じゃ、お店を開業するにはどうすればいいの?
どんなことを決めて、どんな手続があって、どんな資格や…
飲食店開業には様々な手続きや資格が必要ですが
まず、最初にやらないといけないことは『コンセプト』の決定です。
手続きよりもまずコンセプトについて解説します。
- じぶんが目指すお店の最適な業態の見つけ方
- 他のお店には負けない自分だけの個性・武器を備える方法
- 絶対、ブレないお店の方針
これからの時代はSNSや口コミでの集客が主流になります。
大手チェーンや有名店に勝つために、お店のコンセプトを全面に打ち出すことが絶対条件になります。
コンセプトとはなにか
そもそもの話
コンセプトってなんなんですか!?
コンセプトとは
あなたのお店で得られる『価値』がどんなモノなのか、その『価値』を明確に表したものです。
お客さんが代金を支払う理由にその価格に見合った『価値』を求めます。つまりお客は情緒な価値=ベネフィットに対してお金を払っているのです。
ちなみにベネフィット(Benefit)を直訳すると
[金銭的]利益、利得となります。
人間がレッドブルを買う理由は気持ちをシャッキとする・元気になる利益に対して代価を支払います。
ちなみにレッドブルのコンセプトは「翼をさずける」です。
「7W2H」とは|コンセプトの検討ポイント
コンセプト検討の際には7W2Hの視点を持ち下記の9項目を抑えておきましょう
「7W2H」とは
プロジェクト管理やビジネスプランニングにおいて、ある目標や計画を詳細に分析し、明確にするために使用されるフレームワークです。
「7W2H」フレームワーク
- What(何を): 目標や成果物は何か?
- Why(なぜ): なぜそれを行うのか?
- Who(誰が): どのような人々が関与しているか?
- When(いつ): いつ実行するのか?
- Where(どこで): どこでそれが行われるか?
- Which(どのようにして): どのような方法やプロセスを使うか?
- Whom(誰に): 誰がその成果物やサービスの受け手か?
- How(どのように): どのように計画を実施するか?
- How Much(いくらで): 予算やコストはいくらか?
中でも、事業の動機や目的が最も重要です。
強い意志や明確な目的がなければ飲食店の開業は困難です。
この子、けっこうキツイ子ね…
これを飲食店開業のコンセプトの検討に応用すると
以下のようになります。
コンセプトの参考例
- What(何を): 地元の食材を使用した日本料理レストランの開業。
- Why(なぜ): 地域の食文化を促進し、高品質な食事体験を提供するため。
- Who(誰が): 経験豊富なシェフ、地元の農家、専門の内装デザイナー。
- When(いつ): 来年の春(XX年XX月)にオープン予定。
- Where(どこで): 都市の中心部に位置するアクセス便利な場所。
- Which(どのようにして): 地元の食材を用いた伝統的な日本料理とモダンな食事スタイルの融合。
- Whom(誰に): 地元住民と観光客、特に日本料理と新しい食体験に興味がある人々。
- How(どのように): 地域の食材供給者との連携、効果的なマーケティング戦略の実施。
- How Much(いくらで): 開業コストは約XXXX万円、月間運営コストは約XX万円。
コンセプトとアイデアの違い
似たような言葉でアイデアがあるけどこれもコンセプトと同じ意味なの?
お客さんを喜ばせるアイデアはあるけど…
コンセプトとアイデアは異なります。
アイデアは具体的なサービスやメニューに関するものでありコンセプトはそれらを包含し、更にお客様が来店する理由や店の存在意義を含みます。
現有のアイデアがコンセプトに類似している可能性がありますが、これらは別の要素として検討する必要があります。
コンセプトの重要性
コンセプトは飲食店のテーマや方向性を示し、顧客にとって店のイメージや期待値を構築します。
明確なコンセプトに基づく経営は、顧客に店の特色や強みを明示でき、再来店を促進します。
また、口コミによる集客効果も期待できます。
飲食店を開業するにあたってコンセプト作りは最も基礎的かつ重要なステップです。
コンセプトは店の方向性やテーマを明示し、これにより店の全体像が顧客に伝わります。
自分がお客さんに対してどんな『価値』を提供できるのか…
自分自身の棚卸しが必要だ…
一過性のブームで終わらないために
これまで飲食店では若者を中心にブームが発生しては専門店が乱立し、ブームの終焉を迎えて次々につぶれていく歴史を繰り返してきました。
これまでは
白いタイヤキ、生キャラメル、パンケーキ、わたあめ、タピオカミルクティーなどがありましたが、この中で一過性のブームで終わるものと定番化するのがあります。
その違いはコンセプトメイクにあります。
タピオカミルクティーで有名な『ゴンチャ』があります。
ゴンチャのコンセプトは【コーヒーが苦手人がリラックスできるスタバのような雰囲気や場所を提供すること】です。
これは、タピオカは付加価値に過ぎず、お茶や雰囲気作りにこだわった結果、タピオカミルクティーが下火になった今でもお茶好きの若者たちに支持されています。
なるほど!ゴンチャはタピオカミルクティー屋になるのではなく、コーヒーが苦手な人をターゲットにしたカフェを作ったわけだね!!
