ワンオペ飲食店に券売機は必要?省力化投資補助金と導入前の注意点

甲斐承太郎

ラーメン屋やカレー屋って、入口に券売機を置いている店が多いよね。
お客さんが自分で注文して、先に支払いまで済ませてくれるなら、ワンオペ営業にはかなり便利なんじゃない?
しかも、省力化投資補助金を使えるなら、導入費も抑えられるんでしょ?

アカガネ所長

券売機とワンオペ営業の相性がいいのは確かです。
注文受付と会計をお客さん自身に進めてもらえるため、店主は調理や提供に集中しやすくなります。
ただし、券売機を入れれば、接客や会計に関する仕事がすべて消えるわけではありません。
現金対応にするのか。 キャッシュレス限定にするのか。
POSレジと連携するのか。 返金や故障にどう対応するのか。
導入前に決めることは、意外とたくさんあります。
さらに、省力化投資補助金は、これから開業する人なら誰でも券売機代に使える制度ではありません。
券売機が店に必要かどうかと、補助金の対象になるかどうかは、分けて考える必要があります。

この記事でわかること
  • 券売機で減らせる作業と、導入後も残る作業
  • 現金対応・キャッシュレス限定・POS連携の選び方
  • 飲食店で省力化補助金を使った実績と申請条件
  • 個人事業主・従業員ゼロ・新規開業の扱い
シマナガ

券売機は、注文受付と会計の負担を減らせます。
ラーメン店やカレー店など、先払いに向く業態との相性もいい。
ただし、補助金があるから導入するのは危険です。
まず店の注文と会計の流れを決めること。
券売機が本当に必要だと分かってから、対象製品と補助金の条件を確認してください。

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この記事を書いた人

こやけ企画代表:たがわひでゆき

たがわ ひでゆき

所有資格:行政書士・簿記2級
趣味:プロレス

1983年生まれ、旭川出身。
飲食店開業支援を手掛ける『こやけ企画』の代表。
長年運送業に従事しながら、キャリアチェンジを目指して3度目の挑戦で行政書士試験に合格。

脱サラを目指す方々に向けて、楽しくわかりやすく飲食店開業ノウハウを発信するブログ『脱サラ物語』を運営中。
将来、行政書士として独立開業することを目標に、日々準備を進めています。

私生活はサラリーマンとご当地レスラー「イソロク」として2足のわらじで活動中

目次

第1章|券売機で注文と会計の負担を減らせる

甲斐承太郎

券売機って、レジの代わりになる機械だと思ってたけど、それ以外にもラクになることってあるの?

アカガネ所長

券売機の強みは、会計だけではありません。
お客さんが商品を選び、先に支払いまで済ませることで、注文受付から会計までをまとめて短縮できます。

券売機で減らせる主な作業

作業券売機を導入すると
メニュー案内商品名や価格を機械上で見せられる
注文受付お客さん自身に選んでもらえる
注文確認食券や注文データで確認できる
会計提供前に支払いを済ませられる
釣銭計算現金対応機なら自動化できる
売上記録POS連携型なら商品別に集計できる

券売機がないワンオペ店では、調理中でも注文や会計のたびに手を止めなければなりません。
1.調理する → 2.注文を聞く → 3.会計する → 4.厨房へ戻る → 5.調理を再開する

券売機を使えば、お客さんが注文と支払いを済ませ、店主は調理と提供へ集中しやすくなります。

ただし、券売機を入れても、次の仕事は残ります。

  • 操作に迷うお客さんへの案内
  • 売り切れ商品の設定
  • 注文間違いの返金
  • 釣銭や用紙の補充
  • 機械や通信のトラブル対応
シマナガ

券売機は、接客をゼロにする機械ではありません。 注文と会計を減らす機械です。
分かりにくい券売機を置けば、操作説明という新しい仕事が増えることもあります。

第2章|券売機と相性がいい飲食店・慎重に考えたい飲食店

甲斐承太郎

ラーメン屋で便利なら、飲食店ならどこでも使えるんじゃない? バーに置いてもワンオペでラクになりそうだし。

シマナガ

バーで券売機を置いている店を、あなたは見たことがありますか。

甲斐承太郎

……言われてみれば、ないかも。

アカガネ所長

券売機は、メニューと価格を整理しやすく、先払いに向いている店で力を発揮します。
一方で、お客さんとの会話や追加注文が売上につながる店では、慎重に判断する必要があります。

