甲斐承太郎ねえ所長…。
もしお店で食中毒が出たり、コーヒーをこぼして弁償になったり、
「異物が入ってた!」って言われたりしたら……
ワンオペの俺じゃ絶対パニックだよ。
どこまで店の責任で、どこからは違うのか…全然わからないんだ。



不安になりますよね。
でも飲食店のトラブルは、実はたった 3つのルール を知っていれば
ほとんど整理できるんです。
“過失はどっちにあるか”
“実費かどうか”
そして
“売上補填はほぼ認められない”
──この3つだけで判断できますよ。
- 飲食店で本当に起こりやすい“7つの事故”の正しい対処法がわかる
- どこまでが店の責任で、どこからが“相手側の問題”かが線引きできる
- 事故が起きても店を潰さない“保険の使い方・備え方”がわかる



飲食店トラブルは過失の有無 × 実費の範囲
この2点で処理すれば足りる。
あとは保険。
PL保険と施設賠償責任保険に加入していれば、店は守られる。
第0章|7つの事故が一目でわかる総まとめ(図解)



まずは全体像をざっとつかんでおきましょう。
飲食店で実際に起こりやすい事故は、この7つに集約されます。
どれも「店が悪いのか?」「保険が効くのか?」
判断が分かれやすい部分ですが、
こうして並べれば “どの事故で何をすればいいか” が一瞬でつかめますよ。



事故対応は「原因の線引き」と「証拠」と「保険」。
この3つがすべて。
7つの事故を一枚で理解する総合表
| 事故例 | 店の責任? | 最初にやること | 行政・警察 | 使える保険 | 大まかな結論 |
|---|---|---|---|---|---|
| ① 食中毒 | (原因次第) | 事実確認 → 保健所連絡 | 必須(保健所) | PL保険/店舗賠償 | 初動がすべて。原因が出るまで冷静に対応。 |
| ② 熱傷・ケガ(客) | (過失次第) | 応急処置 → 事故状況記録 | 場合により警察 | 店舗賠償 | 段差・滑りは“管理責任”になりがち。 |
| ③ 異物混入 | (原因次第) | 回収 → 食材確認 → 報告 | 無し(重大なら保健所) | PL保険 | 事実確認と再発防止で大半は収束。 |
| ④ 物損(服・バッグ) | (店の過失時) | 謝罪 → 汚れの応急処置 | 無し | 店舗賠償 | “気持ちのケア”が最重要。 |
| ⑤ 備品破損(客が壊した) | (客の過失) | 状況確認 → 実費請求 | 無し | (店の保険は不可) | 客が壊したものは“実費請求”で対応。 |
| ⑥ 盗難・紛失(預かり品) | (店の過失) | 状況確認 → ロッカー確認 | 無し | 店舗賠償 | 預かった以上、善管注意義務が発生。 |
| ⑦ 盗難・紛失(客の自己管理) | (店の責任なし) | 一緒に探索 → 記録 | 無し | (保険不可) | 原則は自己責任。ただし説明の誠実さが鍵。 |



すごい……
この図を見るだけで、
事故が起きたとき“どう判断すればいいか”がだいたいわかる!
第1章|食中毒が起きたらどうする?(PL保険の最重要ケース)





もしさ、お客さんから突然
「昨日の料理でお腹壊したんだけど…これって食中毒じゃない?」
って連絡が来たら……どうしたらいいの?



食中毒は“店が終わる事故”ではありません。
ただし 最初の一手(初動対応)で運命が変わります。
まず理解してほしいのは、食中毒対応には
①初動 → ②情報収集 → ③保健所 → ④行政判断 → ⑤補償・再発防止
という正式な流れがあり、この通りに動けば
行政処分も炎上も最小限にできます。
逆に、
- 否定する
- 隠す
- 黙っててとお願いする
これは最悪の一手で、処分が重くなります。
“正しい手順”を知っていれば怖がる必要はありません。



