お店を経営するにはみんな口を揃えて簿記を知っている方が良いと言うけど簿記ってなんなの?どんなメリットがあるの?
飲食店経営においてお金の流れを把握することが大切です。
簿記の知識があれば事業計画書を作成するのに役立ちますし
さらに経営上の問題を発見できたり、節税対策にもなります。
- 簿記の知識を持つことで得られるメリットがわかる
- 裏付けのある事業計画書を具体的に作成する方法
- 簿記の知識を使って業績の分析や評価など経営判断する方法
飲食店開業の成功には、お金の管理で経理の知識が不可欠です。特に、飲食店経営では、日々の売上やコスト、在庫の動きが激しく、これらを適切に管理することが利益を最大化する鍵となります。
簿記の知識があれば、各取引が財務にどのような影響を及ぼすのかを理解し、財務状況に基づいた意思決定が可能になります。
飲食店経営にも経理は重要
飲食店では、優れたサービス提供が重要ですが、それを支える経理業務も欠かせません。
経理は法的要件を満たし、税務申告を適切に行うために必要です。
税務申告を通じて、所得税の適正な計算と納税が行われます。
複式簿記という細かく記録をつけることができると青色申告という制度が使用可能になります。この青色申告を行うことによって様々なシチュエーションで税金の支払い額を少なくできます。
1人で切り盛りする場合も小規模で経営する場合もお金の管理については
自分できっちり管理しなければなりません。
しっかりお店を運営するためには経理の知識=簿記の知識は必須です。
経営戦略としての経理
経理データは売上向上のための戦略策定にも役立ちます。
帳簿からは、人気メニューの分析やコスト削減のための情報が得られ、売上の最大化に繋がります。
具体的に帳簿には貸借対照表(BS)と損益計算書(PL)があります。
それぞれの帳簿の役割について説明します。
- お店の「貯金箱」の中身を把握できます。
つまり、現金はいくらあるのか、キッチン機器や家具などのお店の資産がどれくらいの価値があるのか、そしてお店が借り入れをしている場合、どれくらいのお金を返さなければならないのかがわかります。 - お店の安定性と将来性を見極めることができます。
例えば、たくさんの資産があっても、それに見合うだけの借金があれば、お店は安定していないかもしれません。逆に、借金が少なければ、お店はしっかりしていると言えます。
- お店が一定期間(例えば1か月や1年)にどれくらい稼いだか、そしてどんなことにお金を使ったかを確認できます。
売上がどれくらいで、食材や人件費などの費用は合計でどれくらいか、そしてそれによってお店が儲かっているのか損しているのかがわかります。 - お店の経営が健全かどうかを判断できるようになります。
売上が費用を上回っていれば、お店は利益を出しているということです。逆に費用の方が多ければ、お店は損をしており、何か改善する必要があります。
飲食店経営における経理業務内容
経理業務の日々の作業は、会社のお金の動きを正確に把握し、記録するための重要な役割を果たします。以下は一般的な経理の日常業務です。
経理の日常業務
- 伝票の整理と入力
- その日に発生した経済的な取引(売上、支出など)に関する伝票を集め、会計ソフトまたは帳簿にデータを入力します。
- 領収書や請求書の管理
- 取引に関する領収書や請求書を整理し、必要に応じて支払いを行ったり、入金を確認したりします。
- 銀行取引の記録
- 企業の銀行口座に関する出入金を記録し、現金出納帳と照合します。
- 現金管理
- 小口現金の出入りを管理し、必要に応じて追加で現金を引き出すなどの現金流の管理を行います。
