こんなときどうする?飲食店で起きやすい7つの事故|保険の範囲と対処法

甲斐承太郎

ねえ所長…。
もしお店で食中毒が出たり、コーヒーをこぼして弁償になったり、
「異物が入ってた!」って言われたりしたら……
ワンオペの俺じゃ絶対パニックだよ。
どこまで店の責任で、どこからは違うのか…全然わからないんだ。

アカガネ所長

不安になりますよね。
でも飲食店のトラブルは、実はたった 3つのルール を知っていれば
ほとんど整理できるんです。
“過失はどっちにあるか”
“実費かどうか”
そして
“売上補填はほぼ認められない”
──この3つだけで判断できますよ。

この記事でわかること
  • 飲食店で本当に起こりやすい“7つの事故”の正しい対処法がわかる
  • どこまでが店の責任で、どこからが“相手側の問題”かが線引きできる
  • 事故が起きても店を潰さない“保険の使い方・備え方”がわかる
シマナガ

飲食店トラブルは過失の有無 × 実費の範囲
この2点で処理すれば足りる。
あとは保険。
PL保険と施設賠償責任保険に加入していれば、店は守られる。

この記事を書いた人

こやけ企画代表:たがわひでゆき

たがわ ひでゆき

所有資格:行政書士・簿記2級
趣味:プロレス

1983年生まれ、旭川出身。
飲食店開業支援を手掛ける『こやけ企画』の代表。
長年運送業に従事しながら、キャリアチェンジを目指して3度目の挑戦で行政書士試験に合格。

脱サラを目指す方々に向けて、楽しくわかりやすく飲食店開業ノウハウを発信するブログ『脱サラ物語』を運営中。
将来、行政書士として独立開業することを目標に、日々準備を進めています。

私生活はサラリーマンとご当地レスラー「イソロク」として2足のわらじで活動中

目次

第0章|7つの事故が一目でわかる総まとめ(図解)

アカガネ所長

まずは全体像をざっとつかんでおきましょう。
飲食店で実際に起こりやすい事故は、この7つに集約されます。
どれも「店が悪いのか?」「保険が効くのか?」
判断が分かれやすい部分ですが、
こうして並べれば “どの事故で何をすればいいか” が一瞬でつかめますよ。

シマナガ

事故対応は「原因の線引き」「証拠」「保険」
この3つがすべて。

7つの事故を一枚で理解する総合表

事故例店の責任?最初にやること行政・警察使える保険大まかな結論
① 食中毒(原因次第)事実確認 → 保健所連絡必須(保健所)PL保険/店舗賠償初動がすべて。原因が出るまで冷静に対応。
② 熱傷・ケガ(客)(過失次第)応急処置 → 事故状況記録場合により警察店舗賠償段差・滑りは“管理責任”になりがち。
③ 異物混入(原因次第)回収 → 食材確認 → 報告無し(重大なら保健所)PL保険事実確認と再発防止で大半は収束。
④ 物損(服・バッグ)(店の過失時)謝罪 → 汚れの応急処置無し店舗賠償“気持ちのケア”が最重要。
⑤ 備品破損(客が壊した)(客の過失)状況確認 → 実費請求無し(店の保険は不可)客が壊したものは“実費請求”で対応。
⑥ 盗難・紛失(預かり品)(店の過失)状況確認 → ロッカー確認無し店舗賠償預かった以上、善管注意義務が発生。
⑦ 盗難・紛失(客の自己管理)(店の責任なし)一緒に探索 → 記録無し(保険不可)原則は自己責任。ただし説明の誠実さが鍵。
甲斐承太郎

すごい……
この図を見るだけで、
事故が起きたとき“どう判断すればいいか”がだいたいわかる!

食中毒は保健所。
ケガは店の過失かどうか。
紛失は預かりか自己管理か。
物損は過失の所在を調べる。

第1章|食中毒が起きたらどうする?(PL保険の最重要ケース)

甲斐承太郎

もしさ、お客さんから突然
「昨日の料理でお腹壊したんだけど…これって食中毒じゃない?」
って連絡が来たら……どうしたらいいの?