食中毒は、初動で9割決まる。
最初にやることはただ一つ。
事実を集めて保健所と連携する。
これだけで、対応はほぼ成功する。
PL保険が機能するのも、この初動が前提。
食中毒が疑われたときの「正しい流れ」
お客さんに確認する項目(この順番が重要)
- 来店日・時間・人数
- 食べたメニュー
- 発症時間(6〜72時間以内か)
- 症状(発熱/下痢/腹痛/嘔吐)
- 同席者に同症状がいるか
- 病院受診したか
- 氏名・連絡先
やってはいけない行動
- 「うちのは絶対に大丈夫です!」←否定は隠蔽扱い
- 「内緒にしてもらえません?」←アウト
- その場しのぎの謝罪や返金で終わらせようとする
- 同じ日の別客に症状は?
- 仕入れ先で事故報告は?
- 従業員に体調不良は?
- 当日の食材は捨てずに保存
- 温度管理記録(HACCP)があれば準備しておく
→ 保健所の調査で最重要資料になる。
連絡ルール
- 病院が診断 → 病院が24時間以内に保健所に届け出(食品衛生法)
- 店側が“疑い”を把握した場合 → 行政は店からの連絡を推奨
保健所が行う調査
- 厨房の拭き取り検査
- 仕入れ食材の検査
- 保存食材の確認
- スタッフ検便
- 衛生管理マニュアル(HACCP)の確認
- 調理工程のヒアリング(作り置き時間など)
→ 誠実に協力したほうが処分が軽くなる。
食品衛生法55条にもとづく判断。
店に“過失あり”の場合
- 営業停止(3〜7日が一般的)
- 改善命令
- 行政のWebサイトで公表(信用低下)
お客さんへの補償(PL保険で対応可能)
- 医療費
- 通院交通費
- 休業損害
- 慰謝料(1人3〜5万円が多い)
| 過失ありの場合 | 過失なしの場合 |
|---|---|
| 検査結果の説明 | 検査結果を提示すれば解決することが多い |
| 事実ベースで淡々と説明 | – |
| 感情で反論しない | – |
| 保険会社による示談代行が入る(PL保険の強み) | – |



こんなに手順があるんだ……。
でも逆に“手順を知ってれば怖くない”ってことか。
食中毒って“終わり”じゃないんだね。
初動で全部変わるって、覚えておくよ。
第2章|異物混入を疑われたらどうする?(最も炎上しやすいトラブル)





もしお客さんから「料理の中に髪の毛入ってたんだけど!」
とか「虫が混入してた、どうしてくれるんだ」
って言われたら……。
それが本当でも怖いし、
“わざと入れられてクレームにされる” って話もあるじゃない?
これ、どう対応すればいいの……?



異物混入は、飲食店で最も炎上リスクが高い事故です。
しかし、これも “初動で9割決まる” のは食中毒と同じ。
まず覚えてほしいのは…異物混入=必ず店の責任、ではないということ。
すべて原因は複数あり、“店側の過失ではないケース”も非常に多いんです。
だからこそ否定も認めすぎもしない中立対応これが鉄則です。
異物混入で店舗が本当に守られるのは
PL保険(生産物賠償責任保険)です。



異物混入は「事実確認 → 原因切り分け → 必要があれば保険対応」。
この3つだけでいい。
異物混入が起きたときの正しい流れ
店が言うべき言葉はひとつだけ。
「ご不快な思いをさせてしまい申し訳ありません。すぐ確認させていただきます。」
※ここで過失を認めない・否定しない
これが重要。
異物混入は 現物が命。これが証拠になる。
- 異物そのもの
- 問題の料理
- 写真(位置、角度、全体)
- お客さんの証言(メモでOK)
現物を捨てたり洗ったりすると“原因究明不能”となり、店が不利になる。
異物混入の要因は大きく3つ。
店の過失(厨房・衛生管理)
- 調理中の混入
- 髪の毛/服の繊維
- 調理器具の破片
仕入れ側の問題(野菜・肉類)
- 野菜に虫
- 加工食品の内部異物
→ 仕入れ先のPL保険が使えるケースもある。
持ち込み異物 or 悪意(店外混入)
- 客のバッグや服の繊維
- 後から置かれた可能性
- 故意の混入(まれだが存在する)
→この切り分けをするために「現物」が必要。
PL保険が使えるのは店の提供物に原因がある場合。
例)
- 料理の中に金属片
- プラスチック破片
- 調理工程による混入
※髪の毛・繊維・虫の一部は「不可抗力」と判断され、保険対象外になることもある。



なるほど……!
異物混入って“全部店が悪い”って思い込んでたけど、
原因はいろいろなんだね。
しかも、現物さえあれば店が悪いのか、仕入れなのか、客側なのか
ちゃんと判断できるのか……。
怖いけど、手順さえわかってれば冷静に動けそうだよ。
第3章|第三者による“悪意”のいたずら・SNS炎上(悪質クレーム編)





アカガネ所長…これ、一番メンタル削られるやつだよ。
「料理に異物が入ってた」「接客態度が悪かった」って嘘を言われたり、
帰ったあとにSNSで勝手に写真アップして悪口書かれたり…
心当たりがないのに、悪意だけで店を潰しに来る人って、実際いるよね?
こういう “悪意系クレーム” って、どう対処すればいいんだ…?