- 経費の精算
- 従業員が出張や外出時に使用した経費を精算するための書類を処理します。
- 支払い業務
- 借入金の返済、仕入れ代金、給与の支払い、税金の納付など、様々な支払い業務を行います。
- 請求業務
- 顧客への請求書発行、支払いの催促など、売掛金の管理を行います。
- 月次決算の準備
- 月末には、その月の全ての財務活動を締めくくるための準備作業を行います。これには仕訳帳の確認、試算表の作成などが含まれます。
- 報告書の作成
- 管理者や経営者に向けて、財務状況に関するレポートや報告書を作成します。
- 監査対応
- 内部や外部の監査がある場合、必要な資料の提供や質問に対する回答を行います。
ひとりでお店を経営する場合は経理業務だけでも膨大な作業量になります。経理担当を雇う、税理士にお願いする。銀行やクレジットカードのデータを連携させて自動化できる会計ソフトを使うなどで軽減できます。
会社の経理のケイコちゃんはこんなにたくさんの仕事をこなしていたのか…
ひとりで膨大な経理作業をこなす自信が無い
- 経理担当者を雇う:
- 店舗運営を一人で行っている場合でも、パートタイムやアルバイトで経理担当者を雇用することを考えると良いでしょう。経理専門の人材を確保することで、日常の帳簿記録や経費の管理などを任せ、自分は経営に集中することができます。
- 税理士にお願いする:
- 税理士は税務申告だけでなく、日々の経理業務の相談にも乗ってくれます。経営者が経理作業にかける時間を削減し、正確な記録と税務申告を実現するために、税理士に委託することが有効です。
- 会計ソフトを利用する:
- 現代の会計ソフトは、銀行口座やクレジットカードと連携し、取引データを自動的に取り込んでくれます。これにより、手入力の時間を大幅に削減し、ミスのリスクも減少します。また、会計ソフトは税務申告の準備もサポートしてくれるため、経理作業が格段に楽になります。
オススメ会計ソフト一覧
- 弥生会計【弥生会計オンライン】
- 初心者でも使いやすく、税理士との連携も考えられた設計で、青色申告特別控除をフルに活用できるようになっています。
- freee会計【freee会計】
- 自動で仕訳を作成し、クラウドサービスなので場所を選ばずに経理ができる特徴があります。
- マネーフォワード【マネーフォワード クラウド】
- freeeと同様にクラウド型で、利用者間のデータ共有や協力作業が容易です。
- 勘定奉行
- 中堅・中小企業に広く利用されており、複数の業種に特化した製品ラインナップを有しています。
今はクラウド型でいつでもどこでも帳簿がつけられるのは便利だね。
特にインターネットバンキングと連動しているおかげで記帳も楽だし、資金の管理にも便利!
経理の事業戦略への貢献
経理は単に税務申告のためだけでなく、事業戦略や将来の安定性にも大きく寄与します。
正確な取引記録は、正しい会計処理や確定申告だけでなく、売上の最大化やコスト削減への道筋となります。
現金取引の正確性
飲食店における現金取引の多さは、正確な経理処理の必要性を高めています。
毎日の売上とレジの金額が一致するかの確認は、正しい経理処理の基本です。
経理業務は、飲食店経営にとって単なる義務的な作業ではなく、事業成長のための戦略的なツールとしての役割も果たしているのです。
経理の仕事ってこんなに大きな役割を果たしていたなんて知らなかったよ。
経営者が経理知識を持つメリット
経営者が経理知識を持つメリットは多岐にわたります
簿記知識のメリット
- 財務状況の正確な把握
