なんかカフェを開業するには飲食店菓子製造業許可と飲食店営業許可の両方が必要って聞いたけどホント?
そもそも2つの違いがわからないんだけど
飲食店営業許可と菓子製造業許可は、それぞれ食品衛生法に基づき異なる業務内容と要件で制定されています。
法の目的はなんなのか、自分のビジネスがどちらの許可を必要とするかをそれぞれを正しく理解することが重要です。
- それぞれの許可が規制する業務内容の明確な理解
- 自分のビジネスモデルに必要な許可を判断するための基準の提供
- 許可申請プロセスの詳細なガイドライン
例えば、カフェを開業し、その場でコーヒーと共に手作りのケーキを提供する場合、飲食店営業許可が必要です。
しかし、そのケーキをオンラインで販売したい場合は、菓子製造業許可が別途必要となります。
また、両方の活動を行う場合は、二つの許可が必要です。
菓子製造許可とは?
で菓子製造許可ってどういうときに必要なの?
飲食店を開業するなら基本的に飲食店営業許可だけで十分ですが
菓子を製造し、店外での販売(小売や通販)を行う場合に必要になります。
飲食店営業許可と菓子製造許可のどっちが必要?
種別 | 飲食店営業許可 | 菓子製造業許可 |
---|---|---|
主な用途 | 店内での飲食提供 | 菓子の製造および販売 |
必要性 | 店内で食品を提供する場合に必要 | 菓子を製造し、店外での販売(小売やマルシェ販売、通販)を行う場合に必要 |
特記事項 | アルコール提供や食事提供が主目的 | 製造業としての許可であり、店内提供は基本的にNG |
お菓子屋さんやパン屋さんが店舗内で製造し、販売も行う場合、菓子製造許可が必要です。
一方で、カフェやレストランのように客が来店して食事をする場合は飲食店営業許可のみ必要となります。
また、両方の活動を行う場合(例:カフェで自家製ケーキを製造・販売する場合)、両方の許可が必要になることがあります。
令和3年の食品衛生法改正について
えっと…菓子製造許可は店内で菓子やパンを提供してはいけないけど、飲食店営業許可があればなんでも店内で提供できるってこと?
令和3年6月1日より、食品衛生法が改正され、原則すべての食品等事業者がHACCP(ハサップ)に沿った衛生管理を行うことが義務化されました。
それに伴い以下のような変更がありました。
- 菓子製造業許可の拡張
- 飲食店営業の許可が無くても客が購入した菓子やパンに飲料を添えて施設内で提供すること
- そうざい製造業又は飲食店営業の許可が無くても施設で調理パンを製造すること
- 飲食店営業許可の緩和
- 既製品を開封,加温,盛り付け等して提供する(そうざい,ハム,おでんなど)
- 半製品を簡易な最終調理(揚げる,焼く等)を行い提供する(唐揚げ,ソフトクリームなど)
- 米飯を炊飯,冷凍パン生地を焼成する
- 既製品(清涼飲料水,アルコール飲料等)及び自家製ジュース等の飲料を提供する
菓子製造業許可の法改正によりイートインスペースを設けて飲料を添えてその場で製造した食品を販売することができるようになりました。
例えば、自家製パンにコーヒーを添えて提供するカフェのようなスタイルがイメージしやすいでしょう。
つまり菓子製造業許可があれば飲食店営業許可は不要ってこと?
菓子製造業許可では、飲食を提供する範囲に制限があります。飲食店営業許可と菓子製造業許可の主な違いは、菓子製造業許可ではランチやアルコールの提供ができない点です。パンや菓子を製造し、それに併せて食事を提供するには、飲食店営業許可と菓子製造業許可の両方が必要になります。
どこからがお菓子になるの?
普通の飲食店でもデザートを提供するし、デリバリーもするでしょ?
例えば、パンケーキって菓子に含まれるの?
そうなると飲食店営業許可だけではダメだよね?
どこからがお菓子になって菓子製造許可が必要になるの?
