジット端末の返却
- 廃業届の提出(税務署・保健所)



これらを順に進めれば、余計な延長費や違約金を防げます。



閉める時って、そこまで頭が回らなそうだな……。



だからこそ、冷静なスケジュール表を作る。
感情で動くと損失が増えるんです。



法的な届出は「感情よりも期日」が優先です。
事前に役所やリース会社へ確認を。
③ 撤退計画──“価値を最後まで使い切る”



撤退とは、捨てることではありません。
まだ価値のあるものをどう残すかを考える段階です。
- 厨房機器を中古買取業者へ
- 内装は「居抜き」で譲渡
- SNSアカウントは休眠化して再挑戦時に再利用



廃業届は「削除」ではなく「一時停止」に近いです。
制度上も、再登録すればまた事業を始められます。



失敗はつらいものですが、正しい終わり方を知っていれば、
その痛みは未来の糧になります。
撤退とは、次の挑戦への最短ルートです。



……なんか、少し気が楽になった。
“閉める”のも経営の一部なんだな。



そう。
経営者は「開く人」ではなく、「選ぶ人」です。
飲食店が廃業する具体的な法的な流れ



もし、廃業する場合ってどんな手続が必要なの?



飲食店の廃業は、ただドアを閉めて去るだけではない多くの責任と手続きを伴います。
全ての工程で法律に則って期限を守って進める必要があります。
適切な準備と計画により、経営者としての最後の責務を全うし、次のステージへと進む準備を整えましょう。
借入金がある場合は、取引のある金融機関に連絡する必要があります。
これにより、返済計画の見直しや次のビジネスでの信用維持につながります。密に連絡を取り、状況を説明しましょう。
リース契約を途中解約する場合は、精算が必要です。
リース商品は購入したものではないため、必ず返却が必要です。リース会社との間で残債について話し合い、必要な手続きを行いましょう。
物件を管理する不動産管理会社に、解約通知書を提出します。
飲食店舗の場合、解約通知は3ヶ月~8ヶ月前が一般的です。適切な時期に手続きを行い、スムーズな退去を計画しましょう。
取引先への通知や、従業員を雇用している場合は雇用保険、健康保険などの社会保険の手続き
税務署や労働基準監督署への連絡など、多岐にわたる準備が必要です。
飲食店廃業に際し、保健所への廃業届出と飲食店営業許可書の返納、消防署に防火管理者解任届出書の提出、そして深夜酒類提供飲食店の場合は警察署に廃止届を提出するなど、公的機関への適切な手続きが求められます。
飲食店の廃業における届出の提出先



以下は、各行政機関に提出する必要のある書類と期限をまとめたテーブルです。廃業に際してはこれらの手続きが必要となりますので、適切な対応を心掛けましょう。
| 行政機関 | 届出名 | 提出期限 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 税務署 | 個人事業の開業・廃業等届出書 | 廃業した日から1ヶ月以内 | |
| 消費税の事業廃止届出書 | 事業を廃止してから遅滞なく | ||
| 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書 | 廃業した日から1ヶ月以内 | 従業員を雇用している場合 | |
| 所得税の青色申告取りやめ届出書 | 廃業した年の翌年3月15日まで | 青色申告者向け | |
| 警察署 | 深夜酒類提供飲食店営業の廃止届出書 | 廃業した日から10日以内 | 深夜営業の届出がある場合 |
| 風俗営業許可書の返納 | – | キャバクラ等の許可書返納時 | |
| 消防署 | 防火管理者選任(解任)届出書 | 期限なし | 解任時に記入・提出 |
| 保健所 | 食品営業許可証の返還と廃業届 | 多くの場合、廃業した日から10日以内 | 地域によって異なる可能性あり |
| 日本年金機構 | 健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届 | 廃業した日から5日以内 | 必要書類を添付 |
| ハローワーク | 雇用保険適用事業所廃止届 | 廃業した日から5日以内 | |
| 雇用保険被保険者資格喪失届 | 廃業した日から10日以内 | ||
| 雇用保険被保険者離職証明書 | 廃業した日から10日以内 | 従業員向け | |
| 労働基準監督署 | 確定保険料申告書 | 事業の廃止した日から50日以内 | 労災保険等に関する手続き |
| 労働保険料還付請求書 | 事業の廃止した日から50日以内 |



これらの手続きは、廃業する事業主の法的責任であり、期限を守り適切に行うことが求められます。
また、これらの手続きを怠ると、後に法的な問題や費用の発生など、さまざまな不都合が生じる可能性があるため、
注意が必要です。
番外編|失敗のあとに続く物語



でもやっぱり……失敗した時は怖いよ。
もし店が潰れたら、どうやって生きていけばいいんだろう。
失敗した後、みんなどうなっちゃうの?



