え、何?このタイトル…?
…わたしたちの仕事は挑戦する人たちの人生を背負っている部分もあります。成功する人の影には失敗して消えていく者もたくさんいます。
今は開店の勢いに任せて突き進むところですが、苦戦が続くようであれば撤退も考えないといけない場面がやってきます。
- 経営の不調が続いた場合の撤退ラインについて
- 精神的な回復を経て、再びビジネスや社会で活動する方法について
- 金銭的な問題を解決し、安定した基盤で再スタートを切る方法について
このステップでは営業を撤退する場合の具体的な順序とサポート方法を紹介しています。
この困難を学びの機会ととらえ、心理的サポートを求め、財務を再構築することで、新しい道へと進む準備ができます。
失敗は決して終わりではなく、次の成功へのステップになります。
店舗を閉店するのに必要な費用と手続き
勢いよくスタートした事業も飲食業界は「約4店舗のうち1店」が廃業する世界です。
開店にかかった期間はとても楽しい時間だったかと思います。
しかし、閉店にかかる期間も同じくらい時間と多額な費用がかかります。
店舗面積1坪あたり15万円程度の撤退費用を覚悟しなければなりません。
店舗閉店に必要な主な費用と手続きをまとめました。
店舗閉店に必要な主な費用と手続き
- 内外装の原状回復費用
- 賃貸借契約に基づき、店舗造作物の解体・撤去費用が必要です。多くの場合、スケルトン状態への復帰が求められます。
- 地代家賃(解約予告期間分)
- 賃貸借契約に基づき、解約予告期間分の家賃を支払います。通常は6ヶ月程度が一般的です。
- 買掛金、未払金
- 営業中に仕入れた食材や備品の支払いが残っている場合、これらの費用を支払う必要があります。
- リース・割賦契約残債
- リースや割賦契約で取得した器具・備品の残債を、契約に基づいて全額一括返済することが通常です。
- 借入金の返済
- 開業資金や運転資金などの借入金を返済する必要があります。返済不能の場合、保証人や担保に影響が出ることもあります。
- 各種契約の解除手続き
- 営業に必要な契約の解除手続きを行います。途中解約には費用が発生する場合があります。
- その他の手続き
- 従業員への解雇手続き、オーナー自身の再就職活動が必要です。また、店舗開店時に差し入れた保証金は、撤退完了後に一部返却されますが、「保証金償却」分は減額されることがあります。
まさに泣きっ面に蜂
飲食店の閉店理由
飲食店閉店の理由には複数の要因が関係しています。
最も一般的な理由は資金繰りの悪化で、特に開業初期の赤字経営を支えるのに十分な運転資金がない場合に問題となります。
また、利益重視の経営がサービス品質の低下につながり、顧客離れを招くこともあります。新規顧客の獲得に失敗することや、競争が激化することも閉店の原因となり得ます。
さらに、健康問題や後継者不足、設備の老朽化による財政負担も閉店の理由に挙げられます。
これらの要因は、事業の持続可能性を脅かし、最終的に閉店に至ることがあります。
飲食店閉店の理由
- 資金繰りの悪化
- 開業初期は通常、赤字が予想されるため、適切な運転資金の確保が重要。不足すると廃業へ。
- 利益重視の経営
- 利益を求めてコスト削減すると、サービス品質が低下し顧客離れを引き起こす可能性。
- 新規顧客獲得の失敗
- リピーターに頼る経営はリスクが高く、新規顧客獲得の失敗が経営の悪化を招く。
- 移転の必要性
- 立地や規模の調整による移転は、高いコストと手間が伴う。
- 人手不足
- 労働集約型業態での人手不足は、サービスの低下や運営の困難を引き起こす。
- 競争激化による売上低下
- 競合店の増加は顧客を分散させ、売上低下につながる。
- 健康問題や後継者不足
- オーナーの健康悪化や後継者不足が廃業の直接的な理由となることも。
- 設備の老朽化
- 長期運営に伴う設備投資の必要性が財政負担となることがある。
飲食店廃業のこんな兆しがあれば要注意
飲食店の閉店には兆候があります。来店客数の顕著な減少、経済的問題の兆候、例えば家賃の支払い遅延、管理のずさんさ、従業員のやる気の低下、顧客満足度の低下、そして競争の激化による売上の落ち込みです。これらのサインは、即座の対応を要求する重要な警告となり得ます。飲食店経営者はこれらの兆候に注意し、適切な対策を講じることが極めて重要です。
飲食店閉店の前兆
- 来店客数の減少:来店数が0人の日がある。さらに流行ってないイメージを持たれてしまう。
- 経済的問題:売上不振から家賃の支払い遅延、従業員削減。コンセプトの変更など
- 管理の問題:従業員不足や教育不足などから店内の清掃が行き届いていない。