アカガネ所長

食中毒は“店が終わる事故”ではありません。
ただし 最初の一手(初動対応)で運命が変わります。
まず理解してほしいのは、食中毒対応には
①初動 → ②情報収集 → ③保健所 → ④行政判断 → ⑤補償・再発防止
という正式な流れがあり、この通りに動けば
行政処分も炎上も最小限にできます。

逆に、

  • 否定する
  • 隠す
  • 黙っててとお願いする

これは最悪の一手で、処分が重くなります。

“正しい手順”を知っていれば怖がる必要はありません。

シマナガ

食中毒は、初動で9割決まる。
最初にやることはただ一つ。
事実を集めて保健所と連携する。
これだけで、対応はほぼ成功する。
PL保険が機能するのも、この初動が前提。

食中毒が疑われたときの「正しい流れ」

STEP
【① 初動対応|感情より事実】

お客さんに確認する項目(この順番が重要)

  • 来店日・時間・人数
  • 食べたメニュー
  • 発症時間(6〜72時間以内か)
  • 症状(発熱/下痢/腹痛/嘔吐)
  • 同席者に同症状がいるか
  • 病院受診したか
  • 氏名・連絡先

やってはいけない行動

  • 「うちのは絶対に大丈夫です!」←否定は隠蔽扱い
  • 「内緒にしてもらえません?」←アウト
  • その場しのぎの謝罪や返金で終わらせようとする
STEP
【② 情報収集(2〜3日間)】
  • 同じ日の別客に症状は?
  • 仕入れ先で事故報告は?
  • 従業員に体調不良は?
  • 当日の食材は捨てずに保存
  • 温度管理記録(HACCP)があれば準備しておく

保健所の調査で最重要資料になる。

STEP
【③ 保健所への連絡 → 立入調査】

連絡ルール

  • 病院が診断 → 病院が24時間以内に保健所に届け出(食品衛生法)
  • 店側が“疑い”を把握した場合 → 行政は店からの連絡を推奨

保健所が行う調査

  • 厨房の拭き取り検査
  • 仕入れ食材の検査
  • 保存食材の確認
  • スタッフ検便
  • 衛生管理マニュアル(HACCP)の確認
  • 調理工程のヒアリング(作り置き時間など)

→ 誠実に協力したほうが処分が軽くなる。

STEP
【④ 行政判断(行政処分が出る場合)】

食品衛生法55条にもとづく判断。

店に“過失あり”の場合

  • 営業停止(3〜7日が一般的)
  • 改善命令
  • 行政のWebサイトで公表(信用低下)

お客さんへの補償(PL保険で対応可能)

  • 医療費
  • 通院交通費
  • 休業損害
  • 慰謝料(1人3〜5万円が多い)
STEP
【⑤ 補償・示談(保険会社がサポート)】
過失ありの場合過失なしの場合
検査結果の説明検査結果を提示すれば解決することが多い
事実ベースで淡々と説明
感情で反論しない
保険会社による示談代行が入る(PL保険の強み)
甲斐承太郎

こんなに手順があるんだ……。
でも逆に“手順を知ってれば怖くない”ってことか。
食中毒って“終わり”じゃないんだね。
初動で全部変わるって、覚えておくよ。

第2章|異物混入を疑われたらどうする?(最も炎上しやすいトラブル)

甲斐承太郎

もしお客さんから「料理の中に髪の毛入ってたんだけど!」
とか「虫が混入してた、どうしてくれるんだ」
って言われたら……。
それが本当でも怖いし、
“わざと入れられてクレームにされる” って話もあるじゃない?
これ、どう対応すればいいの……?

アカガネ所長

異物混入は、飲食店で最も炎上リスクが高い事故です。
しかし、これも “初動で9割決まる” のは食中毒と同じ。
まず覚えてほしいのは…異物混入=必ず店の責任、ではないということ。
すべて原因は複数あり、“店側の過失ではないケース”も非常に多いんです。
だからこそ否定も認めすぎもしない中立対応これが鉄則です。

異物混入で店舗が本当に守られるのは
PL保険(生産物賠償責任保険)です。

シマナガ

異物混入は「事実確認 → 原因切り分け → 必要があれば保険対応」。
この3つだけでいい。

異物混入が起きたときの正しい流れ

STEP
初動対応:まず“受け止める姿勢”だけ示す

店が言うべき言葉はひとつだけ。

「ご不快な思いをさせてしまい申し訳ありません。すぐ確認させていただきます。」

※ここで過失を認めない・否定しない
これが重要。

STEP
現物の確保|最優先タスク

異物混入は 現物が命。これが証拠になる。

  • 異物そのもの
  • 問題の料理
  • 写真(位置、角度、全体)
  • お客さんの証言(メモでOK)

