
たしかにワンオペ飲食店がすごくて熱いのはわかったけど…ほんとうにうまくいくの?
だって店も小さいからお客さんの量も限られるし、そもそも僕がひとりでお店を回せるのか不安だし…。



おっしゃる通り、すべてを一人で担うのは不安で当然です。初めての挑戦ならなおさら心細いでしょう。
ですが実際には、日本中に“ワンオペ”でお店を回しているオーナーは数多く存在します。
規模は小さくても、工夫次第で十分に成り立つのです。
今回は業態ごとに、どれくらいの来客数や売上が見込めるのかを紹介していきます。
- 人気の業態別に、実際の来客数・客単価・月商の目安がわかる。
- どの業態がワンオペに向いているのか、利益率や経営の難易度を理解できる。
- 売上だけではなく、「自分の看板で勝負する生き方」が人生にどう影響するかがわかる。



結論。ワンオペ飲食店は“やり方次第で十分成立する”。
ただし業態ごとに売上の規模感とリスクが大きく異なる。これを理解して選ぶことが重要。
0章 ワンオペ飲食店の全体像を予習しよう



で、ワンオペでお店を回すとどれくらい儲かるの?やっぱり毎日が大忙しなのかな~。



その通り、忙しさはあります。でも数字の感覚をつかめば現実的に考えられるようになりますよ。
まずは“ワンオペ飲食店オーナーの日常”と“収入の目安”を整理してみましょう。
ワンオペオーナーの1日(モデルケース)


収入の目安(ワンオペ飲食店のリアルな財布事情)



気になる“お金のリアル”を業態ごとに整理すると、こんな感じです。
- ラーメン屋・立ち飲み屋
⇒ 月商200万〜300万円がボリュームゾーン。繁盛店なら500万円超も狙えます。
(回転率が高く、単価もほどほどなのでワンオペでも数字が立つ) - カフェ・定食屋
⇒ 月商は80万〜150万円前後が多いです。
(回転率や単価が低めなぶん、生活費+αが現実的なライン) - 居酒屋
⇒ 月商200万円前後が標準。お酒の利益率は高いけど、ワンオペで満席対応は大変。
利益率&手元に残るお金


年収換算のイメージ
- 年収300万〜600万円前後が多い
「サラリーマンよりは多い」「時間にゆとりがあり生活費は足りている」──そんな声もあれば、
「繁忙期と閑散期の差が激しく、年収は安定しにくい」という実感もリアルです。



ワンオペ飲食店の収入は、選ぶ業態や地域、店主の工夫で大きく変わります。
『大きく稼ぐ』『趣味と実益を両立』『自分のペースで無理なく』──どのパターンでも、“自分で決める自由”が最大の魅力と言えるでしょう。



なるほど!大変そうだけど、ちゃんと成り立つんだね!
じゃあ実際に、業態ごとにどんな違いがあるのか行ってみよ!!
ワンオペ飲食店の“理想と現実”
第1章 ラーメン屋編「麺屋ひなた」の場合
店名:麺屋ひなた(ラーメン屋)


- 規模:10坪、カウンター12席
- 営業日数:月25日(週休1日)
- 来客数:1日平均80人(60〜100人)
- 客単価:850円(700〜900円)
- 月商:約170万円(繁盛店200〜300万、最高500万クラスも)
スープ仕込みに時間とコストがかかるが国民食としてファンが多い。券売機・POSレジ導入率高、ワンオペ可能



ラーメン屋さんは大将がひとりでワンオペで回してるイメージあるね!
でも1日80人も来るって、カウンター12席でどうやって回の?



