
融資がおりたぞ!!
……で、なにか始めればいいの?もう図面とか決めちゃっていいのかな?



おめでとうございます。ここからが本番ですよ。
物件の本契約、内装業者の選定、工事計画──すべて時間との勝負です。
けれど焦って着工すると、追加工事や契約トラブルで時間もお金も消えます。
まずは「店舗完成までの流れ」を整理して、全体をつかみましょう。
- 物件契約から工事完了までの流れがわかる
- 内装工事の業者の選び方が理解できる。
- 内装工事の際の気をつけるポイントがわかる。



融資がおりたら、物件契約と工事計画を同時進行でスタート。
そして、請負契約書の内容確認が最優先。
完成日・追加工事・補償条件、この3つを文書で明記していなければ危険です。
第0章|店舗を契約してから完成までの全体フロー





よし、まずは内装業者に電話して、すぐ工事の見積もりを──



おっと、その前に一息つきましょう。
お金が動くときほど、確認すべきことが増えるものです。
店舗づくりはスピード勝負でもありますが、
焦って契約を進めると「予定より工事費が高くなった」や
「開店日に間に合わなかった」なんてトラブルが起きやすいんですよ。



融資がおりたら、最初にやるのは工事の流れと契約の把握。
順番を間違えると、費用も日程もズレます。
まずは「仮契約から引き渡しまで」の流れを理解して、
どの段階で何を決めるかを整理しましょう。



うーん……“お金が入ったら即着工!”ってわけじゃないんだな。



そうなんです。
ここからは“建てる”作業ではなく、“整える”作業です。
契約から完成までの基本の流れを一緒に見ていきましょう。
店舗を契約してから完成までの全体フロー
フェーズ | 内容 | 注意ポイント |
---|---|---|
①仮契約〜本契約 | 物件を押さえ、本契約へ進む | 家賃発生のタイミングを確認。仮契約期間を長く取りすぎない。 |
②設計・施工業者の選定 | 誰と図面をつくるのかを決める | 飲食店専門の設計・施工業者を選ぶこと。経験値がトラブル防止につながる。 |
③図面作成 (最重要) | 店舗の全体レイアウトを設計。厨房・ホール・バックヤードの配置を確定 | 動線の良し悪しで、開業後の働きやすさが決まる。ここで妥協しない。 |
④墨出し〜組積工事 | 図面を現場に再現。壁や間仕切りを立ち上げる | 実際の広さを体感して導線を調整。配管位置のズレに注意。 |
⑤ボード張り 〜仕上げ工事 | 壁・床・天井・建具・塗装など内装仕上げ | この段階で追加注文が出やすい。変更は費用・納期に直結。 |
⑥清掃〜引き渡し〜オープン | 鍵の受け渡し・動作確認 | 不具合はその場で指摘。引渡し後の修繕は有償になる場合も。 |



