
やっぱりカフェ経営って憧れるよね!
じつはコーヒーにはこだわりがあって、毎月ちゃんと豆を選んで、自分で焙煎してるんだよ。ドリップも湯温とか蒸らし時間とか超こだわってて…
そのこだわりでつくるカフェオレ、マジで絶品なんだよね!
だから、僕がカフェやればきっと流行ると思うんだ!間違いないって!



その情熱、すばらしいですね承太郎さん。
コーヒーの知識やこだわりがある人がカフェを開くのは、とても自然な流れです。
ですが、カフェ経営には「コーヒーが美味しい」だけでは乗り越えられない壁もたくさんあるんですよ。
- なぜ「カフェ開業はやめとけ」と言われるのか?失敗の現実とは?
- カフェ経営でよくある5つの落とし穴と対策
- 未経験でも戦える!現実的な準備と計画の立て方



カフェ開業は「おしゃれ」「自由」「自分らしい働き方ができそう」といったイメージから、多くの人が憧れを抱く人気業種です。
しかし、実際には「やめとけ」と言われることも多く、検索ワードでも警戒系キーワードが上位を占めています。
なぜ「やめとけ」と言われるのか?



現実を知らずに開業すると、以下のような“甘く見ていたリスク”に直面します。
カフェ開業の代表的なリスク
- 初期費用の高さ
- 新築物件なら1,000万円以上も普通。内装・厨房費がかさむ
- 集客の難しさ
- 美味しいだけでは来客は増えない。マーケ戦略が必須
- 過酷な労働環境
- ワンオペで長時間拘束されるケースが多い
- 差別化の難易度
- 競合が多すぎて埋もれやすい
- 経営スキルの不足
- 会計、原価管理、人材管理など多岐に渡る



えっ…カフェって、ただ好きな空間作って、美味しいコーヒー出せばOKってわけじゃないんだ…。
カフェ開業でよくある失敗パターン



「やめとけ」と言われる理由の多くは、実際に多くの人が経験した“よくある失敗”に根拠があります。
ここでは特に多い5つのパターンを紹介します。
- 「誰でも歓迎」=誰にも響かない
- ターゲットが定まらず、店づくりもブレやすい
- 「雰囲気がいい」「コーヒーが美味しい」は当たり前の時代
- 開業後、SNSアカウントを作っただけで終わる
- Googleマップ、インスタ、リール、口コミ施策を軽視しがち
- “お客に届く仕掛け”を開業前から準備しておく必要がある
- 「黒字っぽい」と思っていても実際は赤字
- 固定費と変動費の把握ができていない
- 損益分岐点・必要売上の計算をしていない
- 仕込み・開店準備・営業・片付け・経理を1人でこなす
- 1日12〜15時間労働が当たり前に
- 家族時間や体力、健康が削られていく
🛠 対策のヒント:
🔗 ワンオペを助ける神ツール7選|集客・会計・発注まで効率化
新築スケルトン10坪 | 約1,800万円 | 内装・設備がすべて必要 |
---|---|---|
居抜き8坪 | 約770万円 | 業態転用・再工事が必要なことも |
自宅カフェ | 200〜400万円程度 | 許可・用途地域の制約に注意 |



あれ?ボクも、なんとなく“いいお店作ればお客さん来る”って思ってたかも…。
こだわりのコーヒーさえあればいけるって信じてた…。



こだわりはとても大切です。
でもそれは「勝負の土俵」に立つための条件であって、勝ち抜くためには戦略と準備が不可欠なんです。
感性と数字、両方を大切にしましょう。
それでもやりたい人のためのカフェ開業の魅力



失敗例やリスクを知ってもなお、「それでもやってみたい」と思える――
それこそがカフェ開業の原動力です。
ここでは、数字では語りきれないカフェ経営の魅力を整理してみましょう。
カフェ開業が持つ5つの魅力
魅力 | 内容 |
---|---|
自分の世界観を形にできる | 店名・内装・BGM・メニューすべてに個性を出せる |
常連とのつながりが深い | 顔なじみの顧客と人間関係を築ける仕事 |
地域に根ざした商売ができる | 地域のイベントや文化と連携しやすい |
感性を活かせる仕事 | 空間演出やメニューに“好き”を反映できる |
ライフスタイルを自分で決められる | 営業時間・働き方を自分で設計できる(うまくいけば) |
こんな人にはカフェ経営が向いている
- 接客が苦ではない、むしろ好き
- 毎日ルーティンで働くのが苦手
- 「自分の空間」を作るのが好き
- お金よりもやりがい重視で仕事をしたい
- こだわりの商品やストーリーを人に伝えたい