ラーメン屋はお客さんの滞在が短く、1席平均30分程度で回転します。
ランチと夜の二部制で営業すれば、12席でも100人近く対応できますよ。
だから数字的には十分可能なんです。



なるほど…!でも仕込みとか大変だよね…



そうですね。
スープ炊きでガス代はかかりますし、仕込み時間は毎日数時間必要です。
原価率は30〜35%、家賃や消耗品など経費を70%以下に抑えるのが理想ですが、ラーメンは特に原価と光熱費が重く、利益率は15〜20%に留まりがちです。



ワンオペなら人件費をカットできるので月商200〜300万円が標準ラインです。
繁盛店で500万円を超える場合もあります。
ラーメンはメニューが限られてますから券売機やワンオペによる人件費削減で経営は成立しやすいです。
ワンオペラーメン屋の強みと弱み
強み | 弱み |
---|---|
回転率が高く、少ない席数でも客数を稼ぎやすい | 仕込みの負担が大きく、体力的にハード |
券売機を導入すればオペレーションが単純化、ワンオペでも対応可能 | 原価率が高く、売上があっても利益が薄い |
SNSで新メニューや限定品を告知しやすい → 集客力を伸ばせる | 味やサービスが安定しないとすぐに客離れが起こる |
「一杯勝負」でブランディングしやすい | 流行り廃りが激しく、競合との差別化が必要 |
“麺屋ひなた”の店主は、サラリーマン生活を経て独立の道を選んだ。
毎朝の仕込みは欠かせず大変ではあるが、その味を楽しみにお客が足を運び、店の前には小さな行列ができるようになった。
自分の一杯で人を喜ばせられることは、会社勤めの頃には得られなかったやりがいだったという。
売上の数字以上に、「自分の看板でお店を続けている」という事実そのものが、日々の大きな充実感につながっている。



なるほど…数字の話だけじゃなくて、“人生を自分で動かしている実感”こそがワンオペの魅力なんだね!


第2章 カフェ編「カフェ・リリー」の場合
店名:カフェ・リリー


- 規模:10坪、テーブル8席+カウンター4席
- 営業日数:月22日(週休2日)
- 来客数:1日平均30〜40人
- 客単価:800円(ドリンク500円〜、フード込みで1,200円程度)
- 月商:約100万円(黒字ラインは100万前後)
内装と雰囲気が集客の肝、SNSとの相性が良い、ワンオペしやすい



カフェってなんだか憧れるけど…実際どのくらい稼げるの?



では、モデルケースの“カフェ・リリー”を見てみましょう。
このお店は10坪ほどで12席。朝はモーニング、昼はランチ、午後はカフェタイムという流れです。
来客は1日30〜40人。客単価はドリンクだけなら500円前後ですが、ランチやケーキセットが出れば1,200円ほどになります。
つまり月間売上は80〜150万円、平均的には100万円前後で推移します。



えっ…ラーメン屋よりずっと少ないね。
カフェってもっと夢があるのかと思ってました。



カフェは“長居する人が多い”ので回転率が上がりにくい。
例えば同じ席数でも、ラーメン屋は1日5回転、カフェは2回転が限界だったりします。
だからおしゃれで人気があっても、売上は100万前後にとどまるケースが多いんです。
カフェはブランディングが最重要です。
小さなカフェの強みと弱み
強み | 弱み |
---|---|
小規模でもワンオペしやすく、人件費を抑えられる | 客単価が低く、黒字ラインが高い(100万前後) |
SNS(Instagramなど)と相性が良く、発信力で集客が可能 | 「趣味的な経営」に陥りやすく、生活費をまかなうには厳しい場合が多い |
内装・雰囲気でブランディングしやすい | 滞在時間が長く、席回転率が悪い |
ドリンク・焼き菓子など原価率の低いメニューも作れる | 天候や立地に売上が左右されやすい |
“カフェ・リリー”の店主は、会社勤めを離れて、大好きなコーヒーを仕事にする道を選んだ。
月の売上はおよそ100万円ほどで、決して贅沢ができるわけではない。
それでも、自分の店で常連客がコーヒー片手にくつろぐ姿を目にするたびに「この道を選んでよかった」と実感するという。
「自分の空間を持つ」という長年の夢が叶い、日々の暮らしに小さな誇りと確かな楽しみが加わったのだった。



