カフェ開業の第一歩はここから!売上・費用・利益がわかる事業計画講座

甲斐承太郎

なんか、前の記事(準備と計画編)で
「カフェ経営の成功も失敗も、事業計画しだい!」ってのはわかったよ。
で、その計画書ってのはどうやって作ればいいの?

アカガネ所長

いい質問です。
事業計画書は“誰かに見せる”ためだけのものではありません。
あなた自身の理想を言語化し、数字に落とし込むことで、
「ブレずに進む」ための地図となるのです。
さらに、開業資金を調達するための必要なツールになります。

この記事でわかること
  • カフェの事業計画は「売上・経費・利益」を数字で逆算して立てることができる
  • コンセプトやメニューが物件や収支に直結することがわかる
  • 損益分岐点や運転資金の考え方を知り、開業後の資金ショートを防げる
シマナガ

事業計画書とは、自分用の道しるべであり、相手への羅針盤である。

この記事を書いた人

こやけ企画代表:たがわひでゆき

たがわ ひでゆき

所有資格:行政書士・簿記2級
趣味:プロレス

1983年生まれ、旭川出身。
飲食店開業支援を手掛ける『こやけ企画』の代表。
長年運送業に従事しながら、キャリアチェンジを目指して3度目の挑戦で行政書士試験に合格。

脱サラを目指す方々に向けて、楽しくわかりやすく飲食店開業ノウハウを発信するブログ『脱サラ物語』を運営中。
将来、行政書士として独立開業することを目標に、日々準備を進めています。

私生活はサラリーマンとご当地レスラー「イソロク」として2足のわらじで活動中

目次

STEP0:事業計画ってなぜ必要?

──“あなたの理想”を数字に変える最初の一歩

アカガネ所長

夢や情熱があるのは素晴らしいことです。
でも、カフェ経営は「好き」だけでは続きません。
まず必要なのは、“あなたの理想”を他人に伝わるカタチにすること。
それが「コンセプト設計」です。

コンセプト設計がすべての起点

どんなお店?ターゲット提供価値(ベネフィット)
早い・安い・旨い混雑する駅前のセルフカフェ通勤サラリーマン時間短縮とコスパ
写真映えスイーツとドリンクSNSで拡散されるカフェ若年層の女性体験と話題性
落ち着いた空間で長居できる店コメダ的くつろぎカフェシニア層・主婦居心地の良さ
甲斐承太郎

僕が目指しているカフェはミュージシャンの使用した衣装やギターを飾った店内で、ノンストップで流れるミュージックを聴きながら、手作りにこだわったアメリカ料理と革新的なカクテルが楽しめる …

アカガネ所長

いいですね!それが立派な“コンセプト”です。
この段階で、あなたが「誰に」「どんな時間を提供するのか」が明確になります。
ここから、すべての設計が逆算できるようになるんです。

シマナガ

ハードロックカフェ…

なぜ事業計画が必要なのか?

理由目的
融資を受けるため日本政策金融公庫や銀行に提出が必要
家族・パートナーを納得させるため数字で説明できると安心感が増す
開業後に道に迷わないため「迷ったらここに立ち返る」設計図になる
たとえば有名チェーンは…
スターバックス3rdプレイス(家庭・職場以外の居場所)を創出。店舗ごとに戦略を設計。
コメダ珈琲「くつろぐ、いちばんいいところ」が理念。郊外×長居×満腹を重視。
星乃珈琲店スフレパンケーキやレトロ空間で「非日常」を演出。

STEP1:カフェの売上予測を立てる

──「目標売上」はコンセプト次第で変わる!

アカガネ所長

事業計画の第一歩は「売上予測」です。
カフェ経営で言う売上は、以下の式で構成されます。

売上の基本式:
客単価 × 席数 × 回転率 × 営業日数

シマナガ

これをもとに、あなたの“理想のカフェ”を数字に変換してみましょう。

コンセプト別 売上予測の目安

店舗A(都心駅前の高回転カフェ)店舗B(郊外のくつろぎカフェ)
客単価:800円客単価:1,200円
席数:15席席数:10席
回転率:4回回転率:1.5回
営業日数:25日/月営業日数:25日/月
月商:120万円月商:45万円
甲斐承太郎

へえ〜、同じカフェでも、
コンセプトやターゲットによって、売上の構造がぜんっぜん違うんだね!

シマナガ

その通りです。
売上予測は「店の方向性」を映す鏡です。
あなたのカフェは、どのスタイルでいきますか?