悪意で店を叩く人は、残念ながら少なくありません。
無断撮影、捏造口コミ、SNS炎上、
定期的に嫌がらせをしてくる人……
ただ、覚えておいてください。
悪意のクレームほど “冷静に証拠を残す” だけで、ほぼ防げます。
感情で反論すると炎上する。
放置すると被害が広がる。
店が取るべき姿勢は
①対話しない → ②証拠化 → ③プラットフォームと法の力を使う
この3ステップ。
これは “泣き寝入りするしかない” トラブルじゃありません。
むしろ、もっとも法で守られるジャンルなんですよ。



悪意のクレームは「店個人で戦わない」ことが最も重要。
証拠だけ集めて、
削除依頼・通報・法的手続きで処理する。
悪意クレーム・SNS炎上の正しい対処
悪質クレーマーは
「反応」=「燃料」
になる。
返信すると
「対話の意思あり」とみなされ、
ストーカー規制法の適用も弱くなる。
店がやるべきことはひとつ。
必要な証拠
- 投稿のスクショ
- 投稿URL
- 投稿者ID
- 投稿日時
- 画像つきなら必ず保存
- 連投数、DMの回数
証拠が揃っていると
SNS・Google・警察が一気に動きやすくなる。
▼ 各サービスは名誉毀損・虚偽口コミに かなり協力的
- Googleレビュー → 法律問題の報告から削除依頼
- Instagram → 「嫌がらせ・虚偽情報」で通報
- X(旧Twitter) → 迷惑行為・嫌がらせで通報
※対応は早い。
特にGoogleは “虚偽” に厳しい。
口コミ・SNSでの悪意投稿は
以下の法律が使える。
| 法律名 | 内容(何が問題?) | 店側が可能な行動 |
|---|---|---|
| 名誉毀損(刑法230) | 虚偽の悪評 | 削除申請、損害賠償請求 |
| 信用毀損(刑法233) | 営業妨害目的投稿 | 警察への相談・通報 |
| 偽計業務妨害(刑法233) | デマ拡散・虚偽情報 | 捜査依頼(刑事事件として扱われやすい) |
| プライバシー侵害(民事) | 店員や客の個人情報を暴露する行為 | 損害賠償請求・削除依頼 |
弁護士 → サイト運営 → プロバイダ
と段階を踏めば、IPアドレス → 個人特定まで可能。
※実際、飲食店の誹謗中傷は賠償金30~80万円が相場。
▼刑事事件になりやすい行為
- 「店に行くぞ」などの脅迫
- 店舗名を出したデマ拡散
- 悪意あるレビュー連投
- 店員の個人情報晒し
警察は 証拠が揃っていれば即動く。
| やってはいけないこと | やるべきこと |
|---|---|
| SNSで反論 | 店舗で統一ルール 「SNS対応は責任者のみ」「DMは個人が対応しない」 |
| 特定客を名指し | 防犯カメラで証拠確保 |
| 感情投稿 | 口コミ監視システム(無料ツールでOK) |
| 店のアカウントで炎上に参加 | 店舗賠償責任保険で“弁護士費用特約”をつける |
| 一対一のDM対応 |



げぇ……。
SNSの悪意って、反論したら終わりだと思ってたけど、
“証拠 → 削除 → 開示請求” で全部片づけられるんだな…。
冷静に、手続きで戦う。
これは気持ち的にも救われるわ。
第4章|レジトラブル(お釣りが違う・払ってないと言われる)





こういう“言ったもん勝ち”みたいなクレーム、
ワンオペで忙しい時に来ると、
ほんと頭が真っ白になるんだ…。
これ、どう対処したら正しいの?
店のせいなの? こっちが悪いの?