アンケートや意見に振り回されずにコンセプトを守ろう
今の時代は口コミやアンケートなど収集することが容易です。
デパートなどでもお客様の声として掲示したりとお客様ファーストが主流となっています。しかし、あまりにもお客さまの意見を取入れた結果個性がなにも無いお店になってしまいます。
例えるならカントリーマアムのクリスピーや保温機能付き電気ケトルなど当初のコンセプトが受けた個性的な商品あります。
これらの時間の経過とともに迷走し個性が無くなってしまうことが日常でも溢れています。
個人店であれば個性を失うことは大手チェーンがひしめくサバンナに投げ出されるようなものです。
電気ケトルネタ好きだな~
コンセプト開発の要点
- 時流に流されずに
- 流行は短命なもの。持続可能な成功を目指すなら、一過性のブームに乗じた商品戦略は避けるべき。
- 客観性を保つ
- 飲食店業は公衆の評価で成り立っており、個人の好みだけでなく、広範な意見を取り入れることが重要。
- 他店からの学習
- 成功例だけでなく、失敗例からも学ぶことで、分析的な視野を広げ、改善に繋げる。
- マーケットニーズの理解
- 市場に受け入れられないアイデアは、いくら素晴らしくても商業的に成功しない。自身の欲求と市場の需要のバランスを見極める。
- 情熱を持って取り組む
- 義務感からではなく、情熱を持って業務にあたることで、成果を出しやすくなる。
- 柔軟な進行
- 全体を俯瞰し、取り組みやすい部分から順に進めていくことで、無理なく計画を進められる。
- 閃きの記録
- ひらめきやアイデアは逃さず、記録しておくことで後で役立てる。
- 独自性の追求
- 他者を模倣するのではなく、成功している要素を分析し、それを自店の特色として取り入れる。
- 成功要因の習得
- 単なる模倣ではなく、成功している店の背景にある理由や顧客の好みを理解し、それを自店に応用する。
- 綿密な検討
- 一貫性が保たれるまで時間をかけて慎重に考え、コンセプトを練り上げる。時間をかけることで、より深みのある、自己に根差したコンセプトが生まれる。
お店の業態を考えよう
次にあなたがやりたいお店の業態を考えてみましょう。
各種の業態については下記にまとめてありますので
あなたに合った業態を探してみてはいかがでしょうか
業種別のお店の作り方は今後も追加していきますのでチェックしておいてくださいね。
コンセプトからアナタのお店の名前を考えよう
業態が決まってコンセプトが固まってきたら店名とショルダーネームを考えてみましょう。
ショルダーネーム?
ショルダーネームとは
店名の前にくるアナタのお店の特徴を端的に表したモノです。
ショルダーネーム(キャッチフレーズ) | 飲食店名 |
---|---|
“うまい!を、気がねなく!” | 鳥貴族 |
“肉卸直送” | 焼肉の達人 |
“ホルモンの美味しい焼肉” | 伊藤課長 |
“専門店の料理を低価格で” | 笑笑 |
“お口の恋人” | ロッテ |
“うまいものいっぱい” | いろはにほへと |
“海鮮居酒屋” | さくら水産 |
“カラダにピース CALPIS” | カルピス |
“intel inside/インテル入ってる” | インテル株式会社 |
“ひとの 時を、想う。” | 日本たばこ産業株式会社 |
“ココロも満タンに” | コスモ石油株式会社 |
“やがて、いのちに変わるもの。” | ミツカン |
ショルダーネーム以外の有名企業のキャッチフレーズも含まれています。
特に大企業のキャッチフレーズだと自然と脳内で音声が再生されるくらいのちからがあります。
インテル入ってる?はもはやキャッチフレーズを超えた言葉のちからを持っています。
わかりやすい店名・わかりにくい店名
店名はお店の顔であり、集客において非常に重要な役割を果たします。例えば、ここに
「グルービーズ」というお店と
「笑門来福」というお店のどちらのお店に入りたいでしょうか?