こうやってみると物件を契約してからでも店舗が完成するまでこんなにやることあるんだね。



はい。店舗工事は一人の職人さんだけでは完結できません。
この工程の中でもたくさんの職人が関わって店舗が完成するのです。



それでは、工事の工程をメインにした店舗完成の流れを見てみましょう。
店舗が完成するまでに必要な工事工程
工事項目 | 主な内容 | 注意点・ポイント |
---|---|---|
仮設工事 | 仮囲い・養生・仮設電気・仮設水道・仮設トイレなど | 工事期間中の安全確保、近隣への配慮、仮設コストの積み込み |
解体工事 | 既存什器・壁・天井・床などの撤去 | 撤去・廃材処分費、補強構造の確認、隣接部分の損傷リスク |
表層仕上げ工事 | 床仕上げ・壁紙(クロス)・天井材など | 下地の平滑化、耐水性・耐久性素材の選定 |
左官工事 | モルタル塗り・左官仕上げ(壁・床など) | 厨房床の防水・勾配確保、下地との密着性、厚み管理 |
塗装・防水工事 | 外壁塗装・内装塗装・屋上防水・屋根防水など | 塗料の選択、下地処理、防水層との重ね順 |
ガラス・建具工事 | サッシ・窓ガラス・扉・パーティション建具 | 開閉性・防火性能・断熱性・雨仕舞い |
木工事 / 造作工事 | カウンター・棚・造作家具・天井造作など | 材質選定・納まり・施工精度 |
軽鉄(LGS)・ボード工事 | 軽量鉄骨下地組・壁・天井のボード貼り | 防火性能・遮音性・段差処理 |
設備関連工事(配管・給排水) | 給水管・排水管・グリストラップ・衛生設備 | 配管径・傾斜・清掃性・保健所規制 |
電気工事 | 照明・コンセント・幹線工事・分電盤配線・動力配線 | 電力容量確認、機器負荷、後からの改修コスト |
ガス工事 | ガス管配管・ガス機器設置 | 資格業者による施工、ガス容量・配管ルート設計 |
空調・換気設備工事 | ダクト・換気扇・吸排気設備・空調機設置 | 排煙ルート計画、ダクト清掃性、風量設計 |
看板・サイン工事 | 店舗ロゴ看板・ネオン・広告サイン設置 | 法規制・照度・設置強度 |
美装・清掃工事 | 建具・ガラス・床・壁の清掃仕上げ | 工事残材処理、最終チェック用清掃 |
防音・遮音工事 | 防音壁・吸音天井など | 防音基準、隣接音対策、材料コスト |



うわっ、こんなにたくさんやることがあるの?
壁とか床だけじゃなくて、配管や電気、ガスまで……。



そうなんです。
一つの店舗を完成させるには、左官、電気、塗装、設備――
何十人もの職人さんが関わっています。
それぞれの工程が少しでもズレると、他の作業にも影響が出てしまう。
“店を作る”というのは、まさに総合芸術なんですよ。



この中でも特に、配管工事とガス工事はミスが許されない工程です。
ガスは設計段階で容量を決めるため、後から上げようとすると
配管の引き直しや供給契約の変更が必要になり、数十万円単位の追加費用になることもあります。
また、排水管の勾配や太さを誤ると、営業後につまりや悪臭が発生して、再施工が必要になるケースもあります。



つまり、“見えない部分ほど慎重に”。
厨房機器を先に決めて、ガス量・排水量の設計をきっちり合わせておくことが、
後々のトラブルを防ぐ一番の方法です。



なるほど……。
見た目よりも、まず“中身を固める”のが店づくりの第一歩なんだな。
第1章|物件の仮契約→本契約





まずは一番最初のフェーズの物件についてだね。
事業計画書作ってる時に目星の物件がみつかったら「仮契約で押さえておいて」って言われたけど……
これって、もう契約したってこと?



いえいえ、“仮契約”はまだ最終確定ではありません。
この段階では、他の人にその物件を取られないように
一定期間だけ押さえてもらう約束なんです。
通常は「申込書」と「申込金(保証金の一部)」を預けて、
内装計画や融資手続きを進める時間を確保します。



仮契約は「予約」、本契約は「結婚」。
ここで迷う人が多いですが、賃貸借契約書にサインするまでは法律上の契約ではないです。
でも申込金を払っているなら、キャンセル時の扱いも確認必須。
「申込金は全額返還されるのか」「キャンセル料はかかるのか」を書面で残しておきましょう。



なるほどな。じゃあ本契約のときって、もう逃げられないってことか。



はい。
本契約を結ぶと、そこから家賃が発生します。
契約前に必ずチェックしたいのは次の3点です。
チェック項目 | 内容 |
---|---|
家賃発生日 | 契約日か、工事開始日か?交渉でずらせるケースもある |
契約期間 | 更新料や途中解約の条件を確認 |
原状回復義務 | 退去時に「スケルトン返し」か「現状維持」か |