ものすごくよくありますよ。
小さな店ほど “レジの記憶頼み” にしてしまって、
あとで揉めるパターンが多いんです。
このトラブルは「正しい形」で対応すれば、9割はその場で収まります。
- 正誤の“証明”はほぼ不可能
- だからこそ「誠意ある対応」が最優先
- 次のトラブルを防ぐ“仕組み”を作ることが本質



その場での“真実の証明”はほぼ不可能。
だから実務では事実確認
お詫び→必要があれば返金・再発防止策
この流れが最適である。
法律的には「客が本当に損害を受けたか」が争点になるが、
少額の場合は立証が困難なため、紛争に発展するケースはほぼ無い。
レジトラブルの正しい対応フロー
✕ 「そんなはずないです!」
✕ 「あなたの勘違いですよ!」
これは火に油。
お客の“自尊心”を傷つけると、そこからSNS炎上まで行く。
落ち着いて以下を確認する。
- 受け取った金額
- 打った金額
- レジの残額
- 客が提示する状況(レシート・スマホ決済履歴)
※ワンオペなら、深呼吸して「少しお時間ください」と伝えるだけでクレームは沈みやすい。
レジトラブルが厄介なのは、次の要因。
- 会計時のやりとりは数十秒
- 店側も客側も記憶が曖昧
- 第三者がいない
- カメラがないと決定的証拠がない
だから実務では、
店・客どちらも“完全に証明する”ことができない。
これが最大のポイント。
● 少額なら返金して収束させるのが最も現実的
「本日はご不快な思いをさせて申し訳ありません。
確認にお時間をいただきましたので、こちらお渡しします。」
ほとんどはこれで終わる。
※返金=自分たちのミスを認めた、にはならない。
● 重大トラブルの“予防策”が本質
再発防止が本命。
- 会計時に必ず“声に出して復唱”
- レシートを必ず渡す
- 動画付き防犯カメラの設置
- POSレジ導入(Airレジ・スマレジ)
POSレジは最高の防御壁。
客の決済履歴が残るため、トラブルの9割が消える。
法的には「損害賠償」を主張するには
客側が“損害の発生”と“金額”を証明する義務 がある(民法の原則)。
ただし現実は、
数百円〜千円の話で裁判になることはほぼない。
だから 店側も“法で戦う前提”ではなく“事故を減らす設計”が正解。



なるほど…。
「どっちが正しいか」で戦うんじゃなくて、
“どうトラブルを消すか” が本質なんだね。
確かに POSレジと復唱だけで、
ここのストレスがほぼゼロになるのってめちゃくちゃ助かるわ…。
第5章|「財布がない!」と言われた時の正しい対応





「財布がない!ここで落としたはず!」「店で盗まれたんじゃないの!?」
お客さんが感情的になると、なにが正しいのか分からなくなってくるんだ…。
こういう時って、店は責任を取らなきゃいけないの?
補償しないといけないの?



これは小さな店ほど起きがちですね。
ただ、まず最初に知っておいてほしいことがあります。
「店内で起こった紛失=店の責任」ではありません。
法律的には、飲食店は“クローク(預かりサービス)をしていない限り”
客の所持品の管理義務は負いません。



つまり、財布やスマホの紛失は
原則としてお店の賠償責任は発生しないんです。
大事なのは「責任」ではなくどう正しく調べ、どう丁寧に案内するかというプロセスのほう。
この立ち回りで、炎上とクレームの8割が防げます。
紛失物は「客の自己管理」が原則。
店に賠償義務はない。
ただし次の2つは例外となる。
① 店が預かった荷物
② 店側の明らかな過失(床の隙間・段差・設備不良など)
- 丁寧に捜索
- 状況整理
- 必要なら警察へ案内
- 過失が無いことを明確にする
これが正しい対応となる。
紛失トラブルの正しい対応フロー
✕ 「うちは関係ないです!」
✕ 「自分で落としたんでしょ?」
これは絶対にNG。
相手がさらに怒って、SNSに飛び火する。
- 来店時間
- 座った席
- 注文時に財布を出した記憶があるか
- トイレ・外出の有無
- 同行者の動き
- 席や床、通路の確認
※ワンオペの場合でも「順番に確認しますね」と一言添えるだけで、客の怒りは半分に落ちる。
法律上、飲食店は
客の手荷物を管理する義務(=保管義務)を負わない。
根拠は民法の基本原則。
- 店は客の物を保管する契約ではない
- 提供しているのは「食事とサービス」
- 財布・スマホは客自身の管理が原則
例外は次の2つだけ。
● 店が預かった場合(クローク)
→ 店が管理責任を負う
● 店の過失で物が失われた場合
例:
- 床に深い隙間があり、財布が落ちて排水溝に流れた
- 設備が壊れていて隙間に落ちた
- 従業員が客の荷物を間違って捨ててしまった
これ以外は、基本的に店の補償義務はない。
1)まず一緒に探す(ここが最大の信頼ポイント)
「一緒に確認しましょう」
と言って席・床・レジ周りを丁寧に確認する。
※実際、財布の7割は“席の下・椅子の溝・かばんの奥”から出てくる。
2)見つからない場合の次のステップ
- レジの監視カメラ確認(あれば)
- お客さんと「最後に使ったのはどこか」整理
- その場で110番ではなく、
「落とし物・遺失物の届け出」へ案内
※警察は「紛失」は事件ではなく手続き扱い。
3)客が「弁償しろ!」と強く要求した場合
穏やかに説明する。
「申し訳ありません。
店としても全力で探しましたが、お客様の所持品はお客様の管理となっており、こちらで補償ができない仕組みとなっております。」
※この説明は、法律的に正しい。※補償の前例を作ると常習クレーマーに狙われる。
- 防犯カメラを1台、レジ前か入口に置く
- バッグ用フックを座席につける
- ポスターで「貴重品はお客様ご自身で管理をお願いします」表示
- トイレに“スマホ忘れ注意”の貼り紙
- Airレジ・スマレジで映像付きレジログを残す
特にバッグフックは200円でリスク激減。