たしかに…ボクがカフェをやりたいのって、「好きな空間で好きな人にコーヒーを出す」っていう感覚かも。
数字だけじゃ語れない楽しさが、やっぱりあるんだよなあ…。



その直感は正しいです。
ただし、感性に頼り切るとブレやすく、現実の厳しさに負けてしまいます。
夢と計画、両方を持って挑戦すれば、カフェ開業は十分に価値のある目標になります。
カフェ開業を成功に導く“準備と計画”の基本



憧れや情熱を持ってスタートするのはとても大切ですが、
カフェ開業を“持続可能な事業”として成り立たせるには、数字と戦略に基づいた準備が不可欠です。
どんな空間をつくるのか?
自分のこだわり×顧客ニーズの重なるポイントを明確にする
40代会社員 | 落ち着いた空間・電源・静かな接客 |
若年層女性 | 写真映えスイーツ・SNSキャンペーン |
主婦層 | キッズスペース・ランチセット |
価格や商品ではなく、「この店を選ぶ理由」を考える
例:疲れが癒せる空間、インスタ映え、育児中のママが安心できる時間
→どのようなメニューと空間が必要なのか固まってくる。
- メニュー=売上の核
- 物件=経費の固定化
- 「売上-経費=利益」を意識して組み立てる
(固定費+利益目標) ÷ (1-変動費率) = 必要売上
(固定費+利益目標)÷(1–変動費率)(固定費 + 利益目標)
例)
固定費:15万円
利益目標:30万円
変動費率:45%
→ 損益分岐点:81.818181万円
※本記事の損益分岐点は、生活費(オーナー報酬)も含めた実生活ベースの試算です。
目標年収 | 360万円 |
月の生活費(手取り) | 約30万円 |
利益+固定費 | 約30〜40万円 |
売上目標 | 月81.8万円前後 |
日商目標(25営業日) | 32,700円 |
計算式:
客単価 × 席数 × 回転率 = 売上
例:1,000円 × 15席 × 2回転 = 30,000円
→2,700円足りないので回転率か客単価を調整する必要性がわかる
この段階で「夢を実現する現実的な戦略」が見えてくる
ここから「事業計画書の作成」へ



難しい話ばっかり。もう帰っていい?



おっと、あきらめるのはまだ早いですよ。
ここから詳しく解説します。
STEP1:コンセプト設計がすべての起点



コンセプト? 早い、安い、旨い!みたいなやつ?



そうです!
それも立派なコンセプトの一例。
「この店は誰に、どんな価値を届けたいのか」が一言で伝わりますね。
でもこのコンセプトは、回転率重視の牛丼チェーンには向いても、長居OKで雰囲気を楽しむカフェには合いません。
たとえば、カフェならこんな感じのコンセプトが考えられます:
コンセプト例
昼下がりに本が読める静かな店 | 会社員・読書好き | 時間を忘れてリラックスできる |
写真映え抜群のスイーツカフェ | 若年層の女性 | SNS映え&トレンドを楽しめる |
地元野菜を使ったママ向けカフェ | 主婦層 | 子連れで安心して利用できる |



コンセプトとは、「だれの、どんな生活を、どう豊かにするか」を言語化したものです。
ここが曖昧なままだと、メニュー・内装・立地・集客すべてがブレます。
開業後の軌道修正にもコンセプトがあれば方向性を見失う失敗も防ぐことができます。
STEP2:ターゲット設定で“誰のための店か”を明確にする



たとえば、サラリーマンが会社での仕事から少し気分を変えて仕事ができる
セカンドワークプレイスをコンセプトにしたいんだけど、この場合、ターゲットはサラリーマンってことだよね?



そのとおりです!
でも、ここで大切なのは“サラリーマン”とひとくくりにせず、もう一歩踏み込むことです。
たとえば…
- 「都心で働く30代の営業マン」
- 「リモートワーク中の40代技術職」
- 「フリーアドレスのベンチャー社員」
ターゲット設定の例
ターゲット像 | 来店目的 | 好まれる要素 |
---|---|---|
30代営業マン | 外回りの合間の休憩 | コーヒーのクオリティ・喫煙席・回転の早さ |
40代在宅ワーカー | 仕事の集中環境 | 電源・Wi-Fi・静かなBGM |
20代起業志望層 | 打ち合わせ兼ねた空間 | シェアテーブル・モバイル決済・開放感 |



ターゲットとは、「最も喜んでくれる人」を具体的に描くことです。
その人物の1日の行動、悩み、財布のひも…そこまで想像することで、店づくりのすべてが意味を持ち始めます。
STEP3:ベネフィット設計で“選ばれる理由”をつくる



コンセプトもできたし、ターゲットも決まった。
お店の雰囲気は男が大好きなロックが流れてて、大きな円卓をみんなで交流しながら、大容量のコーヒーが飲めるお店が良いのかな?