特に「原状回復」の範囲を曖昧にしたまま契約すると、
閉店時に想定外の解体費用を請求されることがあります。
「壁・床・天井のどこまで戻すのか」を、必ず契約書で線引きしておくこと。



そして、契約前にできれば保健所・消防署の事前相談をしておきましょう。
構造上、どうしても飲食店として使えないケースもありますからね。



なるほど……“仮契約”で浮かれてたら、すぐ毎月の家賃が始まる罠か。
よし、腹くくる前に契約書をじっくり読むことにするよ。



それが正解です。
次は、物件が決まったあとに進む「設計・施工業者の選定」についてお話ししましょう。
第2章|設計・施工業者の選定





そんな訳で、物件も正式契約しました。
家賃がもったいないから早く工事を開始したいんだけど…正直どこに頼めばいいの? 設計事務所? 工務店?
そもそも、どうやって工事って進むの?



焦らずにいきましょう。
店舗の工事を進めるときには、実は大きく分けて2つのやり方があります。
ひとつは「設計も施工もまとめて依頼する」
一括発注(設計施工一体型)。
もうひとつは、「設計と施工を別々の業者に頼む」
分離発注(工事別契約型)です。



この発注方式の違いで、費用、工期、そして手間のかかり方まで変わります。
だから、どちらの方式を選ぶかは“お店づくりの方向性”を決める大きな判断になるのです。
どちらの方式にもメリットとデメリットがあり、
「どんな店を作りたいか」「自分がどこまで関わりたいか」で向き・不向きが変わります。
比較項目 | 一括発注(設計施工一体) | 分離発注(工事別契約) |
---|---|---|
窓口 | 一社に集約(打合せが楽) | 設計・施工で別(調整が必要) |
費用 | トータルで抑えやすい | 設計料+工事費で高くなりがち |
デザインの自由度 | 限定的(業者提案中心) | 高い(デザイナー主導) |
工期 | 短め(スムーズに進む) | 長め(調整期間が必要) |
トラブル時 | 責任の所在が明確 | 設計・施工で分かれる |
向いている人 | なるべく早く開業したい人 | デザインに強いこだわりがある人 |



うーん、なるほど。
でも…どっちがいいのか判断がつかないな。
工事の依頼なんてしたことないし、正直どっちも不安だ…。



では次に、実際に店舗をつくったオーナーたちが、
それぞれの方法でどう進めたのか、流れを見てみましょう。
読むだけで、内装工事の全体像がわかるはずです。
第3章|分離発注方式の実践例





デザイナーと施工業者を分けるって、実際どうやって進むの?
ぜんぶ自分で手配するの?



はい。分離発注は「設計と工事を別々の契約で進める」方式です。
だから最初はデザイナーに設計を頼み、次にその図面をもとに工事業者を選びます。
言い換えれば、オーナー自身が“現場の司令塔”になる方法ですね。



一括発注に比べて自由度は高いですが、
スケジュール管理や費用調整など、やることも多くなります。
流れを順番に見ていきましょう。
1. デザイン事務所への設計依頼とプラン作成



まずは店舗デザイン事務所を探しましょう。
ネットやSNS、施工事例サイトから、自分の理想に近いデザインを見つけて依頼します。
デザイナーとの打ち合わせでは、
お店のコンセプト、提供メニュー、厨房機器、座席数、動線などを細かく伝えます。
それをもとに、レイアウト図・パース(完成イメージ)・仕上げ表が作られます。



なるほど。つまり、まず“理想の店の設計図”をつくるんだな。



その通りです。この図面がすべての基礎になります。
職人さんは基本的ん図面通り工事を完了させるのが仕事ですので、間違った設計図のままでは間違ったまま完成してしまいます。
2. 施工業者の選定と工事見積



図面が完成したら、次は施工業者を選びます。
複数の工務店に相見積もりを依頼して、
工事費・工期・提案内容を比較しましょう。



安いところを選べばいいってわけじゃないの?