経営者自身が経理知識を持っていると、日々の収支や財務状態をリアルタイムで正確に把握することができます。これにより、資金の流れを理解し、即座に効果的な意思決定を下すことが可能となります。 - コスト管理と節税
税金は企業運営の大きなコストの一つです。経理知識があれば、税法を理解し、適切な節税対策を講じることができます。また、不必要な支出を削減し、コスト効率を最適化することにもつながります。 - 投資と資金調達の戦略
経理の知識を持つことで、投資の機会を見極める眼を養い、資金調達の際の交渉においても有利な立場を築くことができます。資金の運用や返済計画の立案にも役立ちます。 - リスク管理
経営には常にリスクが伴いますが、経理知識に基づいて財務分析を行うことで、潜在的リスクを早期に特定し、回避策を講じることができます。 - 信頼性の向上
経理の透明性が保たれると、ステークホルダー(従業員、顧客、投資家、金融機関など)からの信頼が高まります。これは、ビジネスの継続性と成長にとって不可欠な要素です。 - 経営全体の理解の向上
経理は経営の言語とも言えます。財務報告書を読み解く能力は、企業のパフォーマンスを総合的に理解し、戦略的な経営計画を策定する上で重要です。
経理を勉強するなら簿記の資格を取るのがベスト
日商簿記3級は、会計の基本的な原理と実務の基礎を理解するのに適したレベルであり、
実際の業務に直接応用できる知識を取得できます。
このレベルの資格を持っていると、帳簿の記入、財務諸表の読解、そして一定レベルの財務分析が行えるようになります。
したがって、飲食店の経営者が簿記の勉強をすることは、経営に対する理解を深める上で非常に有益です。
日商簿記3級を取得するメリット
経営者が簿記についての知識を持つことで
経理スタッフや外部の税理士とより効果的にコミュニケーションを取ることができるようになり
必要な時に自身で財務分析を行うことができます。
これは事業の成功に不可欠なスキルであり、資格取得への投資はその事業を安定させるための重要なステップとなるでしょう。
飲食店の経理で主に使用する勘定科目
飲食店経営では、日々の売上と経費を把握するためにさまざまな勘定科目を使って記録します。ここで紹介するのは、飲食店がよく使う主な勘定科目と、それらがどんな経費に当たるのかの簡単な説明です。
勘定科目 | 説明 |
---|---|
売上 | お客さんから食事や飲み物を提供することで得たお金。 |
仕入 | 料理を作るために必要な食材や飲み物などを買ったときのお金。 |
水道光熱費 | 店の電気や水、ガスを使った分のお金。 |
地代家賃 | 店を構える場所の家賃や、もし倉庫や駐車場を借りているならその分のお金。 |
消耗品費 | おしぼりや文房具、備品などの小物を新しく買ったときのお金。 |
通信費 | 電話やインターネットの料金、郵便代など。 |
給料・賞与 | 従業員に払う給料やボーナス。まかない料理に関しては、一定のルールの範囲内なら給料に含まれない。 |
減価償却費 | キッチンの機械や家具などの長く使うものの価値が少しずつ下がる分の計算。 |
このように飲食店の経理では、これらの勘定科目を使ってお金の流れを記録し、管理します。正しく記録することで、お店の利益を明確にし、無駄な出費を減らして経営を安定させることができます。また、税金の計算をする時にも正確な情報が必要になるので、こまめに帳簿をつけることが大切です。
…うん。まあゆっくり覚えるよ。
青色申告書を作成して65万円節約しよう
青色申告は、税金の計算において多くのメリットを受けることができる制度です。飲食店の経営者の方でも分かりやすくなるように、手順を簡単に説明します。
えっ!?
桃色天国??