- 従業員の士気低下:従業員退職が増えると残った従業員にしわ寄せが行き、やる気がなくなる。
- 設備の放置:故障した設備の修理が遅れる。
- 原価管理の失敗:売上を求めて料理のメニューを増やしすぎるなどが原因でのポーションが不安定に
- 集客対策の不足:HPの更新、周囲の状況や客層の変化、メニュー売れ行きの変化に対する対応が不足。
- トラブルの増加:オーダーミス、売り切れ、提供の遅延、価格表示ミスが頻発。
もう想像するだけで恐ろしい状況…
売上減少や従業員の退職などの小さな兆しからそれがドミノ倒しのように状況が悪化していくんだね。
こんなときは英断が必要な場面も
営業している飲食店を閉店させるためには、労力もコストもかかるため、なかなか決断ができないまま月日を過ごしてしまっている経営者もいるかもしれません。
しかし、資金的に余裕のあるうちに、閉店も視野に入れて、閉塞状況の打開を試みましょう。
固定費を低くするために、思い切って小規模な店舗に移転して心機一転を図るという手もあります。
その際には、コストを最小限に抑えるために、居抜きでの店舗の売買を考慮するとよいでしょう。現在では居抜き物件専門の業者もあるため、無料査定を利用してみるのもおすすめです。
ときには英断も必要なのか
経営不振…できるだけ痛手を負わずに撤退する方法について
飲食店経営において多くのオーナーが直面する経営難からの脱出や、ビジネスモデルの転換を考えている場合、様々な戦略が考えられます。
まずは3つの戦略が考えられます。こちらから検討すると良いでしょう。
戦略 | 定義・概要 | メリット | 主な手続き・方法 |
---|---|---|---|
居抜き売却による閉店 | 内装設備を含む事業の売却。 | 資産の一部回収、原状回復義務の免除など。 | オーナーの許可、売却相手の探索、造作譲渡契約の締結。専門の仲介が推奨される。 |
業務委託での営業継続 | 運営を他者に委託しながら、賃貸借契約を維持する方法。 | 運営の手間が省け、定期収入が得られる。委託先は初期投資を抑えられる。 | 契約内容の明確化、適切な委託先の選定、委託料の設定、契約締結。 |
業務転換で再スタート | 現ビジネスモデルの変更や新しい業態への転換。 | 新市場への参入、収益性の向上の機会。 | 新業態への転換、競合分析、ターゲット層の再定義、新たな投資とリスクの評価。 |
撤退における各戦略には固有のメリットと必要な手続きがあり、これにより経営者は状況に応じて最適な方法を選択できます。
重要なのは、すべての選択肢にリスクが伴うため、実際の決定を下す前に十分な市場調査と分析を行うことです。
飲食店が廃業する具体的な法的な流れ
飲食店の廃業は、ただドアを閉めて去るだけではない多くの責任と手続きを伴います。
全ての工程で法律に則って期限を守って進める必要があります。
適切な準備と計画により、経営者としての最後の責務を全うし、次のステージへと進む準備を整えましょう。
借入金がある場合は、取引のある金融機関に連絡する必要があります。
これにより、返済計画の見直しや次のビジネスでの信用維持につながります。密に連絡を取り、状況を説明しましょう。
リース契約を途中解約する場合は、精算が必要です。
リース商品は購入したものではないため、必ず返却が必要です。リース会社との間で残債について話し合い、必要な手続きを行いましょう。
物件を管理する不動産管理会社に、解約通知書を提出します。
飲食店舗の場合、解約通知は3ヶ月~8ヶ月前が一般的です。適切な時期に手続きを行い、スムーズな退去を計画しましょう。
取引先への通知や、従業員を雇用している場合は雇用保険、健康保険などの社会保険の手続き
税務署や労働基準監督署への連絡など、多岐にわたる準備が必要です。
飲食店廃業に際し、保健所への廃業届出と飲食店営業許可書の返納、消防署に防火管理者解任届出書の提出、そして深夜酒類提供飲食店の場合は警察署に廃止届を提出するなど、公的機関への適切な手続きが求められます。
飲食店の廃業における届出の提出先
以下は、各行政機関に提出する必要のある書類と期限をまとめたテーブルです。廃業に際してはこれらの手続きが必要となりますので、適切な対応を心掛けましょう。
行政機関 | 届出名 | 提出期限 | 注意点 |
---|---|---|---|
税務署 | 個人事業の開業・廃業等届出書 | 廃業した日から1ヶ月以内 | |
消費税の事業廃止届出書 | 事業を廃止してから遅滞なく | ||