価格だけで決めるのは危険です。
飲食店施工の経験や対応の丁寧さ、
図面の理解力などを総合的に判断することが大切です。
3. 工事契約と役割分担の確認



施工業者が決まったら、工事請負契約を結びます。
このとき、工期・支払い条件・追加工事の扱い・アフター保証などを明記しておきましょう。



また、デザイナーが工事中のチェック(設計監理)をしてくれるかどうかも確認です。
ここを決めておかないと、完成後の仕上がりにズレが出ます。
4. 着工~施工期間中の連携



工事が始まったら、僕は何をすればいいの?



分離発注では、デザイナーと施工業者がそれぞれ動くので、
オーナーも定期的に現場へ行き、進行を確認する必要があります。
色味・素材・照明の位置など、現場での判断も多いです。



トラブルや変更が出た場合も、オーナーが迅速に判断して工事を止めないようにするのがポイントです。
5. 竣工・引き渡し



工事が完了したら、デザイナーと一緒に竣工検査を行います。
壁や床の仕上がり、照明の点灯、水道・ガスの動作などをチェックして、
不具合があればその場で修正してもらいましょう。



いわば、最終確認ってことだな。



そうです。
ここで納得できるまでチェックして、
引き渡しが完了すれば晴れて工事終了です。
第4章|一括発注方式の実践例





さっきの分離発注は、自分でまとめるのが大変そうだな。
もっとラクな方法ってないの?



ありますよ。
それが「一括発注(設計施工一体)」です。
設計から工事までを同じ会社にまとめて任せる方法ですね。



発注先は、設計と施工の両方を行う内装業者(デザイン施工会社)。
いわゆる工務店などあたります。
窓口がひとつだから、打ち合わせや進行がスムーズです。
1. 内装業者の選定(問い合わせ・見積依頼)



まずは、いくつかの内装業者に問い合わせてみましょう。
ネットの施工事例やSNSで雰囲気をチェックし、
気になる会社に見積りや現地調査を依頼します。



一社に絞る前に、最低でも2〜3社は比較してください。
提案内容や見積りの明確さ、担当者の対応スピードなどが判断材料です。
2. 現地調査・プラン提案の依頼



業者を呼んで物件を見てもらうと、現地調査(現調)が始まります。
採寸や電気・排水・ガスなどの設備チェックをしたうえで、お店のコンセプトを伝えると、数日後にレイアウト案と見積書が出てきます。



この段階で、お店の形が具体的に見えてくるわけです。
厨房・ホール・導線・照明など、プランの提案力を見ましょう。



ここで初めて“図面と見積り”がセットで出てくるのか。
わくわくする瞬間だな!
3. 業者の決定・契約



提案を比較して、最も信頼できる業者を選びましょう。
契約前に、金額・工期・追加工事の扱い・保証期間をしっかり確認。



一括発注では、設計料と工事費が一体になっていることが多いです。
「デザイン料込み」の内訳が曖昧なときは必ず確認しておきましょう。



細かいとこ聞きづらいけど、あとでトラブルになるのはイヤだもんな。
4. 着工・施工管理



契約が終わったら、いよいよ工事開始です。
一括発注の強みは、設計者と現場監督が同じチームにいること。
修正や変更があっても、その場で判断・共有できます。



オーナーは週1回ほど現場を確認し、
進行や仕上がりをチェックしておくと安心です。
要望があれば、早めに伝えることで対応してもらいやすくなります。



なるほど、任せっぱなしじゃなくて“節目で口を出す”感じだな。
5. 竣工検査・引き渡し



工事が終わったら、最終の竣工検査を行います。
壁・床・照明・設備など、図面どおりに仕上がっているか確認しましょう。



不具合があれば、その場で是正工事を依頼。
納得できたら、残金を支払い、設備の使い方や保証書を受け取ります。



ついにここで完成か……!
ここまでくると、もうお店が“生きてる”感じがするな。



設計と施工を一社にまとめた分、工期も短く、責任の所在も明確。
初めての開業なら、一括発注は安心感があります。
第5章|店舗づくりの重要事項!図面作成の注意点





よし!じゃあ、工事の方法も発注方法もわかったし、
とりあえずお店のデザインは“かっこよくオシャレに”作ってもらおっと!



