
なんかカフェを開業するには
「菓子製造業許可」と「飲食店営業許可」の両方が必要って聞いたけど……ホント?
正直、その2つの違いがよくわからないんだけど……



これは開業前の相談でよくある悩みです。
カフェとかスイーツ販売を考えてる人が、「どっちの許可が必要なのか迷ってる」ケースは多くあります。
間違えると、保健所から営業ストップを受けることもあるから、ちゃんと理解しておいた方がいいでしょう。
- それぞれの許可が規制する業務内容の明確な理解
- 自分のビジネスモデルに必要な許可を判断するための基準の提供
- 許可申請プロセスの詳細なガイドライン



目的と提供方法で必要な許可が変わります。
- 店内で飲食させたいなら → 飲食店営業許可
- お菓子を作って持ち帰りや通販で売りたいなら → 菓子製造業許可
- 両方やるなら → 両方の許可が必要!
飲食店営業許可と菓子製造業許可の違いとは?





で菓子製造許可ってどういうときに必要なの?



この2つの許可は、どちらも食品衛生法に基づく営業許可だけど、「どこで・どうやって提供するか」によって必要な許可が違います。
飲食店営業許可と菓子製造許可のどっちが必要?
種別 | 飲食店営業許可 | 菓子製造業許可 |
---|---|---|
主な用途 | 料理の提供 | 菓子の製造および小売販売 |
必要性 | 店内で調理して料理を提供する場合に必要 | 菓子を製造し、店外での販売(小売やマルシェ販売、通販)を行う場合に必要 |
特記事項 | アルコール提供や食事の提供が主目的 | 製造業としての許可であり、店内提供は基本的にNG |



店舗内で製造し、小売販売も行う場合、菓子製造許可が必要です。
一方で、カフェやレストランのように客が来店して調理された料理を提供する場合は飲食店営業許可のみ必要となります。
また、両方の活動を行う場合
(例:カフェで自家製ケーキを製造して提供お土産用に小売販売する場合)、両方の許可が必要になることがあります。
両方の許可が必要になるケースとは?



えっ、両方必要なケースってそんなにあるの?
「カフェでケーキ出して、ついでに持ち帰り用も売る」とかもダメなの?



はい、それアウトです。
店内でケーキを提供するのは「飲食店営業許可」でOKですが、お土産として販売する=持ち帰り販売になると、それは「製造販売」に該当します。
だからその場合は、「菓子製造業許可」も必要になります。



つまり、「どこで食べるか」「どう届けるか」で線引きされるということだね。
店で提供するだけならOK。でも持ち帰り・通信販売・卸しになると製造業になるんだ。
こんなときは「両方の許可」が必要!
ケース | 飲食店営業許可 | 菓子製造業許可 | 解説 |
---|---|---|---|
カフェでケーキを出す | ✅必要 | ❌不要 | 店内での提供だから飲食店営業のみでOK |
カフェでケーキを出して持ち帰り販売もする | ✅必要 | ✅必要 | 製造して販売するので菓子製造業も必要 |
焼き菓子を作ってネット通販する | ❌不要 | ✅必要 | 客が店内に来ない場合は飲食店営業は不要 |
他の店舗に卸すスイーツ製造 | ❌不要 | ✅必要 | 業務用製造は菓子製造業に該当 |
市販のケーキを仕入れてそのまま売る | ✅必要 | ❌不要 | 製造しないので菓子製造業不要 |



ええっ!
じゃあ、スタバみたいなカフェでケーキ売ってるのも菓子製造業?



いい質問です。
ああいうお店は「既製品を仕入れて販売しているだけ」なので、菓子製造業許可はいらないんです。
自分の店で作っていない限りは「製造業」にはなりません。



この「どこまでが“製造”なのか?」が、わかりづらいポイントです。
特に「店内で作って」「店内で売って」「外でも売る」スタイルだと、どちらか一方では足りなくなるケースが多いから注意が必要しましょう。
どっちを取ればいい?ビジネスモデル別の判断基準



よし!完全に理解した!!
菓子製造業許可は持って帰って食べる!店内で食べちゃダメ!
飲食店営業許可は店内で食べる!持って帰っちゃダメ!