なるほど!カフェは大きく稼ぐだけが目的じゃなく、“自分らしい空間を形にする満足感”が魅力なんですね。


第3章 居酒屋編「大衆酒場ひかり」の場合
店名:大衆酒場ひかり


- 規模:10坪、テーブル16席+カウンター4席(計20席)
- 営業日数:月26日(ほぼ年中無休、日曜のみ休み)
- 来客数:1日平均25〜40人(週末は50人超)
- 客単価:2,500円(2,000〜3,000円が相場)
- 月商:約200〜300万円(繁盛店で400万円超)
夜営業中心、酒類で利益を出しやすい、工夫次第でワンオペ経営も可能



居酒屋ってどうなの?ワンオペでやるイメージはあまりないけど…でもお酒があるし、単価が高そうだから稼げそうに見えるな。



その通りです。特に酒類は原価率が低いため、利益を支える大きな要素になります。
ただし、居酒屋は回転率が低いんです。お客様の滞在時間は2〜3時間が普通なので、同じ席数でもラーメン屋のように何度も回すことはできません。



たしかに、酔っ払ってくると閉店まで長居しちゃうイメージあるね。



実はそこに秘密があります。
最初の料理の提供が済めば、あとはお酒が中心。
その合間にコストパフォーマンスの良い単品や小物料理を追加で注文してくれるので、結果的に客単価は上がりやすいのです。
ワンオペ居酒屋の強みと弱み
強み | 弱み |
---|---|
客単価が比較的高く、酒類で利益を確保しやすい | 滞在時間が長く、席回転率は低い |
常連客がつきやすく、リピーター経営になれば安定する | メニューが多く、調理+接客で最低2〜3人は必要だが工夫することでワンオペも可能 |
コース料理や宴会需要で売上を一気に伸ばせる | メニューが多い分、在庫を多く抱える必要がある |
20坪以下でも月商200〜300万が狙える | 季節変動が大きく、繁忙期(12月など)と閑散期の差が激しい |
“大衆酒場ひかり”の店主は、かつて会社員として働いていたが、「人と飲む場をつくりたい」という思いから独立の道を選んだ。
開店当初は不安も多かったものの、やがて常連客が少しずつ増え、店には「今日は誰と語れるだろう」という温かな空気が毎晩流れるようになった。
売上の数字も大切だが、それ以上に“人と人をつなぐ場を自分が運営している”という実感こそが、日々の大きなやりがいになっている。



お金だけじゃなく、“居酒屋を通して人のつながりを作れる”のが人生を豊かにしているんだね!


第4章 定食屋編「食堂まごころ」の場合
店名:食堂まごころ


- 規模:10坪、テーブル12席+小上がり4席(計16席)
- 営業日数:月24日(週休1日+不定休あり)
- 来客数:1日平均35〜50人(昼が中心)
- 客単価:800円(600〜1,000円が相場)
- 月商:約80〜150万円
ランチ主体、常連客依存度が高い、夫婦経営や家族経営が多い



定食屋ってどうなの?サラリーマンのボクたちにはとっても必要な存在だし、ランチ需要があるから安定していそうに見えるけど。



“食堂まごころ”のケースだと、ランチが売上の7割以上を占めています。
1日あたり35〜50人が来て、客単価はだいたい800円。
すると月商は80〜150万円に収まることが多いですね。