現物を捨てたり洗ったりすると“原因究明不能”となり、店が不利になる。

STEP
原因の切り分け(店の過失か、外部要因か)

異物混入の要因は大きく3つ。

店の過失(厨房・衛生管理)

  • 調理中の混入
  • 髪の毛/服の繊維
  • 調理器具の破片

仕入れ側の問題(野菜・肉類)

  • 野菜に虫
  • 加工食品の内部異物

仕入れ先のPL保険が使えるケースもある。

持ち込み異物 or 悪意(店外混入)

  • 客のバッグや服の繊維
  • 後から置かれた可能性
  • 故意の混入(まれだが存在する)

→この切り分けをするために「現物」が必要。

STEP
PL保険が使えるケース

PL保険が使えるのは店の提供物に原因がある場合。

例)

  • 料理の中に金属片
  • プラスチック破片
  • 調理工程による混入

※髪の毛・繊維・虫の一部は「不可抗力」と判断され、保険対象外になることもある。

甲斐承太郎

なるほど……!
異物混入って“全部店が悪い”って思い込んでたけど、
原因はいろいろなんだね。
しかも、現物さえあれば店が悪いのか、仕入れなのか、客側なのか
ちゃんと判断できるのか……。
怖いけど、手順さえわかってれば冷静に動けそうだよ。

第3章|第三者による“悪意”のいたずら・SNS炎上(悪質クレーム編)

甲斐承太郎

アカガネ所長…これ、一番メンタル削られるやつだよ。
「料理に異物が入ってた」「接客態度が悪かった」って嘘を言われたり、
帰ったあとにSNSで勝手に写真アップして悪口書かれたり…
心当たりがないのに、悪意だけで店を潰しに来る人って、実際いるよね?
こういう “悪意系クレーム” って、どう対処すればいいんだ…?

アカガネ所長

悪意で店を叩く人は、残念ながら少なくありません。
無断撮影、捏造口コミ、SNS炎上、
定期的に嫌がらせをしてくる人……
ただ、覚えておいてください。
悪意のクレームほど “冷静に証拠を残す” だけで、ほぼ防げます。

感情で反論すると炎上する。
放置すると被害が広がる。

店が取るべき姿勢は
①対話しない → ②証拠化 → ③プラットフォームと法の力を使う
この3ステップ。
これは “泣き寝入りするしかない” トラブルじゃありません。
むしろ、もっとも法で守られるジャンルなんですよ。

シマナガ

悪意のクレームは「店個人で戦わない」ことが最も重要。
証拠だけ集めて、
削除依頼・通報・法的手続きで処理する。

SNSの炎上は “論破” ではなく “手続き” で消す。

悪意クレーム・SNS炎上の正しい対処

STEP
感情で反応しない(返信しないが正解)

悪質クレーマーは
「反応」=「燃料」
になる。

返信すると
「対話の意思あり」とみなされ、
ストーカー規制法の適用も弱くなる。

店がやるべきことはひとつ。

「返信ゼロ」。スクショだけ保存。

STEP
証拠の確保(勝敗の9割がここで決まる)

必要な証拠

  • 投稿のスクショ
  • 投稿URL
  • 投稿者ID
  • 投稿日時
  • 画像つきなら必ず保存
  • 連投数、DMの回数

証拠が揃っていると
SNS・Google・警察が一気に動きやすくなる。

STEP
プラットフォームへ削除依頼

▼ 各サービスは名誉毀損・虚偽口コミに かなり協力的

  • Googleレビュー → 法律問題の報告から削除依頼
  • Instagram → 「嫌がらせ・虚偽情報」で通報
  • X(旧Twitter) → 迷惑行為・嫌がらせで通報

※対応は早い。
特にGoogleは “虚偽” に厳しい。

STEP
悪質なら発信者情報開示(弁護士)