券売機との相性を業態別に比較

業態相性理由
ラーメン店高い商品とトッピングを整理しやすい
カレー店高いサイズ・辛さ・トッピングを選ばせやすい
丼・定食店中〜高ランチ時の注文と会計を減らせる
立ち食い店高い先払いと高回転の営業に向く
テイクアウト専門店高い注文と決済を先に済ませやすい
カフェ接客方法や追加注文の多さで変わる
コース料理店低い予約や料理説明が中心になる
バー・スナック低い会話や追加注文自体が店の価値になる

券売機を導入しやすい店の特徴

  • メニューと価格が来店時点で決まる
  • 先払いでもお客さんが困らない
  • 昼など特定の時間に注文が集中する
  • 注文受付のたびに調理が止まっている

券売機を慎重に考えたい店の特徴

  • お客さんとの会話が店の価値になっている
  • 食事中の追加注文が多い
  • 機械操作が苦手な客層が多い
  • メニュー変更や売り切れが頻繁にある
シマナガ

券売機は接客を減らします。 その接客が不要な作業なのか、店の価値なのかを見極めてください。

第3章|現金対応とキャッシュレス限定はどちらがいい?

甲斐承太郎

現金対応にすると機械が高くなりそうだし、キャッシュレス限定の方がワンオペにはラクじゃない?

アカガネ所長

店主にとっては、キャッシュレス限定の方が現金管理を減らせます。 ただし、現金しか使わないお客さんを断る可能性があります。 正解は、店の立地と客層によって変わります。

現金対応とキャッシュレス限定の比較

比較項目現金対応キャッシュレス限定
対応できる客層幅広いキャッシュレス利用者のみ
機器の費用高くなりやすい抑えやすい
釣銭の準備必要不要
売上金の回収必要不要
決済手数料現金には不要売上ごとに発生
通信障害現金で対応できる決済不能になる可能性
レジ締め現金確認が必要簡略化しやすい
アカガネ所長

高齢者や幅広い年代が利用する住宅街・郊外の店では、現金対応を残した方が安心です。 駅前やオフィス街、若い客層が多い店では、キャッシュレス限定も選択肢になります。

シマナガ

キャッシュレス限定にするなら、入口で支払い方法を分かりやすく表示してください。 券売機の前まで来てから現金が使えないと分かれば、お客さんが注文を諦める可能性があります。

店主にとってラクか。客にとって使いやすいか。両方を見てください。
キャッシュレス限定は現金管理を減らせますが、現金客も減らす可能性があります。

第4章|券売機の種類と費用の全体像

甲斐承太郎

券売機って、種類によってかなり値段が変わるんだよね? 高いものと安いものでは、何が違うの?

アカガネ所長

大きく分けると、券売機の費用は「何ができるか」と「どうやって導入するか」の2つで変わります。
まず種類から整理しましょう。

主な券売機の種類

種類特徴向いている店
ボタン式操作が単純。商品数が少ない店に向くラーメン店・定食店など
タッチパネル式写真表示・多言語対応・トッピング選択など柔軟商品数が多い店・観光客が多い立地
キャッシュレス専用型現金機構がなく小型・低コストになりやすいキャッシュレス中心の店
現金対応型全紙幣に対応。幅広い客層に使ってもらえる高齢者・幅広い年代が来る店
POS連携型商品別・時間帯別の売上データを残せる売上管理もしたい店
厨房連携型注文内容を厨房へ自動送信できる食券の受け渡しも省きたい店
シマナガ

高機能になるほど費用は上がる傾向がありますが、機能が多ければいいとは限りません。 メニューが整理されていない券売機は、むしろ操作説明という新しい仕事が増えます。
ワンオペ店では、疲れていても迷わず使えることが最優先です。

導入方法によって費用の構造が変わる

券売機は「買い切り」だけではありません。

導入方法考え方
購入(買い切り)初期費用は大きいが、長期使用なら総額を抑えやすい
リース(長期契約)初期費用を抑えられるが、途中解約は基本できない
レンタル(短期・月額)解約しやすいが、長期では割高になりやすい
クラウド型(月額制)タブレットを使った構成。POS連携しやすく、飲食店で増えている

参考|クラウド型POSとの組み合わせ費用イメージ

アカガネ所長

券売機単体を導入するか、クラウド型POSと組み合わせるかで費用の構造が変わります。

たとえば、スマレジの飲食店向けプランを使う場合、POS機能の月額料金は公式サイトによると
フードビジネスプランで月額15,400円(税込)となっています。
これはPOSレジ機能の月額料金であり、券売機本体や周辺機器の費用は別途必要です。