給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書 | 廃業した日から1ヶ月以内 | 従業員を雇用している場合 | |
所得税の青色申告取りやめ届出書 | 廃業した年の翌年3月15日まで | 青色申告者向け | |
警察署 | 深夜酒類提供飲食店営業の廃止届出書 | 廃業した日から10日以内 | 深夜営業の届出がある場合 |
風俗営業許可書の返納 | – | キャバクラ等の許可書返納時 | |
消防署 | 防火管理者選任(解任)届出書 | 期限なし | 解任時に記入・提出 |
保健所 | 食品営業許可証の返還と廃業届 | 多くの場合、廃業した日から10日以内 | 地域によって異なる可能性あり |
日本年金機構 | 健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届 | 廃業した日から5日以内 | 必要書類を添付 |
ハローワーク | 雇用保険適用事業所廃止届 | 廃業した日から5日以内 | |
雇用保険被保険者資格喪失届 | 廃業した日から10日以内 | ||
雇用保険被保険者離職証明書 | 廃業した日から10日以内 | 従業員向け | |
労働基準監督署 | 確定保険料申告書 | 事業の廃止した日から50日以内 | 労災保険等に関する手続き |
労働保険料還付請求書 | 事業の廃止した日から50日以内 |
これらの手続きは、廃業する事業主の法的責任であり、期限を守り適切に行うことが求められます。
また、これらの手続きを怠ると、後に法的な問題や費用の発生など、さまざまな不都合が生じる可能性があるため、
注意が必要です。
飲食店廃業…その後の生活は
起業。特に飲食店経営は容易な道のりではありません。
多くの人がそのプロセスでつまずき、失敗します。
しかし、その後の人生は様々な道があります。
1. サラリーマン生活への回帰
経営の不安定さに疲れ、安定した収入を求める声が多く聞かれます。
飲食店経営で得た経験は、一定のビジネススキルを身につけた証でもありますが、「経営者には向いていない」と感じる人も少なくありません。
その結果、安定した職場での再就職を選ぶ道もあります。
起業によって得た経験は、従業員としても非常に価値があります。
そのスキルセットを活かし、新しい環境で働く道も選べます。
特に、スタートアップや中小企業は、経験豊富な人材を求めており、そこでならではの成長の機会を提供してくれるでしょう。
2. 再チャレンジへ
逆境にめげず、再び事業を興す決心を固める起業家もいます。
失敗をバネに、前回の教訓を生かした新たなビジネスモデルで成功を目指す人々がいます。
実際、多くの著名な実業家も、何度かの失敗を経てから成功しています。
起業で得たスキルや経験は、次のステップへの大きな財産です。
新しいアイデア、新しいビジネスモデルに挑戦する力を、起業家はその経験から学び取ります。
その過程で、企業の成長や新たな価値の創出に貢献できるチャンスを得ることができます。
3. さらに厳しい状況へ
一方で、事業を続けることに固執し、さらに破綻へと進む人もいます。
その結果、自己破産など、更なる経済的、社会的困難に直面するケースも考えられます。
こうした状況から抜け出し、再建するには、相当な決意と努力が必要とされます。
結論として、飲食店経営の失敗は、そこで終わりではなく、新しい始まりとも言えます。
失敗した経営者がその後どのような道を選択するかは、その人の性格、環境、そして持っているスキルに大きく依存しますが、多くの可能性があることを知っておくことが重要です。
経営失敗の体験談①
Iさん (29歳 元カフェ経営者)
事業を立ち上げ、運営するというのは容易なことではなく、成功するまでには多くの障害が伴います。
その過程で、大きな失敗を経験する人も少なくありません。
しかし、失敗したからといってそれが全てではない、ということを私の体験談からお話します。
経営破綻後、私は負債と向き合う決断をしました。
高価な資産の売却や生活スタイルの大幅な変更を余儀なくされ、一時は厳しい状況に置かれました。
しかし、これが自己責任と経済的現実を直視する上で必要なステップでした。
家族の支えもあり、新たな職を得て、少しずつ借金の返済に取り組んでいます。
事業がうまくいかなかった理由を深堀りすることは、同じ過ちを繰り返さないために不可欠です。私の場合、事業計画の甘さや市場ニーズの誤解が大きな教訓となりました。特に、資金調達の方法から学んだことは、事業に対する理解を深め、計画をより現実的なものにするために役立っています。