もうひとつの事例

実際に営業しているカフェを観察してみましょう。

A店(スタンド型セルフカフェ)B店(コメダ的フルサービス)
提供時間:1〜2分提供時間:10〜15分
滞在時間:15〜20分滞在時間:1〜2時間
メニュー数:5〜6品メニュー数:30品以上
利益率:高め(回転重視)利益率:低め(単価・満足重視)

あなたの「売りたいもの」「来てほしい客層」「演出したい空間」が決まれば、
売上は“計算可能な未来”になる。

客単価はどうやって決まるの?

甲斐承太郎

でもさ…
「客単価が1,000円」って言うけど、それってお客さんが決めるものでしょ?
なんで開業前にわかるの?

アカガネ所長

いい質問です。
客単価は、あなたのメニュー構成と価格設定次第で決まるんです。
たとえば、以下のようなメニュー開発の違いで、客単価はまったく変わってきます。

タイプ主な提供品メニュー例想定客単価
ドリンク特化型コーヒー、紅茶などブレンド¥400、カフェラテ¥500500円前後
軽食+ドリンク型トーストやサンドモーニング¥600、セット¥800700〜900円
ランチ・スイーツ型パスタ、スイーツなどランチ¥1,000、ケーキセット¥1,2001,000〜1,500円
滞在型カフェソファ席・電源・Wi-Fi長居前提のセットメニュー1,500円以上
甲斐承太郎

なるほど!
こっちの出すメニューで“どれくらい使ってもらうか”が決まるんだ!

アカガネ所長

その通りです。
「何を」「いくらで」「どういう組み合わせで」提供するかを設計することで、
あなたのお店の“平均的な1人あたり売上=客単価”を決めることができるんです。

シマナガ

客単価とは、お客さんの意思じゃなく、こちらでコントロールするものです。
コンセプトに沿った最適なメニュー開発に努めましょう。

STEP2:物件から逆算する、経費と利益の仕組み

──「売上」と「経費」の起点を決める

甲斐承太郎

じゃあさ、カフェってまず何から始めればいいの?
やっぱり、場所?物件?それともメニュー?

アカガネ所長

実は、メニュー開発が最初のスタートラインなんです。
なぜなら、どんな料理・ドリンクを提供したいかで、必要なキッチン設備や立地が変わるからです。

メニューが決まると“物件の条件”が見えてくる!

メニュー例必要な設備相性の良い立地
サードウェーブ系ドリップコーヒードリップ台・グラインダーオフィス街・感度の高い若者エリア
トースト&モーニングセットトースター・パン保温棚住宅地・郊外駅前
自家製スイーツ&パフェ製菓調理場・冷蔵庫・盛り付け台インスタ映え重視の若者街
ランチパスタ・カレーIHコンロ・シンク・排気重飲食OKな物件・商業施設周辺
甲斐承太郎

なるほど〜
「こんなカフェをやりたい!」が決まると、
それを実現するための場所や条件も自動的に決まってくるってことか!

アカガネ所長

そうです。そして、その「メニューに合った物件」の目星がついたら、
今度はそこをベンチマークにして、お金の話に入っていくんですよ。

物件をベンチマークに“経費”が見えてくる

項目影響する要素
家賃(R)売上に対する固定費の基準に
広さ席数の上限・オペレーション効率・光熱費の目安
立地商圏=ターゲット層とのマッチ度・広告効率
設備条件キッチン許可の有無・内装コストに直結

メニューを先に定めることで、物件選びの基準が明確になる。
物件が決まれば、そこから経費が“逆算”できるようになる。

あなたが“生活できる”最低売上=生活安全分岐点

甲斐承太郎

さっきの記事でもやったけど、お店をやるにしても最低限の生活ができるくらいの生活費は稼ぎたいな。
まあ、毎月30万円くらいは…こっから国民健康保険料とか引かれちゃんだし…

アカガネ所長

まさにその発想が大切です!
赤字じゃなくても、生活費が出せなければ“続かない店”になります。
そこで出てくるのが――

生活安全分岐点(=生活費を稼ぐために必要な売上)

たとえばこう考えてみましょう

目標とする手取り(生活費):30万円

▶ 毎月かかる固定費

家賃90,000円
リース・通信費など40,000円
広告費・利息など30,000円
合計160,000円

▶ カフェの原価率や光熱費など(変動費率):約40%

計算式で見てみると…

【必要売上】=(生活費+固定費)÷(1-変動費率)

= (300,000 + 160,000) ÷ (1 – 0.4)
= 460,000 ÷ 0.6
= 約767,000円

シマナガ

つまり、毎月30万円を収入として事業を継続するには月76万円(1日=30,400円)の売上を目標にするとよいでしょう。

アカガネ所長

さらにSTEP1の客単価を利用すると30,400(1日の目標売上) ÷ 1,000(客単価) = 30.4人(一日の目標来店数)という計算式をを作れます。

甲斐承太郎

なるほど!いろんな数字を組み合わせて最適な収支計画を作っていくのが大切な準備なんだね!