ポスタス(POS+)は、飲食店向けの券売機・セルフレジを提供していますが、公式サイトでは価格を公開しておらず、資料請求・問い合わせが必要です。「リーズナブルな価格で提供」と案内されていますが、構成や規模によって見積もりが変わります。
どちらも、導入前に複数社から見積もりを取って比較することが重要です。

※記載の料金は2026年6月時点の情報です。最新の料金・プラン内容は各社の公式サイトでご確認ください。

本体以外にかかる費用

シマナガ

「本体代だけ払えば動く」と思うと、後から想定外の費用が出てきます。

費用項目内容
設置・搬入費運搬・固定・配線・初期設定
周辺機器プリンター・キャッシュドロア・厨房端末など
決済端末キャッシュレス対応端末(カード・QR)
保守・メンテナンス費故障対応・定期点検・修理対応
月額利用料POSシステム・クラウド管理画面の利用料
決済手数料キャッシュレス売上に対して毎回発生
通信費インターネット回線・SIM
消耗品費食券ロール紙・レシート用紙など
  1. 本体価格だけで比較する
  2. 設置費・周辺機器が別途かかる
  3. 月額利用料・決済手数料が毎月発生する
  4. 思ったより総額が高くなる

補助金との関係

アカガネ所長

ここまで見てきた費用のうち、省力化投資補助金で対象になる可能性があるのは主に導入時の初期費用の一部です。
月額料金や決済手数料は、補助金では賄えません。

補助金で助かる可能性があるもの

→ 本体・設置・周辺機器などの初期費用の一部

補助金では賄えないもの

→ 月額利用料・決済手数料・保守費・消耗品費

シマナガ

本体価格だけを見ないでください。 設置、保守、通信、手数料、月額料金。 券売機は、買って終わりではありません。
補助金で初期費用の一部を助けてもらえる可能性はある。
でも毎月の費用は、売上が少ない月でも払い続けることになります。
そこまで見てから、導入を判断してください。

甲斐承太郎

補助金があっても、導入後の固定費まで助けてくれるわけじゃないんだね。 本体代だけ見て「安く買えた!」って喜んでたら、あとで苦しくなりそう。

シマナガ

そうです。
次の章では、省力化投資補助金を使った飲食店の実績と、申請条件について整理していきます。

引用元:中小企業省力化投資補助事業 製品カタログ
引用元:中小企業省力化投資補助事業 製品カタログ

第5章|飲食店で省力化補助金を使った前例はある?

甲斐承太郎

飲食店も対象と書いてあっても、実際は工場や大きな会社ばかりが使う補助金なんじゃないの?

アカガネ所長

中小企業省力化投資補助金は、飲食店専用の制度ではありません。
ただし、飲食店が券売機を導入した交付決定実績は、公式資料で確認できます。

2026年4月末時点で、カタログ注文型の交付決定は全業種で3,641件でした。 そのうち、主たる業種が飲食サービス業の事業者は301件。 飲食サービス業の交付決定のうち、券売機は46.2%を占めています。 単純計算では、飲食サービス業による券売機の交付決定は、約139件に相当します。

引用元:中小企業省力化投資補助事業 カタログ注文型交付決定概要 P11

公式資料で確認できる交付決定実績

公式資料の項目結果
全業種の交付決定3,641件
飲食サービス業301件
飲食サービス業のうち券売機46.2%
全業種のうち従業員5人以下18.4%
全業種のうち個人事業主7.6%

ただし、公式資料には「個人事業主×飲食サービス業×券売機」という組み合わせの件数までは掲載されていません。 そのため、「個人飲食店でも多数採択されている」と断定することはできません。

公式事例集には、カウンター12席・従業員5人のラーメン店がタッチパネル式券売機を導入した事例も紹介されています。 導入後は、注文・会計対応や外国人客への個別説明が減り、調理へ集中しやすくなったとされています。 なお、この事例は法人です。個人事業主のワンオペ店として紹介するのは正確ではありません。

シマナガ

飲食店での前例はあります。
ただし、個人飲食店だけの件数は公表されていません。
数字を都合よくつなげないでください。
正確に言えるのは次の3つです。
1.飲食店で券売機の交付決定実績がある。
2.制度全体では個人事業主の交付決定実績もある。
3.従業員ゼロでも、既存事業者なら申請できる可能性がある。

第6章|個人事業主・従業員ゼロ・新規開業の扱い

甲斐承太郎

個人でやるワンオペ店でも、省力化補助金って申請できるの?