口コミ・SNSでの悪意投稿は
以下の法律が使える。

法律名内容(何が問題?)店側が可能な行動
名誉毀損(刑法230)虚偽の悪評削除申請、損害賠償請求
信用毀損(刑法233) 営業妨害目的投稿警察への相談・通報
偽計業務妨害(刑法233)デマ拡散・虚偽情報捜査依頼(刑事事件として扱われやすい)
プライバシー侵害(民事)店員や客の個人情報を暴露する行為損害賠償請求・削除依頼
投稿者が匿名でも心配ない。

弁護士 → サイト運営 → プロバイダ
と段階を踏めば、IPアドレス → 個人特定まで可能。

※実際、飲食店の誹謗中傷は賠償金30~80万円が相場。

STEP
実害がある場合は警察へ

▼刑事事件になりやすい行為

  • 「店に行くぞ」などの脅迫
  • 店舗名を出したデマ拡散
  • 悪意あるレビュー連投
  • 店員の個人情報晒し

警察は 証拠が揃っていれば即動く

STEP
店の対応をとろう
やってはいけないことやるべきこと
SNSで反論店舗で統一ルール
「SNS対応は責任者のみ」「DMは個人が対応しない」
特定客を名指し防犯カメラで証拠確保
感情投稿口コミ監視システム(無料ツールでOK)
店のアカウントで炎上に参加店舗賠償責任保険で“弁護士費用特約”をつける
一対一のDM対応
甲斐承太郎

げぇ……。
SNSの悪意って、反論したら終わりだと思ってたけど、
“証拠 → 削除 → 開示請求” で全部片づけられるんだな…。
冷静に、手続きで戦う。
これは気持ち的にも救われるわ。

第4章|レジトラブル(お釣りが違う・払ってないと言われる)

「お釣りが違う!」
「払ったはずなのに!」
「レシートなんて受け取ってない!」

甲斐承太郎

こういう“言ったもん勝ち”みたいなクレーム、
ワンオペで忙しい時に来ると、
ほんと頭が真っ白になるんだ…。
これ、どう対処したら正しいの?
店のせいなの? こっちが悪いの?

アカガネ所長

ものすごくよくありますよ。
小さな店ほど “レジの記憶頼み” にしてしまって、
あとで揉めるパターンが多いんです。
このトラブルは「正しい形」で対応すれば、9割はその場で収まります。

ポイントは3つ。
  • 正誤の“証明”はほぼ不可能
  • だからこそ「誠意ある対応」が最優先
  • 次のトラブルを防ぐ“仕組み”を作ることが本質

「どっちが正しいか?」ではなく「どう次のクレームを作らないか?」が本題!

シマナガ

その場での“真実の証明”はほぼ不可能。
だから実務では事実確認
お詫び→必要があれば返金・再発防止策
この流れが最適である。
法律的には「客が本当に損害を受けたか」が争点になるが、
少額の場合は立証が困難なため、紛争に発展するケースはほぼ無い。

レジトラブルの正しい対応フロー

STEP
① まず“全面否定”は絶対NG

✕ 「そんなはずないです!」
✕ 「あなたの勘違いですよ!」

これは火に油。
お客の“自尊心”を傷つけると、そこからSNS炎上まで行く。

STEP
② 最初にやるべきは「丁寧な事実確認」

落ち着いて以下を確認する。

  • 受け取った金額
  • 打った金額
  • レジの残額
  • 客が提示する状況(レシート・スマホ決済履歴)

※ワンオペなら、深呼吸して「少しお時間ください」と伝えるだけでクレームは沈みやすい。

STEP
③ それでも“証明”が難しい理由

レジトラブルが厄介なのは、次の要因。

  • 会計時のやりとりは数十秒
  • 店側も客側も記憶が曖昧
  • 第三者がいない
  • カメラがないと決定的証拠がない

だから実務では、

店・客どちらも“完全に証明する”ことができない。

これが最大のポイント。

STEP
④ 店が取るべき最適解

● 少額なら返金して収束させるのが最も現実的

「本日はご不快な思いをさせて申し訳ありません。
確認にお時間をいただきましたので、こちらお渡しします。」

ほとんどはこれで終わる。
※返金=自分たちのミスを認めた、にはならない。

● 重大トラブルの“予防策”が本質

再発防止が本命。

  • 会計時に必ず“声に出して復唱”
  • レシートを必ず渡す
  • 動画付き防犯カメラの設置
  • POSレジ導入(Airレジ・スマレジ)