実は2021年の法改正で、菓子製造業の許可だけでも「購入した菓子に飲み物を添えて提供する」ことが可能になりました。



どひゃー!!
- 提供できるのは購入した菓子のみ
- その場で調理する料理やアルコールを提供したい場合は飲食店営業許可が必要
- 「パンの製造」も菓子製造許可に含まれるから、調理パンの販売もOK
ワンポイントまとめ
内容 | 菓子製造業許可だけでOK? | 飲食店営業許可が必要? |
---|---|---|
ケーキ+コーヒーを出す(店内) | ✅(※購入品に限る) | ❌ |
パンを焼いて販売(持ち帰り) | ✅ | ❌ |
パンを焼いて、店内でランチ提供 | ❌ | ✅ |
アルコールを出したい | ❌ | ✅ |
カフェ飯やスープなどの提供 | ❌ | ✅ |



えっ!
じゃあ今って、ちょっとしたカフェみたいなことも、菓子製造業許可だけでいけるってこと?



そうです。
ただし「調理した料理やお酒」を提供する場合は、やっぱり飲食店営業許可が必要になりますので、目的に応じた使い分けが重要です。
2021年の法改正で何が変わった?



もう頭がジャングルぐるぐる「法改正でルールが変わった」って言ってたけど……
具体的にどこが変わったの?



令和3年6月1日より、食品衛生法が改正され、原則すべての食品等事業者がHACCP(ハサップ)に沿った衛生管理を行うことが義務化されました。
それに伴い以下のような変更がありました。



それだけじゃなく、飲食店営業許可や菓子製造業許可のルールも緩和・拡張されたのがポイントです。
主な変更ポイント(飲食店・菓子製造関連)
変更点 | 具体的な内容 |
---|---|
菓子製造業の拡張 | 店内で購入した菓子に飲料を添えて提供OKに(※飲食店営業許可なしで) |
パンの取り扱い緩和 | 調理パンの製造は、そうざい製造業や飲食店営業の許可がなくてもOKに |
飲食店営業の範囲拡大 | 冷凍パン生地の焼成・ジュースの提供・既製品の加熱提供などが許可の範囲に |
HACCP導入義務 | 全ての食品事業者がHACCPに基づく衛生管理を行う必要あり |



HACCPってよく聞くけど……なんか難しそう。



大丈夫です。
大規模工場のようなシステムを導入しろって意味じゃなく、小規模飲食店や菓子製造業者の場合は、「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」でOKという簡略化された運用が認められています。



ただし、保健所の立ち入り検査時に「管理計画を提示できる」ようにしておく必要があるので、帳票類は整備しておきましょう。
【補足】調理パンも「菓子製造業許可」で製造OKに!
法改正による変更点(厚生労働省の公式資料より)
厚生労働省「食品衛生法等の一部を改正する法律に基づく政省令等に関する説明会資料」より
「菓子製造業の許可を受けた施設で調理パンを製造する場合には、そうざい製造業または飲食店営業の許可を要しない」
菓子製造業(第11号関係)
厚生労働省主催「食品衛生法等の一部を改正する法律」に基づく政省令等に関する説明会」資料より一部抜粋
- 定義
- パン製造業及びあん類製造業を含み、第26号(複合型そうざい製造業)及び第28号(複合型冷凍食品製造業)の営業を除く。
- 改正後の変更点
- 従来の菓子製造業とあん類製造業を統合したこと。
- 菓子製造業とは、社会通念上菓子の完成品とされる食品を製造する営業をいい、いわゆる菓子種の製造業は含まれない。
- 菓子製造業の許可を受けた施設で、客が購入した菓子やパンに飲料を添えて施設内で提供する場合、飲食店営業の許可を要しない。
- 菓子製造業の許可を受けた施設で調理パンを製造する場合、そうざい製造業又は飲食店営業の許可を要しない。
飲食店営業(第1号関係)
厚生労働省主催「食品衛生法等の一部を改正する法律」に基づく政省令等に関する説明会」資料より一部抜粋
- 定義
- 食品を調理し、又は設備を設けて客に飲食させる営業
※飲食店営業の対象となる「調理」とは、その場で客に飲食させるか、又は、短期間のうちに消費されることを前提として、一応摂食しうる状態に近くなった食品を変形したり他の食品を附加したり、あるいは調味を加えたりなどして飲食に最も適するように食品を加工成形することをいう。- 改正後の変更点
- 旧第2号の喫茶店営業は飲食店営業の一形態として統合される。
- 主な留意点
- 旧第1号の規定で、飲食店営業の例示として規定されていた業態(カフェー等)は引き続き、飲食店営業の一形態として取り扱う。
- 飲食店営業のうち、次に掲げる簡易な営業については、飲食店営業の施設基準を一部緩和する。
簡易な飲食店営業の対象となる調理の具体例としては、以下のとおりである。
- 既製品(そのまま喫食可能な食品)を開封、加温、盛り付け等して提供する営業
(食品例:そうざい、ハム、ソーセージ、スナック菓子、缶詰、おでん等)- 半製品を簡易な最終調理(揚げる、焼く等)を行い提供する営業
(食品例:唐揚げ、フライドポテト、ソフトクリーム等)- 米飯を炊飯、冷凍パン生地を焼成する営業
- 既製品(清涼飲料水、アルコール飲料等)及び既製品以外の自家製ジュース、
コーヒー等の飲料を提供する営業