それ、お店潰れます。



えっ!? なにその即死ワード!?



図面は“経営計画の地図”です。
この段階での判断が、開業後の作業効率・売上・快適性をすべて左右します。
見た目だけで作ると、あとから致命的なムダが生まれます。
図面をデザイナー任せにすると…
- 厨房導線が悪く、調理のたびに何歩も無駄に動く
- 配管やガス容量が足りず、追加工事でコストが膨らむ
- 客席数が多すぎて、提供スピードが追いつかない
- バックヤードが狭く、在庫の置き場がなくなる
- 動線が交差して、接客時にお客様とぶつかる



オシャレなお店を作りたい気持ちは大事ですが、
「日々の動き方」と「回転率」を考えたレイアウトでないと、
すぐに疲弊してしまいます。



特にワンオペの場合、1歩のムダ=1秒のロス。
それが積み重なると、売上にも直結します。



うわぁ…完全に見た目重視で考えてたわ。
じゃあどうすればいいんだ?



“デザインの前に運営を設計する”ことです。
どこに何を置くか、どんな動線で回るか。
その上でデザインを整えれば、機能も見た目も両立できます。



詳しい図面作成のコツと導線設計の考え方は、
こちらの記事でまとめています。
👉 関連記事|図面作成とレイアウト設計の基本※準備中



よし、ここでしっかり考え直そう。
おしゃれより“働きやすさ”優先だな。
第6章|工事契約で注意すること



図面の重要性もわかったし、もう失敗はしたくない!
よし、あとは契約書にサインするだけだな!



……その前に、一度深呼吸です。
契約書って、実は“工事のスタートボタン”ではなく“地雷探知機”でもあるんですよ。



地雷!? そんなヤバいの?



契約の内容次第で、完成後のトラブルや費用負担がまるごと変わります。
工事契約は、オーナーと施工業者の約束を明文化する最重要書類。
ここを甘く見ると、後で泣く人が多いです。
契約書に盛り込むべき主な項目
項目 | 内容 | 注意ポイント |
---|---|---|
完成日と 営業補償 | 工期の遅れに対して補償があるか | 「遅延しても責任を負わない」となっていないか要確認 |
追加料金の扱い | 設計変更や材料変更時の対応 | 「都度見積り」方式なら安心。口約束はトラブルの元 |
トラブル対処 | 瑕疵(かし:欠陥)発見時の修理や対応 | 保証内容と期間を契約時に明記 |
アフターケア | 引き渡し後の保証・メンテナンス範囲 | 6か月~1年保証が一般的。内容をチェック |
支払い条件 | 着工金・中間金・残金の支払時期 | 工期の進捗に応じた分割が望ましい |



なんか、読み飛ばしたくなるくらい文字が多いな……。



それが危険なんです。
「工期遅延でオープンが1か月延びたけど補償なし」
「照明の仕様を変えたら追加で数十万円」
実際に、こういうトラブルは珍しくありません。



契約前に“想定外を想定する”こと。
それがオーナーのリスク管理です。
契約前にやっておきたい最終チェック



サインする前に、以下の3つを確認しておきましょう。
- 契約金額・支払いスケジュールに誤りがないか
- 工期・引き渡し日・設計内容が見積書と一致しているか
- 保険・保証・営業補償などの条件が明記されているか



加えて、契約書の控えは必ず自分で保管。
「言った・言わない」問題を防げます。



なるほど。
つまり“契約=信頼の設計図”ってことか。



図面が“店舗の形”を決めるなら、契約は“信頼の形”を決める。
どちらも欠けると、良い店はできません。
契約書は法の適用
第7章|竣工検査・引き渡し日の確認ポイント



よし!やっと工事が終わった!
あとは鍵を受け取って営業スタート!