POSレジは最高の防御壁。
客の決済履歴が残るため、トラブルの9割が消える。

STEP
⑤ 法律視点(最小限)

法的には「損害賠償」を主張するには
客側が“損害の発生”と“金額”を証明する義務 がある(民法の原則)。

ただし現実は、
数百円〜千円の話で裁判になることはほぼない。

だから 店側も“法で戦う前提”ではなく“事故を減らす設計”が正解

甲斐承太郎

なるほど…。
「どっちが正しいか」で戦うんじゃなくて、
“どうトラブルを消すか” が本質なんだね。
確かに POSレジと復唱だけで、
ここのストレスがほぼゼロになるのってめちゃくちゃ助かるわ…。

第5章|「財布がない!」と言われた時の正しい対応

甲斐承太郎

「財布がない!ここで落としたはず!」「店で盗まれたんじゃないの!?」
お客さんが感情的になると、なにが正しいのか分からなくなってくるんだ…。
こういう時って、店は責任を取らなきゃいけないの?
補償しないといけないの?

アカガネ所長

これは小さな店ほど起きがちですね。
ただ、まず最初に知っておいてほしいことがあります。
「店内で起こった紛失=店の責任」ではありません。
法律的には、飲食店は“クローク(預かりサービス)をしていない限り”
客の所持品の管理義務は負いません。

シマナガ

つまり、財布やスマホの紛失は
原則としてお店の賠償責任は発生しないんです。
大事なのは「責任」ではなくどう正しく調べ、どう丁寧に案内するかというプロセスのほう。
この立ち回りで、炎上とクレームの8割が防げます。

紛失物は「客の自己管理」が原則。
店に賠償義務はない。

ただし次の2つは例外となる。
① 店が預かった荷物
② 店側の明らかな過失(床の隙間・段差・設備不良など)

したがって実務では
  • 丁寧に捜索
  • 状況整理
  • 必要なら警察へ案内
  • 過失が無いことを明確にする

これが正しい対応となる。

紛失トラブルの正しい対応フロー

STEP
まず“疑われても感情で返さない”

✕ 「うちは関係ないです!」
✕ 「自分で落としたんでしょ?」

これは絶対にNG。
相手がさらに怒って、SNSに飛び火する。

STEP
状況確認のフロー(事実を丁寧に積む)
  • 来店時間
  • 座った席
  • 注文時に財布を出した記憶があるか
  • トイレ・外出の有無
  • 同行者の動き
  • 席や床、通路の確認

※ワンオペの場合でも「順番に確認しますね」と一言添えるだけで、客の怒りは半分に落ちる。

STEP
店に“責任なし”になる理由(法律編/超シンプル)

法律上、飲食店は
客の手荷物を管理する義務(=保管義務)を負わない。

根拠は民法の基本原則。

  • 店は客の物を保管する契約ではない
  • 提供しているのは「食事とサービス」
  • 財布・スマホは客自身の管理が原則

例外は次の2つだけ。

● 店が預かった場合(クローク)
→ 店が管理責任を負う

● 店の過失で物が失われた場合
例:

  • 床に深い隙間があり、財布が落ちて排水溝に流れた
  • 設備が壊れていて隙間に落ちた
  • 従業員が客の荷物を間違って捨ててしまった

これ以外は、基本的に店の補償義務はない。

STEP
実務での“最も正しい対応”

1)まず一緒に探す(ここが最大の信頼ポイント)

「一緒に確認しましょう」
と言って席・床・レジ周りを丁寧に確認する。

※実際、財布の7割は“席の下・椅子の溝・かばんの奥”から出てくる。

2)見つからない場合の次のステップ

  • レジの監視カメラ確認(あれば)
  • お客さんと「最後に使ったのはどこか」整理
  • その場で110番ではなく、
     「落とし物・遺失物の届け出」へ案内

※警察は「紛失」は事件ではなく手続き扱い。

3)客が「弁償しろ!」と強く要求した場合

穏やかに説明する。

「申し訳ありません。
店としても全力で探しましたが、お客様の所持品はお客様の管理となっており、こちらで補償ができない仕組みとなっております。」

※この説明は、法律的に正しい。※補償の前例を作ると常習クレーマーに狙われる。

STEP
予防策(これが一番重要)
  • 防犯カメラを1台、レジ前か入口に置く
  • バッグ用フックを座席につける
  • ポスターで「貴重品はお客様ご自身で管理をお願いします」表示
  • トイレに“スマホ忘れ注意”の貼り紙
  • Airレジ・スマレジで映像付きレジログを残す