アカガネ所長

中小企業省力化投資補助金のカタログ注文型は、個人事業主も対象に含まれます。
常勤従業員がいない事業者についても、申請手続きが用意されています。
ただし、従業員ゼロだから自動的に人手不足と認められるわけではありません。 過去の発注書・請求書・納品書・契約書などを提出し、継続して事業を行っている実態を示す必要があります。

従業員ゼロの事業者が整理しておきたいこと
  • 注文と会計に1日どれくらいの時間を使っているか
  • 1日に何回、調理を中断しているか
  • 券売機でどの作業が減るか
  • 空いた時間を何に使うか
  • 継続して営業している証拠を出せるか
新規開業は対象外

ここは特に注意が必要です。

公式FAQでは、新規事業は補助対象外とされています。

初めて1号店を開く人は、導入前の注文・会計作業が存在しないため、省力化の前後を比較できません。

事業の状況考え方
初めて1号店を開業する対象外
まだ営業実績がない省力化前の作業を確認できない
営業中の既存店に導入する条件を満たせば検討可能
既存事業者が同種の店舗を出す既存店から効果を示せる場合がある

これから初めて店を開く人は、券売機代をこの補助金に頼らず、補助金なしでも開業できる資金計画を作る必要があります。

申請の基本的な流れ

  • 公式カタログから券売機を選ぶ
  • 登録販売事業者と事業計画を作る
  • 販売事業者と共同で申請する
  • 交付決定後に契約・購入する
  • 導入後に実績報告を行う
  • 補助金が入金される

交付決定前に契約・購入した費用は、補助対象外になります。 補助金も後払いなので、券売機代を先に支払える資金が必要です。

シマナガ

個人事業主でも申請はできます。
従業員ゼロでも申請手続きはあります。
ただし、新規開業は対象外です。
先に買わないでください。 補助金を開業資金にしないでください。

第7章|導入前のチェックリスト

シマナガ

最後に、券売機と補助金を検討する順番を整理しましょう。

▼ 店の営業を確認する(最初に)

チェック確認内容
注文や会計で調理が何度も止まっている
先払いに向いている業態である
接客を減らしても店の価値を損なわない
現金対応かキャッシュレス限定か決めた

▼ 券売機を選ぶ(次に)

チェック確認内容
店の商品数・トッピング数に合う機種か
POS・会計ソフトとの連携を確認した
月額料金・保守費・手数料を確認した
本体以外の費用(設置・通信・消耗品)を確認した
補助金なしでも導入費を支払える

▼ 補助金を確認する(最後に)

チェック確認内容
既存事業の省力化として申請できる(新規開業は対象外)
対象製品と登録販売事業者を確認した
交付決定前に契約・購入していない
不採択でも導入できる資金計画がある
アカガネ所長

最初に、店に必要か。 次に、どの券売機か。
最後に、補助金を使えるか。
順番を間違えないようにお気をつけください。

まとめ|補助金より先に、券売機が必要か判断する

アカガネ所長

券売機は、注文受付と会計の負担を減らし、店主が調理や提供へ集中するための設備です。
特に、ラーメン店・カレー店・丼定食店など、メニューを整理しやすく先払いに向く業態と相性があります。
飲食店で券売機を導入した交付決定実績は、公式資料で確認できます。 ただし、個人飲食店だけの実績件数は公表されていません。 また、初めて1号店を開業する新規事業は対象外です。

テーマ結論
券売機の強み注文受付と会計を先払いでまとめられる
相性のいい業態ラーメン・カレー・丼・定食・立ち食い
慎重に考えたい業態バー・スナック・コース料理・接客重視の店
現金 vs キャッシュレス立地と客層で決める
費用本体だけでなく設置・保守・月額まで確認する
省力化補助金カタログ登録製品・人手不足の説明・新規開業は対象外
シマナガ

まとめると、こうです。
券売機は、ワンオペ飲食店の注文と会計を減らせます。
ただし、補助金があるから導入するのではなく、店の営業に本当に必要かを先に判断すること。
券売機が必要だから、使える補助金を探す。
補助金は最後に確認するものです。

甲斐承太郎

まずは、注文と会計で何回調理を止めているか記録してみるよ。
その作業をどれだけ減らせるか考えてから、券売機と補助金を調べればいいんだね。

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