ラーメンや居酒屋よりは売上が少なめなんですね…。でも堅実そうな感じがします。



確かに、地域に根付けば長く続けられる業態です。
ただし、原価率が高くなりがちなんです。
おかず・ご飯・味噌汁・小鉢と品数が多いため、食材原価は35〜40%になりやすい。
しかも夜営業をしないと売上が伸びないので、利益を出すには工夫が必要です。
ワンオペ定食屋の強みと弱み
強み | 弱み |
---|---|
ランチ需要が安定しており、常連客がつきやすい | 客単価が低く、利益率も低め(原価35〜40%) |
居酒屋やラーメンに比べて客層が幅広い(会社員・家族・学生など) | 昼主体のため、夜を閉めると売上が伸びにくい |
弁当販売やテイクアウトで売上を補える | 常連依存度が高く、新規開拓が難しい |
食堂まごころ”の店主は、かつて工場で働いていたが、「地域の人に温かいご飯を届けたい」という思いから脱サラを決意した。
売上は決して大きくはないものの、毎日「ありがとう」と声をかけてもらえる生活が何よりのやりがいとなっている。
利益の多寡にかかわらず、“町に必要とされている”という実感が、店主にとって大きな充実感につながっているのだった。



お金だけじゃなく、人に喜ばれて生活できるっていうのもすごく魅力的だね
第5章 立ち飲み屋編「立呑みたかね」の場合
店名:立呑みたかね


- 規模:10坪、立ちスペース15名収容
- 営業日数:月25日(週休1〜2日)
- 来客数:1日平均60〜100人(回転率高)
- 客単価:2,500円(2,000〜3,000円が相場)
- 月商:約200〜400万円(繁盛店は500万超もあり)
短時間滞在で高回転、ワンオペ可能、低コスト運営で利益率高い



立ち飲み屋って最近人気だよね。
小さなスペースでもできそうだけど、実際の売上はどうなの?



“立呑みたかね”の例だと、1日の来客数は60〜100人。
滞在時間は30分〜1時間程度なので、同じ10坪でも椅子を置く居酒屋よりはるかに回転率が高いんです。
客単価は平均2,500円ほどで、月商は200〜400万円。繁盛すれば500万円を超えることもあります。



えっ、10坪でもそんなにいけるの!?すごい効率!



立ち飲みは小規模スペースを活かした業態の典型です。
しかも酒類中心なので原価率は低く、ワンオペでも十分成立します。
もちろん混雑時には補助が欲しいですが、他業態に比べて“個人で回せる”可能性は高いですね
ワンオペ立ち呑み屋の強みと弱み
強み | 弱み |
---|---|
高回転&低コスト運営で、坪効率が非常に高い | 滞在時間が短いため、売上は“数をこなせるか”に依存する |
酒類中心で原価率が低く、利益率が高い | おつまみが簡素になりやすく、料理で差別化しづらい |
狭小物件でも成り立つため、家賃負担が小さい | 雰囲気や接客に左右されやすく、オーナー不在では成立しにくい |
店主の接客力で常連をつかめば安定経営につながる | 飲酒中心のためトラブル対応リスクがある |
“立呑みたかね”の店主は、もともと営業職として働いていたが、「お客さんと直接話せる場を持ちたい」と独立を決意した。
ワンオペで店を切り盛りしながら、仕事帰りの常連客と交わす会話が、今では一日の楽しみになっている。
自分の人柄や接客そのものが店の魅力となる体験は、雇われていた頃には得られなかった充実感をもたらしているのだった。



なるほど!立ち飲み屋は数字だけじゃなく、人とのつながりや自分らしさを前面に出せるお店なんですね。


まとめ



ワンオペ飲食店をはじめる理由は人それぞれです。
“今の給料より稼ぎたい”“毎朝の通勤が苦痛”“会社に縛られたくない”“リストラで仕方なく”“好きなことを仕事にしたい”。
──きっかけは多様ですが、共通しているのは“自分のやりたいことを自分の手で実現している”という充実感です。
中には『稼ぐこと』より『好きな空間を続けること』を目的にしているオーナーも少なくありません。
そうした姿は、むしろ人間が本来持つ“自然な生き方”に戻っているのかもしれませんね。



夢をかなえることと、スタートラインに立つことは同じ意味を持ちます。
夢を実現した瞬間、そこから新しい夢が始まるのです。
いまのこの瞬間も、すでに新しいスタートライン上にいます。
──進むべき道は、あなた自身が選べばよいのです。



ワンオペ飲食店のリアルな姿が少し見えてきた!
飲食店開業への第一歩はコレだね!