特にバッグフックは200円でリスク激減。

甲斐承太郎

なるほど…。
店の責任じゃないのに、
“どうやって丁寧に落ち着かせるか” が一番大事なんだね。
確かにバッグフックとかカメラとか、
小さい対策でほぼ未然に防げるなら絶対やるべきだ…。

第6章|店内でケガ・転倒が起きたら?責任は店?それともお客?

甲斐承太郎

もしお客さんが店内で転んでケガしたら、
治療費って全部こっちが払わなきゃいけないのかな?
“店の責任です!”
って強く言われたら反論できる自信がないんだよ…。

アカガネ所長

「店内で転倒=店の責任」ではありません。
飲食店の責任が発生するのは“店側の過失(管理ミス)”があるときだけ。
逆に言えば、
防げなかった事故や、お客さん自身の不注意は店の責任にならない。
ここを正しく理解しておけば、必要以上にオロオロすることはありません。

シマナガ

店に過失がなければ賠償義務なし。
店に過失があれば賠償義務あり。
判断基準は次のとおり。

店側に「責任なし/責任あり」の線引き

店の責任にならない(過失なし)店の責任が認められる(過失あり)
酔ってふらついて転倒床が濡れていたのに“注意表示なし”
ハイヒールが折れた清掃不足で滑りやすい床
持参したバッグの紐が切れたカーペットのめくれを放置
走って転んだ壊れた椅子・テーブルを放置
勝手に立ち上がって段差でつまずいた照明が暗すぎて段差が見えない
体調不良で倒れた凍結した入口の除雪・融雪が不十分(冬季店舗)
→ 客側の自己管理。店は賠償義務なし。→ 店側の管理不十分 → 治療費等を賠償する必要あり。

対応フロー

STEP
まず最優先は“ケガ人の安全確保”
  • 椅子に座らせる
  • 冷やす/消毒など簡易処置
  • 痛みが強ければ救急案内

この時点では“責任”は考えない。
最優先は人命。

STEP
事実関係の確認(冷静に)
  • どこで転んだか
  • どんな動きをしていたか
  • 周囲に障害物はあったか
  • 店内の床・段差・照明の状態
  • 同席者の証言

ここで慌てて「店のせいじゃありません!」と言うのは絶対NG。
感情を刺激するだけ。

STEP
写真・メモで現場を記録する(超重要)
  • 転倒場所
  • 床の状態
  • 段差・照明
  • 椅子の破損
  • 雪・氷・水滴の有無(冬季)
  • 客が履いていた靴の状態

後々、責任の判断をする重要な材料になる。

STEP
保険会社へ連絡(店舗賠償責任保険)

店に過失が“あるかもしれない”と思ったら、
すぐに 店舗賠償責任保険 に連絡。

保険が対応できる項目:

  • 治療費
  • 通院交通費
  • 慰謝料
  • 休業補償(ケースによる)
  • 示談代行サービス

「店が悪い/悪くない」の判断も、保険会社がやってくれる。

STEP
客とのやり取り(店が言っていいのはこれだけ)

「まずご体調が心配です。
状況を確認して保険会社とともに対応させていただきます。」

これだけで十分。

店が勝手に
・治療費を断言
・責任の有無を断言
するのはNG。

予防策(この4つで事故の8割は防げる)
  • 床濡れ時は「濡れています」表示
  • 店内の照明チェック
  • 通路に荷物を置かない
  • 壊れた椅子は即撤去
  • 入口の雪・氷はこまめに除雪(北海道必須)

ワンオペ店なら「開店前の安全チェック」をルーティン化すると安心。

甲斐承太郎

「転んだ=店が悪い」じゃないんだね…。
法律って、意外とフェアだな。
でも、店の管理不足だとちゃんと責任が発生するのも身が引き締ます…。
安全対策はコストじゃなくて“信用の投資”だね。

第7章|火災・ボヤ・設備トラブル(ガス・電気・コンロ)

甲斐承太郎

コンロの油が跳ねてボッと火がついたり、
換気扇に油が溜まっていて火が回ったり、
電気のショートで煙が出たり…。
もし火災が起きたら、どう対処すればいいの?
保険はどこまで助けてくれるの?