質問は非常に良いポイントをついていますね。
飲食店でのデザート提供やデリバリーについて、飲食店営業許可と菓子製造許可の必要性を確認しましょう。
飲食店営業許可は、店内で客が食事をすることを主目的としています。
これにはデザートの提供も含まれます。
つまり、レストランやカフェでデザートとしてパンケーキを提供する場合、飲食店営業許可の範囲内です。
一方で、菓子製造許可が必要になるのは、以下のような場合です
菓子製造業(第11号関係)
厚生労働省主催「食品衛生法等の一部を改正する法律」に基づく政省令等に関する説明会」資料より一部抜粋
- 定義
- パン製造業及びあん類製造業を含み、第26号(複合型そうざい製造業)及び第28号(複合型冷凍食品製造業)の営業を除く。
- 改正後の変更点
- 従来の菓子製造業とあん類製造業を統合したこと。
- 菓子製造業とは、社会通念上菓子の完成品とされる食品を製造する営業をいい、いわゆる菓子種の製造業は含まれない。
- 菓子製造業の許可を受けた施設で、客が購入した菓子やパンに飲料を添えて施設内で提供する場合、飲食店営業の許可を要しない。
- 菓子製造業の許可を受けた施設で調理パンを製造する場合、そうざい製造業又は飲食店営業の許可を要しない。
- 製造したお菓子を外部の小売り(スーパーマーケットなど)、オンラインでの販売、または他の店舗への卸売りをする場合。
- お菓子を製造し、包装して店舗外での販売を行う場合(例:マルシェでの販売、通信販売など)。
パンケーキの場合、これが「お菓子」とみなされるかは、その利用目的や提供方法によります。
一般的にパンケーキは、店内で調理し、直ちに顧客に提供される場合は「飲食店営業許可」のみで問題ありません。
しかし、店外での販売を目的とする場合は、「菓子製造許可」が必要になる可能性があります。
お菓子として認識されるかどうか基準はあいまいです。
管轄の保健所ごとに見解が異なるとめ、微妙なラインの場合は都度確認することがおすすめです。
飲食店営業(第1号関係)
厚生労働省主催「食品衛生法等の一部を改正する法律」に基づく政省令等に関する説明会」資料より一部抜粋
- 定義
- 食品を調理し、又は設備を設けて客に飲食させる営業
※飲食店営業の対象となる「調理」とは、その場で客に飲食させるか、又は、短期間のうちに消費されることを前提として、一応摂食しうる状態に近くなった食品を変形したり他の食品を附加したり、あるいは調味を加えたりなどして飲食に最も適するように食品を加工成形することをいう。- 改正後の変更点
- 旧第2号の喫茶店営業は飲食店営業の一形態として統合される。
- 主な留意点
- 旧第1号の規定で、飲食店営業の例示として規定されていた業態(カフェー等)は引き続き、飲食店営業の一形態として取り扱う。
- 飲食店営業のうち、次に掲げる簡易な営業については、飲食店営業の施設基準を一部緩和する。
簡易な飲食店営業の対象となる調理の具体例としては、以下のとおりである。
- 既製品(そのまま喫食可能な食品)を開封、加温、盛り付け等して提供する営業
(食品例:そうざい、ハム、ソーセージ、スナック菓子、缶詰、おでん等)- 半製品を簡易な最終調理(揚げる、焼く等)を行い提供する営業
(食品例:唐揚げ、フライドポテト、ソフトクリーム等)- 米飯を炊飯、冷凍パン生地を焼成する営業
- 既製品(清涼飲料水、アルコール飲料等)及び既製品以外の自家製ジュース、
コーヒー等の飲料を提供する営業
まとめてます。
できること
菓子製造業許可 | 飲食店営業許可 |
---|---|
パン(調理パン含む)の製造、販売 | 料理のイートイン、テイクアウト販売 |
菓子の製造、販売 | 菓子・パン等のイートイン、テイクアウト販売 |
冷凍パンの製造、販売 | 冷凍パン生地を焼成して販売 |
冷凍菓子の製造、販売 | アイスクリームのイートイン販売 |
飲料のイートイン販売 |
できないこと
菓子製造業許可 | 飲食店営業許可 |
---|---|
料理(スープ類含む)お酒の提供 | 菓子・パン等の通信販売、他店舗への卸販売など |
アイスクリームの製造、販売 | アイスクリームのテイクアウト販売 |
例えば、ケーキを店内で製造し、店内で販売することは問題ありませんが、これを外部に販売する場合は菓子製造業の許可が必要になります。
あれれ!?有名外国某コーヒーチェーン店ではケーキを販売してるじゃん!