青色申告の準備
青色申告の選択
青色申告をするためには、税務署に「青色申告の承認申請書」を提出して許可を受ける必要があります。
これは開業時や年の初めに行うと良いです。期限は開業の翌月15日まで、または年末の2か月前までです。
帳簿の準備
青色申告では「複式簿記」という方法で帳簿をつける必要があります。
飲食店の場合は、日々の売上や仕入れ、経費などを記録しておく必要があります。
会計ソフトを使えば、この作業を簡単にできます。
青色申告の流れ
青色申告の流れ
- 日々の記録
- 売上や経費など、お店のお金の動きをすべて記録します。毎日の売上金額、仕入れた食材のコスト、水道光熱費など、全ての支払いと収入を正確に帳簿に記入します。
- 帳簿の整理
- 毎月または定期的に帳簿をチェックし、レシートや領収書などの証憑を帳簿の記録と一致させます。不明な点があれば、すぐに確認・修正します。
- 確定申告の準備
- 事業年度の終わりになったら、その年の収入と支出をまとめて、利益を計算します。会計ソフトを使用していれば、このプロセスも自動化できる部分が多く、簡単に行えます。
- 確定申告書の作成
- 利益が出たら、それに対して税金がいくらになるかを計算し、確定申告書を作成します。これには、利益計算書や貸借対照表(バランスシート)が必要です。
- 税務署への提出
- 確定申告書と必要書類を税務署に提出します。提出期間は翌年の2月16日から3月15日までですが、電子申告の場合は期間が少し長くなることもあります。
注意点
- 青色申告を利用するための条件や細かいルールがありますので、事前に税務署や税理士に相談することをお勧めします。
- 会計ソフトを利用すると、多くの計算や書類作成が簡単になりますが、それでも自信がない場合は、プロの税理士に依頼するのも一つの方法です。
このように青色申告は、手順を踏むことで飲食店経営者でも実施可能です。経営と同様に経理も大切な業務なので、しっかりと管理を行ってください。
青色申告書は経営の”通信簿”と見なすことができます。これにより以下のメリットがあります
- 信用の証明
金融機関は貸し出しを検討する際に、返済能力だけでなく経営者の経営能力についても評価します。青色申告書は経営の透明性と経営者の責任感を示すための重要な指標となります。 - 金融機関との信頼関係
しっかりと記録され、管理された帳簿を基に作成される青色申告書は、金融機関に対して経営者が真剣にビジネスに取り組んでいることを示します。この信頼関係は、融資条件を有利にする上で大きな力となります。 - 詳細な財務情報の提供
青色申告書には、企業の財務状況が詳細に記載されており、融資をする側にとっては、より具体的な企業評価が可能になります。これにより、信用リスクを適切に評価しやすくなります。
確定申告についてはコチラでさらに詳しく解説しております。
簿記3級から2級にステップアップするには?
え~!
まだ勉強しないとだめなの?
簿記2級って難しいんでしょ?
簿記2級にはメリットがあります。
飲食店を開業する際に、より詳細な財務管理ができるようになります。これは経営を安定させる大きな要因となります。
簿記2級を学習するメリット
- 詳細な財務管理:
- 簿記2級を取得すると、製造業勘定や固定資産の減価償却など、より複雑な会計処理が理解できます。これにより、コストの管理が正確にでき、無駄な支出を減らすことができます。
- 資金繰りの改善:
- 正確な資金繰りは飲食店の成功に不可欠です。簿記2級の知識を持つことで、資金計画が立てやすくなり、突然の財政問題にも対応できます。
- 信頼性の向上:
- 金融機関や投資家に対して、しっかりとした財務知識を持つことが証明できれば、資金調達がしやすくなります。
簿記2級を取得するにはどれくらいの学習時間が必要?
簿記2級ってどのくらいの学習時間が必要なの?
開業の計画も建てないといけないし時間が無いよ。
勉強時間は、経験者と初心者で違います。
簿記経験者の場合、すでに基本的な知識があるので、独学だと約250時間から350時間、期間にして4~6ヶ月が目安です。
通学や通信講座を利用すれば、150時間から250時間で済むこともあります。
簿記2級には工業簿記も含まれるので、学習範囲が広がりますが、通信講座を利用すると効率的に学べます。
現在はyoutubeでも解説動画がありますので、まずはそのような動画を視聴して難しければ通信講座を利用すると良いでしょう。
まとめ
青色申告は、細かい経理記録をつけることで税金の節約が見込める制度です。これを行うことで、飲食店経営者は税務上のメリットを享受し、融資の際の信用証明にもなります。
経理作業が不安な場合は、専門家を雇う、税理士に依頼する、または会計ソフトを活用することで対応可能です。経理は経営の健全性を示すためにも重要で、売上や仕入れ、給与などの金銭の流れをきちんと記録・管理する必要があります。
ぼくも先生たちの話している内容が理解できるくらいの知識は身につけるよ!(…領収書もらっておいて!経費で落とすから!!)