アカガネ所長

火災は飲食店にとって“最大級のリスク”。
でも承太郎さん、安心してください。
飲食店の火災は 7割が初期対応で止められる と言われています。
さらに、火災・ボヤは「店舗総合保険(火災保険)」でほぼ全てカバーできます。
ただし、正しい初動ができないと損害が大きく広がり、保険が使えなくなるケースも…。

シマナガ

火災は「初期消火 → お客の避難 → 通報 → 証拠確保」
この順番を守れば被害は最小化できる。
そして、損害(修理費・休業損害)は店舗総合保険で補える。

飲食店で実際に起こりやすい火災パターン

事故パターン原因初期対応備考
天ぷら油の引火油温度上昇・不在調理蓋をして酸素を遮断/消火器(粉末)水をかけると爆発するので厳禁
コンロ周りの布巾・紙への着火近くに可燃物消火器→濡れタオルで覆う可燃物の整理が重要
換気扇・ダクト火災油汚れの蓄積初期消火困難→即避難&通報店での完全消火は不可能
電気配線のショート老朽化・タコ足ブレーカーを落とす→通報消火器はOK(水はNG)
卓上コンロのボヤCB缶の誤使用火を止める→缶を冷やす誤ったセットが多発

初期対応フロー

STEP
火が小さい場合の初期消火(できる場合のみ)
  • 消火器で1〜2秒以内の消火(粉末が基本)
  • 油火災は“蓋をするだけ”でも消える
    ※水は絶対NG(油が飛び散る)

※消火が怖い・炎が伸びたら即避難。
ワンオペ店は「無理して消さない」が鉄則。

STEP
避難誘導(お客優先)
  • 火の方向と逆側へ誘導
  • 外へ出たら全員点呼
  • 貴重品よりも命
STEP
119番通報(初期消火と同時進行)

通報内容:

  • 店名・住所
  • 火災の種類(油・電気・換気扇)
  • 逃げ遅れの有無
STEP
再発防止のためのブレーカー/ガス停止
  • ガス元栓を閉める
  • ブレーカーを落とす
STEP
証拠確保(のちの保険用)
  • 焼損箇所の写真
  • 事故前の状況
  • 使用していた器具
  • 従業員や客の証言

これらは保険金の審査で非常に重要になる。

保険でどこまで補償される?(店舗総合保険)

補償されるもの補償されない可能性があるもの
建物の修理費過失が重い(油を放置して席に戻る等)
厨房機器・冷蔵庫・什器の損害消防法違反(消火器なし、点検未実施)
汚れ・ススの清掃費故意(もちろん対象外)
商品・食材の廃棄費用
休業補償(特約)
→ 営業できなくなった日数に応じて補填
賠償責任(隣店舗に延焼した場合)
予防策(ワンオペ飲食店こそ重要)
  • 換気扇・ダクトの定期清掃
  • 油は温度管理(200℃超は危険)
  • コンロ周りに布巾を置かない
  • 消火器は“手の届く距離”に
  • タコ足配線を避ける
  • 営業前の安全チェックをルーティン化

これだけで事故率が大幅に下がる。

甲斐承太郎

火災って“終わり”だと思ってたけど…
初動 → 避難 → 通報 → 証拠
この流れさえ覚えておけば、ワンオペでも守れるんだな。
そして保険が、思ったよりも頼もしい…。
保険入ります!

まとめ

アカガネ所長

どんな事故でも、実は必要なのは“三つ”だけなんです。
① 原因を正しく切り分ける
② 証拠を残す
③ 保険で処理する
この3つができていれば、飲食店のほとんどのトラブルは“大事になる前”に収まります。

シマナガ

事故への不安は、知識と仕組みで小さくなる。
保険で“最終ライン”を作れば、店は折れない。
準備はコストではなく“防御力”。
心配せずに、粛々と整えれば良いだけです。

甲斐承太郎

なるほど……
事故が起きたときに慌てるんじゃなくて、
準備しておけば“やることが決まってる”から怖くないんだね。
よし、まずは自分の店が
どこまで保険で守られてるか確認するところから始めよう!

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