これってアウトじゃないの!?
それは、既製品のケーキを仕入れて販売しているからです。店内で手を加えずにそのまま販売する場合は、菓子製造業の許可は不要です。
菓子製造許可と飲食店営業許可どっちを取得するのがいいの?
はい。
タイトルのままです。
菓子製造許可は、製造室を他のスペースと物理的に完全に分ける必要があります。
これは、食品の衛生管理を徹底するためです。
例えばパン屋さんが、テイクアウトスペースやイートインスペースを設ける場合、単にカウンターやパーテーションで区切るのではなく、ドアや窓などを用いてしっかりとした壁で区画を作る必要があります。
飲食店営業許可では、そうした厳密な物理的区分は必要とされないため、より柔軟な店舗設計が可能です。
しかし、菓子製造許可の基準を満たすキッチン設備があれば、飲食店営業許可も比較的容易に取得できることが多いです。
なるほど。
お菓子やパンを製造して外部販売するには飲食店よりもハードルが高いんだね。
菓子製造許可取得のながれ
菓子製造許可を取得するには、以下の手順で進める必要があります。
- 菓子製造許可が必要な施設の条件を把握します。
これには、施設の衛生環境、設備、従業員の衛生管理などが含まれます。 - 地域の保健所に相談し、具体的な要件や必要書類について確認します。
菓子製造に適した施設を準備します。
これには清潔で衛生的な製造環境の整備、適切な設備の配置、必要に応じて施設の改修が含まれます。
菓子製造許可を取得するには、施設ごとに食品衛生責任者を配置する必要があります。
この責任者は、食品衛生責任者養成講習を受講し、資格を取得している必要があります。
申請に必要な書類を準備します。
これには、施設の平面図、設備の配置図、衛生管理計画、食品衛生責任者の資格証明書などが含まれます。
必要な書類を添えて、地域の保健所に申請します。
申請後、保健所の担当者が施設の検査を行い、規定に適合しているかを確認します。
全ての条件が満たされ、保健所の検査を通過すれば、菓子製造許可が交付されます。
各地域の保健所によって多少の違いはあるため、具体的なプロセスや必要書類については、直接地元の保健所に問い合わせることが重要です。
また、許可取得には一定の費用がかかることも覚えておくと良いでしょう。
菓子製造業許可の有効期限
菓子製造業許可には定められた有効期限があり、期限が切れる前に更新手続きを行う必要があります。
具体的な期間や手続きについては以下の通りです。
- 有効期限
- 通常、菓子製造業許可の有効期間は5年以上です。
- しかし、この期間は自治体によって異なるため、許可を受けた地域の保健所で確認する必要があります。
- 更新手続き
- 許可の有効期限が近づいたら、更新のための書類の準備と必要な手数料の支払いを行います。
- 更新手続きは失効する前に完了させることが重要です。
- 注意点
- 許可が失効すると、法律に基づく営業ができなくなるため、有効期限の数ヶ月前から準備を始めることが望ましいです。
更新手続きには、事業の継続に必要な文書や証明書の提出が含まれる場合が多く、場合によっては施設の再検査が求められることもあります。そのため、常に保健所との良好な関係を保ち、必要な情報を随時確認しておくことが重要です。
まとめ
飲食店営業許可と菓子製造業許可は、提供するサービスの内容に応じて必要となります。
飲食店営業許可は、店舗内での飲食提供が主目的の場合に必要であり、ランチやアルコールの提供も可能です。
一方、菓子製造業許可は、製造した菓子を店外で販売する際に必要とされ、テイクアウトや外部イベントでの販売が含まれます。
2021年の法改正では、飲食店営業許可を持つ店舗でも製造した菓子のテイクアウトが可能になりましたが、それぞれの許可には固有の制限が存在します。
例えば、イートインスペースを持つ菓子店では、両方の許可が必要になる場合もあります。
自店のビジネスモデルに合わせて適切な許可を取得することが、遵法かつ効果的な運営につながります。
食品を扱う身分としてしっかりと法にしたがって衛生に気を遣わなければならないんだね!
しっかりと法律を理解して必要な許可を取得しよう!