STEP4:利益が出ても潰れる?キャッシュフローと運転資金の重要性

甲斐承太郎

でもさ、月に80万円くらい売上があって、利益も3万円くらい出てるのに、なんで潰れたりするの?
それって黒字なのに不思議じゃん?

アカガネ所長

その理由はズバリ――
現金(キャッシュ)が足りないからです。
帳簿では黒字でも、手元にお金がなければ支払いができず、倒産します。

利益とキャッシュは別物!
利益売上から経費を引いた「帳簿上のもうけ」
キャッシュ実際に銀行口座にある「現金の残高」

▶ 開業資金をすべて融資でまかなった場合

初月の利益:3万円
→ でも、毎月の返済が7万円だったら?

→ 口座から現金は7万円出ていきます
→ 残る現金は マイナス4万円
これを続けるとあっという間にショートします。

シマナガ

帳簿では黒字でも、現金が不足すれば経営は継続不可能
これが「黒字倒産」と呼ばれる現象です。

運転資金を準備しよう(最低3ヶ月分)

アカガネ所長

カフェ開業では、開業資金とは別に「運転資金」が必須です。
運転資金とは、お店を軌道に乗せるまでの間、支払いを維持するための「予備資金」です。

運転資金の内訳(目安)

運転資金の内訳(目安)
月の維持費(家賃・光熱費・広告など)3ヶ月分
空家賃(開業準備期間の家賃)通常:4ヶ月分居抜き物件なら:2ヶ月分

例:月の維持費が20万円
→ 20万円 × 3ヶ月 + 空家賃2ヶ月(家賃9万円×2)
→ 運転資金:約78万円

シマナガ

この運転資金が創業融資を受けるうえでも、必須条件になります。
金融機関は「潰れない計画」があるかどうかを見ています。

STEP5:リスク対策と改善プラン

甲斐承太郎

よーし、運転資金のことも理解したし、これで開業もバッチリ!
……って、あれ? でも結局うまくいかないお店って、なんで失敗するんだろ?

アカガネ所長

いい質問ですね。
計画を立てても、現実には想定外のトラブルやズレが必ず起きます。
だからこそ、事前に「もしも」に備えたリスク対策を組み込むことが重要なんです。

よくある失敗例と対策

リスクよくある事例対策
客数不足想定より集客できず売上が低迷オープン前のSNS・チラシなど事前集客/立地再検討
長居客ばかりで回転率が悪い売上が伸びない・利益が出ないセルフ方式導入/追加注文の促進/時間制カフェも検討
原価・光熱費が高騰食材価格の変動や冬場の暖房費などメニューの見直し/価格改定/変動費率の定期確認
体調不良などで営業不能オーナーが倒れて営業停止ワンオペ回避の仕組みづくり/業務委託やスタッフ確保
リピーターが定着しない一度きりの来店で終わる顧客満足度UP・口コミ施策・SNS連携キャンペーン
シマナガ

リスクは「想定して備える」ことで、被害を最小限にできます。
事業計画書に“リスク対応項目”を明記しておくことで、金融機関の信頼も得られます。

あわせてやっておくべき改善策
  • 売上・経費の月次モニタリング
  • 顧客アンケートやレビューの定期分析
  • メニューの定期的な改訂
  • 時間帯別・曜日別の売上分析と人員調整
甲斐承太郎

なんか、カフェって「ただ好きなことをやる」だけじゃ無理なんだね…
でも、こうやって考えたら経営ってちょっと楽しく思えてきた!

アカガネ所長

その気持ち、すごく大事ですよ。
カフェ経営は感性だけでなく、数字で未来を描くビジネス
だからこそ、あなたの情熱を「カタチ」にするために、事業計画書が必要なんです。

まとめ

アカガネ所長

今回のステップでは、「夢を数字で支える」ための基礎的な事業計画の立て方を解説しました。

失敗しないための準備
  • コンセプトやターゲットが売上の出発点になること
  • メニューと物件が数字を決める根拠になること
  • 客単価・回転率・固定費から逆算で売上目標を出せること
  • 自己資金ではなく“運転資金”が融資の鍵になること
  • そして、「生活安全分岐点」という考え方で、理想と現実のギャップを調整していくこと
シマナガ

事業計画書とは
「自分の道しるべ」であり「他人への羅針盤」です。
誰かに見せるためではなく、自分が迷わないために書くもの
そして、それが結果的に「融資」や「仲間集め」につながる信頼の土台になります。

甲斐承太郎

なんか、計画ってメンドクサそうだったけど…
ここまで道筋が見えたら、ちょっとやってみたくなってきたぞ!

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