おお、いいですね!でも…
その“男が大好きな空間”って、どんな人にとって“嬉しい”んでしょう?
つまり、「あなたのカフェを選ぶ理由」、それが“ベネフィット”です。
しかし、ながらコンセプトは2番目の職場です。
この場合はプライバシーが重視される静かな空間がいいのかもしれませんね。



うう…ぼくにはセンスがないのかな



いえいえ、大容量のコーヒーは良いアイデアですよ。
いちいち席を立つ必要が無い、店員を呼ばなくて良いし、仕事の手を止めない。などメリットもあります。
ターゲット | 来店時の気持ち | ベネフィット |
---|---|---|
30代男性会社員 | 仕事帰りに一杯飲みたい気分 | カフェだけどバースタイルの交流空間 |
地元の常連客 | 友達ができる場所がほしい | 円卓で自然に会話が生まれる店づくり |
ミュージック好き | 音楽と過ごす時間がほしい | ハイレゾで流れるアナログロックが心地よい |



お客様は“商品”ではなく“価値”にお金を払います。
「それが手に入るのはこの店しかない」と思わせる設計が、ベネフィットです。
STEP4:メニューと物件は“売上”と“経費”の出発点



つぎはメニュー開発と物件探し?
まだ、お金の話が出てきてないけど大丈夫?



実は、このタイミングから“お金の流れ”が始まるんですよ。
というのも、メニューは売上の源泉、物件は経費のスタート地点だからです。
メニュー開発→物件探し→立地と商圏分析


メニュー=売上を決める要素 | 物件=経費を決める要素 |
---|---|
単価設定(例:ドリンク500円〜1,200円) | 家賃(月額固定費) |
原価率(食材コスト、ドリンク原価) | 立地(集客力)・ターゲット・客層 |
提供スピードとオペレーション効率 | 店内の広さ=席数+おおよその経費 |
STEP5:目標売上を「逆算」して現実的なラインを知る



たとえば、こんな物件を想定して計画を進めてみましょう。
この物件は以前、美容室や24時間無人販売所として利用されていました。重飲食店や、近隣住民に影響を及ぼす可能性がある業種(例:ペットホテルや特定の事業所)の入居は認められていません。その他の業種に関しては、詳細はお問い合わせください。


賃料・費用 | 8万8,000円 坪単価:約1.2万円/坪 敷16万円、礼8万円、仲8万8,000円 敷引・償却金:なし |
---|---|
専有面積 | 24m² (7.26坪) |
住所 | 北海道札幌市西区八軒 |
交通 | 八軒駅(徒歩5分)|琴似駅(徒歩14分) |
階/階建 | 路面 / 2階建 |
築年月 | 築15年(2008年9月) |
駐車場 | あり (1万1,000円/台) 駐車可能台数:2台 |



たかが、メニューと物件だけでなにがわかるの?



これからカフェを運営していこうとしているわけですが、毎月どれくらいの生活費が必要ですか?



とりあえず、ボクの今の年収が360万円だから…
脱サラしたとしても…毎月30万円くらいの生活費があれば不自由しないかな?



家賃が約9万円、物件の坪数が7坪として…
必要な売上は1日32,720円。
これは、週1回の定休日(月25営業日)として
1人のお客さんが使う金額を1,000円で計算しています。



えっ、まだ開業してないのに、なんでそんな具体的な数字が出せるの?



それは、利益構造と損益分岐点の計算を活用するからです。
コストの仕組みや売上との関係を整理すれば、目標が明確になるんですよ。
STEP6:損益分岐点の考え方 ― どこからが“黒字”か?







損益分岐点って、損も得もしないラインってこと?
でも、それが分かったからってどう役に立つの?



損益分岐点を知れば、最低限必要な売上を把握できます。
毎月どれだけ稼げば赤字を回避できるか、計算で導き出せるんです。
- 目標売上が明確になる:最低限達成すべき売上高が分かり、迷いがなくなります。
- 経営の安定化:日々の運営が「赤字回避」を目指すだけでなく、次の成長ステップを計画しやすくなります。
- コスト管理ができる:変動費や固定費のバランスを見直すことで、経営の効率化が図れます。



でも、具体的にどうやって計算するの?