なるほど…。
店の責任じゃないのに、
“どうやって丁寧に落ち着かせるか” が一番大事なんだね。
確かにバッグフックとかカメラとか、
小さい対策でほぼ未然に防げるなら絶対やるべきだ…。
第6章|店内でケガ・転倒が起きたら?責任は店?それともお客?





もしお客さんが店内で転んでケガしたら、
治療費って全部こっちが払わなきゃいけないのかな?
“店の責任です!”
って強く言われたら反論できる自信がないんだよ…。



「店内で転倒=店の責任」ではありません。
飲食店の責任が発生するのは“店側の過失(管理ミス)”があるときだけ。
逆に言えば、
防げなかった事故や、お客さん自身の不注意は店の責任にならない。
ここを正しく理解しておけば、必要以上にオロオロすることはありません。



店に過失がなければ賠償義務なし。
店に過失があれば賠償義務あり。
判断基準は次のとおり。
店側に「責任なし/責任あり」の線引き
| 店の責任にならない(過失なし) | 店の責任が認められる(過失あり) |
|---|---|
| 酔ってふらついて転倒 | 床が濡れていたのに“注意表示なし” |
| ハイヒールが折れた | 清掃不足で滑りやすい床 |
| 持参したバッグの紐が切れた | カーペットのめくれを放置 |
| 走って転んだ | 壊れた椅子・テーブルを放置 |
| 勝手に立ち上がって段差でつまずいた | 照明が暗すぎて段差が見えない |
| 体調不良で倒れた | 凍結した入口の除雪・融雪が不十分(冬季店舗) |
| → 客側の自己管理。店は賠償義務なし。 | → 店側の管理不十分 → 治療費等を賠償する必要あり。 |
対応フロー
- 椅子に座らせる
- 冷やす/消毒など簡易処置
- 痛みが強ければ救急案内
この時点では“責任”は考えない。
最優先は人命。
- どこで転んだか
- どんな動きをしていたか
- 周囲に障害物はあったか
- 店内の床・段差・照明の状態
- 同席者の証言
ここで慌てて「店のせいじゃありません!」と言うのは絶対NG。
感情を刺激するだけ。
- 転倒場所
- 床の状態
- 段差・照明
- 椅子の破損
- 雪・氷・水滴の有無(冬季)
- 客が履いていた靴の状態
後々、責任の判断をする重要な材料になる。
店に過失が“あるかもしれない”と思ったら、
すぐに 店舗賠償責任保険 に連絡。
保険が対応できる項目:
- 治療費
- 通院交通費
- 慰謝料
- 休業補償(ケースによる)
- 示談代行サービス
「店が悪い/悪くない」の判断も、保険会社がやってくれる。
「まずご体調が心配です。
状況を確認して保険会社とともに対応させていただきます。」
これだけで十分。
店が勝手に
・治療費を断言
・責任の有無を断言
するのはNG。
- 床濡れ時は「濡れています」表示
- 店内の照明チェック
- 通路に荷物を置かない
- 壊れた椅子は即撤去
- 入口の雪・氷はこまめに除雪(北海道必須)
ワンオペ店なら「開店前の安全チェック」をルーティン化すると安心。



「転んだ=店が悪い」じゃないんだね…。
法律って、意外とフェアだな。
でも、店の管理不足だとちゃんと責任が発生するのも身が引き締ます…。
安全対策はコストじゃなくて“信用の投資”だね。
第7章|火災・ボヤ・設備トラブル(ガス・電気・コンロ)





コンロの油が跳ねてボッと火がついたり、
換気扇に油が溜まっていて火が回ったり、
電気のショートで煙が出たり…。
もし火災が起きたら、どう対処すればいいの?
保険はどこまで助けてくれるの?