2つのお店を比較した際に後者の「笑門来福」はその名前だけで町中華か居酒屋であることが想像できてコンセプトの内容もどんなサービスを期待できるのか顧客にとってすぐに理解しやすいです。
これは、人々が明確でわかりやすい情報を好む傾向に基づいています。曖昧さや不明瞭さはしばしば無意識の避ける動機となり、特に飲食店選びのような日常の選択において顕著です。
店名を選ぶ際は、以下の点を考慮することが有効です
わかりやすい店名の特徴
- 明確性
- 店名は提供している商品やサービスを明確に反映しているべきです。顧客が店名を見た瞬間に、どのような食べ物や体験が提供されているのかが理解できるべきです。
- 簡潔さ
- 簡潔で覚えやすい名前は、口コミや視認性の点で有利です。複雑で長い名前よりも、短くシンプルな名前が好まれる傾向にあります。
- 魅力的な響き
- 店名は単に情報を伝えるだけでなく、聞いた人に好印象を与える必要があります。響きが良く、ポジティブなイメージを想起させる名前が効果的です。
- ターゲット顧客の考慮
- 店名はターゲットとする顧客層に響くものでなければなりません。地域性、文化、言語など、顧客の属性に合わせた適切な名前を選びましょう。
集客を考える際には、店名がいかに重要かを理解し、顧客が直感的に理解し、惹きつけられる名前を選ぶことが肝心です。
提供やコンセプト内容が一目でわかる店名は、顧客に明確なメッセージを伝え、店への足を運ぶ動機を提供します。
「クシュルブシュルバール」はダメだったか…
地名を入れるとブランドイメージがアップ
店名に地域名を取り入れることで、その地域のイメージやブランドを店舗のアイデンティティに強く結び付けることができます。各地域名は独特の雰囲気や特色を持ち、それが直接店のイメージやブランドに影響を与えることがあります。以下は、いくつかの地域名とそれがもたらす印象の例です。
地域名のそれぞれの特徴
- JAPAN: 国際的な視野を持ち、ワールドワイドなイメージや品質を連想させます。
- 北海道: 豊かな自然と高品質な食材のイメージがあり、美味しさや新鮮さをアピールするのに適しています。
- 東京: モダンで洗練された都市のイメージがあり、特にインバウンド観光客にアピールすることが可能です。
- 京都: 歴史と伝統が重んじられる文化の都市であり、由緒正しい風情や上質なサービスを連想させます。
- 札幌: 新鮮な海産物やスープカレーなど、特定の美食と関連づけられ、また冬のイベントや雪の美しさも連想させます。
- 円山: 札幌市の中でも特に高級感があり、上質な品質やエレガントな雰囲気を表現するのに適しています。
コンセプトシートをつくろう
コンセプト検討に使用した7W2Hの指針や業態・店名・ショルダーネームなどが固まってきたらそれらをまとめたコンセプトシートに落とし込みましょう。
次から次へとコンセプトやアイデアが浮かんで来て溢れ出しそうだったので早くカタチに落とし込みたい!
・100円均一居酒屋
・BAR 喫茶 メイド婆
・タイヤのカタチのタイヤキ屋…
…
これまでのコンセプトをまとめることにより
①今後の道標になる。
②関係者への説得材料になる
③これから説明する開業計画書として利用
できます。
コンセプトシート記入例
コンセプトシートの記入例になります。
このコンセプトシートテンプレートはこちらから右クリックで画像を保存を選択しダウンロードしてご自由にお使いください。
まとめ
飲食店開業においてコンセプトの決定は極めて重要です。
このコンセプトは、店舗のアイデンティティを形成し、顧客に対して何を提供しようとしているのかを明確に伝える役割を果たします。
コンセプトは店舗のメニュー、デザイン、サービススタイル、マーケティング戦略に影響を与え、顧客の期待を形作る基礎となります。
ユニークで魅力的なコンセプトは新規のお客さんやリピートを促す鍵になるんだね!
他の店には無い価値を提供できて、差別化を図れるようにここはよーく考えてコンセプトを考えてみるよ!
結論として、飲食店の開業においては、ただ料理を提供するだけでなく、その料理を通じて伝えたいストーリーや体験を考え、それを具体化するコンセプトをしっかりと決定することが成功への第一歩ですよ。