許可取得の手順と必要な準備



よし、必要な許可はなんとなくわかってきたぞ!
じゃあ実際に申請するには、どんな手順で進めればいいの?



それじゃ、ここからは菓子製造業許可を例にして、取得までの基本ステップを説明します。
まずは、事前に営業予定地を管轄する保健所に相談しましょう。
地域ごとに基準の違いや細かい注意点があるため、ここが最初の要です。
許可を取るには、施設基準を満たす厨房・作業室が必要です。
特に菓子製造業は、製造スペースが物理的に区切られていることが条件になる場合もあります。
施設ごとに1名以上、食品衛生責任者を設置する必要があります。
資格を持っていない場合は、所定の講習会(1日)を受けて取得できます(費用は1万円前後)。
必要書類は保健所ごとに若干違いますが、主に以下のようなものになる
- 営業許可申請書
- 施設の平面図
- 使用する機器・設備の一覧
- 食品衛生責任者の資格証明書の写し
- 登記事項証明書(法人の場合)など
書類が整ったら保健所に申請し、施設の現地検査(立ち会いあり)を受けます。
ここで不備があると再検査になることもあるので、整備が終わってから申請するのが吉
施設が基準を満たしていれば、1〜2週間程度で営業許可証が交付されます。
その後は、表示義務・衛生管理・HACCP対応などに留意しながら営業を始めましょう!



各地域の保健所によって多少の違いはあるため、具体的なプロセスや必要書類については、直接地元の保健所に問い合わせることが重要です。
また、許可取得には一定の費用がかかることも覚えておくと良いでしょう。
許可取得にかかる費用の目安
項目 | 費用目安 |
---|---|
菓子製造業または飲食店営業の許可申請料 | 1.5万円〜2万円(地域により変動) |
食品衛生責任者の講習費用 | 約1万円 |
設備投資(区画工事、シンク、冷蔵庫など) | 数万〜数十万円(規模による) |
許可の有効期限と更新手続き【忘れずに】



ところでさ……
一度許可を取ったら、もうずっと有効なの? 更新とかってあるの?



あります。
営業許可には「有効期限」があるので、定期的な更新が必要です。
許可の有効期限と更新ルール
項目 | 内容 |
---|---|
有効期限 | 原則5年または6年(自治体によって異なる) |
更新時期 | 有効期限の数か月前から通知または申請開始 |
更新方法 | 新たに申請書・施設確認などを提出(簡易な場合もあり) |
再検査 | 必要に応じて施設の再検査が行われる場合も |
更新忘れのリスク | 許可失効=営業停止になるので超注意! |



とくに気をつけたいのが、更新期限の“うっかり忘れ”です。
有効期限を過ぎると、営業停止や罰則の対象になる可能性もありますので。



保健所から通知が来ることもありますが、確実ではありません。
カレンダーやリマインダーで自分でも管理しておくことが大切です。
まとめ



飲食店営業許可と菓子製造業許可は、提供するサービスの内容に応じて必要となります。
飲食店営業許可と菓子製造業許可の違いまとめ
比較項目 | 飲食店営業許可 | 菓子製造業許可 |
---|---|---|
主な目的 | 店内で食事やスイーツを提供 | お菓子・パンを製造して販売 |
OKな提供方法 | イートイン・テイクアウト | 店頭小売・通販・卸売など |
設備要件 | 比較的柔軟(同空間OK) | 厳格(製造室の区画が必要) |
最近の緩和点 | 既製品の加熱・簡易加工もOKに | 購入菓子に飲料を添える提供がOKに |
よくある勘違い | スイーツ販売=飲食店だけでOK | イートインNGと誤解されがち |



食品を扱う身分としてしっかりと法にしたがって衛生に気を遣わなければならないんだね!
しっかりと法律を理解して必要な許可を取得しよう!