まず変動費率という考え方を知る必要があります。
変動費率とは、売上に応じて増減する費用の割合を示すものです。
例えば、1杯のコーヒーを作るのにかかる豆のコストや、追加で必要な人件費がこれに当たります。
変動費とは?
項目 | 変動費か? | 備考 |
---|---|---|
コーヒー豆・食材・砂糖やストロー代など | 〇 | 売上に比例して増える |
家賃・借金返済・減価償却費 | × | 売上に関係なく毎月発生 |
パートの時給(変動制)・電気代など | △ | 時間・売上に応じて調整可能 |
変動費率 = 変動費 ÷ 売上高
- コーヒー1杯の原価:200円
- 販売価格:1,000円
- 変動費率:200 ÷ 1,000 = 0.2 (20%)



次に、必要売上高を求めましょう。
必要売上高 = (固定費 + 利益目標) ÷ (1 – 変動費率)
- 固定費:15万円
- 利益目標:30万円
- 変動費率:45%
必要売上高 = (15万円 + 30万円) ÷ (1 – 0.2) = 818181.8181818181



承太郎さんの狙っている物件で試算したデータの内訳はこちらです。
固定費と変動費率の内訳
- 固定費(円)
- 家賃:90,000円
- リース費等:10,000円
- 広告費:20,000円
- 減価償却費:10,000円
- 支払い利息:20,000円
- 変動費率(%)
- 原価率:30%
- 人件費:0%
- 水道光熱費:5%
- 消耗品費:5%
- 通信費:5%



変動費率はカフェでの一般的な比率で計算しました。
目標利益30万円を達成するための売上金額は月81.8万円です。
1日に換算すると32,720円になる訳です。



ん?で一日に必要な金額の32,720円はいつたどり着くの?



営業日数を基に計算します。例えば、月25営業日なら
1日の目標売上 = 81.8万円 ÷ 25日 = 32,700円
また、売上高 = 客単価 × 座席数 × 回転率 × 営業日数で客単価や回転率も割り出せます。
カフェ経営に必要な目標設定



客単価って何?回転率って?



客単価は1人のお客様が平均して使う金額。
例えば、一人あたり1,000円の飲み物を注文するとしたら、それが客単価になります。
回転率は1席が1日に何回利用されるかを表します。
例えば、1席が1日に2回客に利用される場合、回転率は2となります。
これらを使って売上を計算するわけです。
調査をすることでデータを集めます。





すごい!魔法みたい!!
コンセプトを決めて物件の目星をつけるだけで
ここまで経営計画を立てることができるんだね!



そうです。計画の精度を上げれば、成功への道がより見えてきます。
我々コンサルタントは、こうしたデータを基にサポートを行います。
ぜひお気軽にご相談ください!
戦い方を変えれば、夢は実現できる



「カフェはもうオワコン」ではなく、戦い方を工夫すれば、まだまだ勝負できる業態です。
ここでは、お金・経験・時間がない人でも挑戦できる「現実的な戦略」を紹介します。
- 居抜きや既存店舗の「空き時間」を借りて営業
- 家賃は1日2,000~4,000円前後と低コスト
- 定休日だけ営業する「週1カフェ」も可能
→ まずは“趣味以上・事業未満”で試して、反応を見てから本格展開もアリ!
- ブランド・メニュー・マニュアルが提供され、初期設計の手間が省ける
- 客層がある程度見込める(カフェチェーン系など)
- 開業費は高め(500万〜)でも、成功確率は上がる
→ 未経験者ほど、パッケージ型で“型から入る”のもひとつの道
- 店舗コンセプトに共感してもらえば資金援助を受けられる
- 地域活性や移住支援の補助金で、最大100万円の支援が出るケースも
→ ストーリー性のあるカフェは、応援されやすい
- 仕込み→営業→片付けまで毎日15時間
- 休日ゼロ、スタッフ募集できず、人件費も払えない
- 売上はあるのに“体が限界”で閉店…
👉 『ワンオペを助ける神ツール7選』(別記事)で、効率化の実践例を紹介!



副業から始めて、手応えを見てから本格化するのって、めちゃくちゃ現実的かも。
なんか、無理に“お店を持つ”ことだけが正解じゃない気がしてきた。



その通り。
いまは「所有」よりも「運用・実験・スモールスタート」が成功の鍵。
“失敗しても立ち直れる設計”で、確実に前へ進むことが大切です。
まとめ



カフェ経営に憧れを持つ人は多いですが、その裏には長時間労働や低収益といった現実もあります。
今回の記事では、これらを整理し、理想と現実のバランスを取る方法をお伝えしました。
- カフェの魅力と現実
- よくある失敗パターン
- 成功のための計画や数字の見える化
- ワンオペを回避する具体策



要点はひとつです。
「なんとなく始めないこと」。
利益を出すには計画が必要であり、
体を壊さずに続けるには仕組みが必要です。
失敗は“運”ではなく、“準備不足”から起きます。
準備とは、数字を用いた現実的な見積りと戦略で、データがあれば5年後の未来をチラ見することも可能です。



なるほど…「夢だけ」じゃだめってことか。
でも逆に、ちゃんと準備すれば、夢って“現実にできる”ってことだよね!
じゃあ僕、次の記事で
「事業計画の立て方」を学んでみるよ!