ちょっと待った。
“引き渡し”はただ鍵を受け取る日ではありません。
最後のチェックこそ、オーナーの仕事ですよ。



工事が終わっても、まだ“完成”ではありません。
竣工検査(しゅんこうけんさ)という最終確認を経て、
正式にお店があなたのものになるのです。
竣工検査とは?



竣工検査とは、設計図どおりに工事が行われたかを確認することです。
施工業者・デザイナー・オーナーの三者で立ち会って、
一つ一つチェックしていきます。



ふむふむ、でも“どこを見ればいいのか”イメージがわかないな。



では主なチェックポイントを見ていきましょう。
竣工検査のチェック項目
チェック項目 | 内容 | 見るポイント |
---|---|---|
壁・床・天井 | 傷・汚れ・浮きがないか | 塗装のムラ、クロスの剥がれ、床のきしみを確認 |
照明・電源 | 全てのスイッチ・コンセントが機能するか | 点灯・電圧・スイッチ位置を確認 |
水道・排水 | 水漏れや詰まりがないか | 実際に水を流して動作確認 |
ガス設備 | 点火確認と臭いチェック | ガス漏れ探知器の作動確認も行う |
空調・換気 | 吹き出し口・吸気口の風量確認 | フィルターの取り付け方向も要確認 |
建具・サッシ | 開閉・鍵の動作確認 | ドアの隙間・建付け・閉まり具合をチェック |
家具・什器 | 図面通りの位置・仕様か | 傷や欠け、ぐらつきを確認 |
看板・外装 | デザインと施工の一致 | 電飾・照明・高さ・法令上の制限も要確認 |



なるほど、思ったより“触って確かめる”ことが多いんだね。
まるでチェックリストを片手に現場監督してるみたい。



その通りです。
実際に、引き渡し時にすべて確認しておかないと、後日修理費が自己負担になることもあります。



とくに水回りとガスまわりは要注意。
あとでトラブルが起きると、営業が止まる可能性があります。
引き渡し当日のポイント



チェックが終わったら、「引き渡し確認書」にサインをします。
この時点で“工事完了”とみなされるので、
納得できない部分があれば、その場で是正リストを出しておきましょう。



すぐ修正できない場合は、「後日対応」として書面に残すこと。
ここを曖昧にすると、対応してもらえないケースもあります。



なるほど。サインは“確認終了”の印なんだな。
ちょっと怖いけど、ちゃんと見なきゃだな。
便利なチェックリスト



店舗引き渡し時に役立つチェックリストを
エクセル形式で配布しています。
これを使えば、見落としを防ぎながらスムーズに検査できます。
👉 チェックポイント一覧表(.xlsx)※準備中



こうして竣工検査を終えれば、店舗はようやく“あなたのお店”になります。
ここまで来たら、内装工事が終わったら、外装工事に厨房機器やテーブルなどの配置、お店の演出効果の決定やることはまだまだありまよ。



内装工事の大仕事が終わってゆっくりしたかったのに…
まとめ



ここまでで、店舗づくりの全体がだいぶ整理できましたね。
物件契約、設計、工事、そして引き渡し——。
お店が“形になるまで”の道のりを理解しておけば、無駄も不安もずっと減ります。



はじめての開業では完成図を頭では描けないため、理想の店舗から遠ざかったり、無駄な工事で出費額が増えてしまう可能性があります。
そこで、行政書士などに同席してもらい、法的リスクや施工のポイントなど一緒に確認してもらうのが良いでしょう。
工事関係はトラブルが多いです。



よっしゃ!やってやるぜ!って思ったとけど、なんか急に不安になってきたから失敗例を見て勉強しよっと…