火災は飲食店にとって“最大級のリスク”。
でも承太郎さん、安心してください。
飲食店の火災は 7割が初期対応で止められる と言われています。
さらに、火災・ボヤは「店舗総合保険(火災保険)」でほぼ全てカバーできます。
ただし、正しい初動ができないと損害が大きく広がり、保険が使えなくなるケースも…。



火災は「初期消火 → お客の避難 → 通報 → 証拠確保」
この順番を守れば被害は最小化できる。
そして、損害(修理費・休業損害)は店舗総合保険で補える。
飲食店で実際に起こりやすい火災パターン
| 事故パターン | 原因 | 初期対応 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 天ぷら油の引火 | 油温度上昇・不在調理 | 蓋をして酸素を遮断/消火器(粉末) | 水をかけると爆発するので厳禁 |
| コンロ周りの布巾・紙への着火 | 近くに可燃物 | 消火器→濡れタオルで覆う | 可燃物の整理が重要 |
| 換気扇・ダクト火災 | 油汚れの蓄積 | 初期消火困難→即避難&通報 | 店での完全消火は不可能 |
| 電気配線のショート | 老朽化・タコ足 | ブレーカーを落とす→通報 | 消火器はOK(水はNG) |
| 卓上コンロのボヤ | CB缶の誤使用 | 火を止める→缶を冷やす | 誤ったセットが多発 |
初期対応フロー
- 消火器で1〜2秒以内の消火(粉末が基本)
- 油火災は“蓋をするだけ”でも消える
※水は絶対NG(油が飛び散る)
※消火が怖い・炎が伸びたら即避難。
ワンオペ店は「無理して消さない」が鉄則。
- 火の方向と逆側へ誘導
- 外へ出たら全員点呼
- 貴重品よりも命
通報内容:
- 店名・住所
- 火災の種類(油・電気・換気扇)
- 逃げ遅れの有無
- ガス元栓を閉める
- ブレーカーを落とす
- 焼損箇所の写真
- 事故前の状況
- 使用していた器具
- 従業員や客の証言
これらは保険金の審査で非常に重要になる。
保険でどこまで補償される?(店舗総合保険)
| 補償されるもの | 補償されない可能性があるもの |
|---|---|
| 建物の修理費 | 過失が重い(油を放置して席に戻る等) |
| 厨房機器・冷蔵庫・什器の損害 | 消防法違反(消火器なし、点検未実施) |
| 汚れ・ススの清掃費 | 故意(もちろん対象外) |
| 商品・食材の廃棄費用 | – |
| 休業補償(特約) → 営業できなくなった日数に応じて補填 | – |
| 賠償責任(隣店舗に延焼した場合) | – |
- 換気扇・ダクトの定期清掃
- 油は温度管理(200℃超は危険)
- コンロ周りに布巾を置かない
- 消火器は“手の届く距離”に
- タコ足配線を避ける
- 営業前の安全チェックをルーティン化
これだけで事故率が大幅に下がる。



火災って“終わり”だと思ってたけど…
初動 → 避難 → 通報 → 証拠
この流れさえ覚えておけば、ワンオペでも守れるんだな。
そして保険が、思ったよりも頼もしい…。
保険入ります!
まとめ



どんな事故でも、実は必要なのは“三つ”だけなんです。
① 原因を正しく切り分ける
② 証拠を残す
③ 保険で処理する
この3つができていれば、飲食店のほとんどのトラブルは“大事になる前”に収まります。



事故への不安は、知識と仕組みで小さくなる。
保険で“最終ライン”を作れば、店は折れない。
準備はコストではなく“防御力”。
心配せずに、粛々と整えれば良いだけです。



なるほど……
事故が起きたときに慌てるんじゃなくて、
準備しておけば“やることが決まってる”から怖くないんだね。
よし、まずは自分の店が
どこまで保険で守られてるか確認するところから始めよう!