今、私は過去の失敗をバネに、新しい事業計画を練っています。前回の失敗が教えてくれたことは、専門家のアドバイスを求め、計画に対して徹底的にこだわる重要性です。そして、この計画を成功させるための具体的なスキルや知識を身につける努力をしています。
私の体験談から、事業を運営する際には多くの挑戦があることが伺えますが、それでもなお、失敗から立ち上がり、再び前を向くことのできる強さと柔軟性もまた事業家にとって必要不可欠な資質であることを、私は強く信じています。
経営失敗の体験談②
仮名Aさん (33歳 元インポートブランド店経営)
私の場合、挑戦の一歩は予期せぬトラブルの連続となり、やがて失敗へと繋がりました。
しかし、その経験が私にとって無駄だったかと問われれば、答えは「いいえ」です。
ここでは失敗からの再起への道のりについて語ります。
私が会社を辞め、自分のビジネスを立ち上げる決意をしたとき、それは自由への扉を開く鍵だと信じていました。しかし、事業が軌道に乗る前に資金が底をつき、潮時を迎えたのです。その結果、家計には厳しい状況が訪れ、生活の質は一変しました。しかし、そこには重要な教訓がありました。
会社を辞めると、定期的な収入を失います。私の場合、生活を支えるために、携帯料金の見直しや食費の削減など、徹底的な節約を行いました。
また、ネットのアンケートに参加したり、バイトを見つけたりして収入の足しにしました。これらの努力により、新たな借金をすることなく、何とか生計を立てることができました。
起業による金銭的なプレッシャーは、家族にも大きな影響を与えました。しかし、私たちの絆はこれまで以上に強くなりました。家族は私の決断を支持し、一緒に困難を乗り越えることを選んだのです。特に子供には、不安を与えないよう配慮しながらも、教育資金の面では公的な支援を利用する道を選びました。
意外なことに、起業失敗後、私の健康管理は以前よりも改善しました。かつてはすぐに医者を訪れたものですが、医療費を節約するため、自宅でできる健康管理を学びました。これが、予想外のプラス面でした。
失敗後も、私は再起を目指し、最も費用対効果の高いレンタルオフィスで仕事をしました。費用は発生しますが、その環境での集中作業が新しい収入と希望をもたらしてくれました。そして、私は仕事を選ばなくなり、全ての機会を大切にするようになりました。
起業して失敗したことで、私は多くのことを失いましたが、それ以上に得たものがあります。新しいスキル、自己認識、家族との強い絆、そして何より自分自身をより深く理解する機会を得ました。私の体験が、同じ道を歩む人々の参考になれば幸いです。起業は決して楽な道のりではありませんが、その過程で学ぶことの価値は計り知れないものがあります。
開業を失敗しないために必要なこと
これまでの歴史の中でたくさんのお店が参入しては撤退をすることを続けてきました。その中で失敗の原因もある程度パターンがあります。
先にリスクを把握し対策とることで失敗を最小限に抑えることができます。
飲食店経営には予期でないトラブル連続です。
転ばぬ先の杖として保険に加入することをおすすめします。
会社員でなくなると確定申告も必要になりますので常に経営の数字を意識することで問題にも早期発見が可能になります。
まとめ
飲食店の経営は、どんなに情熱を持って始めた事業でも、市場の変動や予期せぬ困難により、終わりを迎えることがあります。
しかし、その経験は決して無駄ではなく次のステップへの貴重な学びとなります。
廃業は一つの終わりではありますが、新たな始まりでもあるのです。
…
飲食店経営を断念したオーナーのその後の選択には、同じ業界での職を求めたり、新しい分野に転身するなど様々です。
特に飲食業界への愛着が深い多くの元オーナーは、再び独立を目指し、資金を貯めるために他の飲食店で経験を積むことを選びます。
経験と情熱を活かして、次なる機会を探る者も少なくありません。
正しい手続きを踏み、未来に向けて前を向いて歩んでいく勇気と準備が、次の成功への道を開きます。
失敗から学び、成長し、再び夢を追いかけることができるのが、経営者としての醍醐味でもあります。
夢が叶う直前に厳しい話をしてしまいましたが、アナタの挑戦が身を結び、本当のアナタの夢が叶うことをわたしたちは願っています。
わたしたちの仕事は飲食店開業の夢を叶えるお手伝いです。
しかし、物語はスタートして終わることはありません。
物語の途中で苦しいときや辛いとき。必ず誰かに頼ってください。
わたしたちはプロです。
最悪の結果を回避することができる力があります。
とても心強いよ。ありがとう!
ふたりに出会えたことにとても感謝しているよ。