……では、少しだけのぞいてみましょう。
失敗の先に、どんな人生が待っているのかを。
【事例①】夢を終えたカフェオーナー、穏やかな日常を取り戻す


ある女性が5年半続けたカフェを閉めました。
コーヒーとスイーツに情熱を注ぎましたが、物価高と長時間労働に心が折れたのです。
けれど、廃業後の彼女は「健康を取り戻し、家族と笑って過ごせるようになった」と話します。
お金は減っても、時間と心の余裕を取り戻した。
そして今は農業とライターの仕事を掛け持ちして、静かな幸せを生きています。



“好き”で始めたお店が終わっても、“好き”はなくなりません。
かたちを変えて生きていく。これも、立派な再起です。
【事例②】公務員からキッチンカー経営、そして再挑戦へ


ある男性は、公務員を辞めてクレープのキッチンカーを始めました。
しかし、コロナ禍で売上がゼロに。残高228円のまま廃業。
彼は落ち込みながらも補助金制度を調べ、少しずつ借金を整理。
その後、キッチンカーの知識を活かして「出店マッチング事業」を立ち上げます。
収入は激減しましたが、彼は笑って言いました。
「失敗したけど、今の方がずっと幸せです。」



損失よりも、経験が資産です。
一度の挑戦で得られた知識は、再起を支える燃料になります。
【事例③】借金1000万円、自己破産からの再出発


40代で独立した元居酒屋店主。
経営の知識が足りず、あっという間に借金1000万円。
裁判、破産、家族との別れ。
人生が崩れる音を聞いたと言います。
けれど彼は、沖縄のリゾートホテルで住み込みの仕事を選びました。
半年で40万円を貯め、笑いながらこう言ったそうです。
「破産しても、人生は終わらなかった。ようやく、生きてるって感じがする。」



どんなに暗くても、夜明けは来ます。
数字に失敗しても、人間としての価値は失われません。
最終章|ものがたりに終わりはない



飲食店の経営は、どんなに情熱を持って始めた事業でも、市場の変動や予期せぬ困難により、終わりを迎えることがあります。
しかし、その経験は決して無駄ではなく次のステップへの貴重な学びとなります。
廃業は一つの終わりではありますが、新たな始まりでもあるのです。



…





承太郎さん。
もし将来に、すべてを失って“不幸”だと感じたとき、
なぜあなたは、それを“不幸”だとわかるんでしょうね?



それは、あなたの中に“幸せ”を知っている部分があるからです。
幸せがあるから、不幸がわかる。
夜があるから、朝がわかる。
物語があるから、人生は進む。



もしあなたの人生が一冊の物語だとしたら、どん底を感じている時はちょうど──クライマックスの真ん中かもしれません。



ですから、どうか“自分から物語のエンディングを書き換えよう”なんて思わないでください。
まだ最終ページではない。筆を置くには、早すぎます。
今が暗いなら、それはエンディングが“明るい”予兆かもしれません。
幸せな結末に向かうために、物語は一度沈むものなんです。
人生は、そうやって、ひとつの呼吸でできています。



日本には、立ち直るための制度が数多く用意されています。
たとえ事業が行き詰まっても、道は閉ざされません。
日本政策金融公庫の「再チャレンジ支援融資」、自治体による「生活再建相談」、法テラスの「債務整理サポート」、さらに失業後には「再就職手当」や「住宅確保給付金」もあります。
これらはすべて、命をつなぎ、再び歩き出すための仕組みです。



私は行政書士です。
もし申請書の書き方や手続きがわからなくても大丈夫です。
あなたの隣で、一緒に考え、書き上げます。
困難に直面した人が行政の支援を正しく受けられるように手助けする――
それこそが、行政書士の使命なのです。



そして、私の仕事は、飲食店開業という“夢の入口”を開くお手伝いです。
でもね、物語は夢を叶えた瞬間に終わるわけじゃありません。
むしろそこからが本当のスタートです。
経営は、晴れの日もあれば嵐の日もある。
そんなときは、ひとりで抱え込まないでください。
数字の見直し、資金繰り、方向転換——それらは、プロが一緒に走れば道が見えます。
わたしたちは、あなたの努力を“失敗”で終わらせないために存在しています。
どんなに厳しい状況でも、必ずなんとかしてみせます。
それが、コンサルタントとしての私の責任であり、約束です。







・・・!



とても心強いよ。ありがとう!
ふたりに出会えたことにとても感謝しているよ。
あれから



ついに念願だった脱サラを達成できました。
ありがとうございます!



おつかれさまでした。
経営者としてはこれからがスタートです。
無理をなさらずに頑張ってくださ…



ジュリリ、ジュリリ



てっ!?シマエナガくん!!なに、油断しているの!
元の姿にもどってるよ!!



所長こそ、最初から
ずっと顔だけ道産子のままでしたよ。



Oh mon Dieu!!
なんで言ってくれなかったの?
とりま…脱出!!




「……さて、今日もお便りのご紹介です。
今年も“雪の妖精”シマエナガの姿が観測されています。
札幌市内でも多くの目撃報告がありますので、みなさんも探してみてはいかがですか?」


──おしまい。



