事業コンセプトが固まって、そのコンセプトにあった良さげな物件が見つかったよ!
大家さんにお金用意するから待ってもらってるけど、次は何をすればいいの?
事業コンセプトが決定し、理想的な店舗物件を見つけたら、次に取り組むべきは事業計画書の作成です。
事業計画書の目的は、事業の将来の方向性と戦略を示し、内外のステークホルダーに対してビジョンと行動計画を伝える重要なツールです。
資金調達の際にはその信頼性を高める証拠となり、リスク管理やパフォーマンスのモニタリングにも役立ちます。
事業を成功に導くためには、事業計画書が不可欠です。
- 開業に向けた計画書に必要な項目を理解し融資の資料にも使える書類が作成できます。
- 現在の自分の現在地を客観的に確認し進むべき方向の舵を切ることができます。
- 事業計画・収支計画・返済計画など相互に連携を伴った計画書をまとめることができます。
事業計画書の全体図
まず、事業計画書ってどこからスタートすればいいの?
事業計画書は主に6つのパートで構成されます。
- 表紙・目次
- 事業概要
- 商品やサービス
- 市場分析
- 収支計画
- リスク対策
1.表紙・目次
表紙 – 第一印象が一番大事
表紙ってどうやって作ればいいの?そもそも表紙なんてそんなに大事?
表紙はプレゼンテーションの第一印象を決める重要な要素です。
特に事業計画書やプレゼン資料では、表紙の出来栄えが全体の評価に大きく影響します。
以下のポイントに注意して表紙を作成しましょう。
- 第一印象の形成
- 表紙はプレゼンテーション全体の第一印象を決定づけます。
- 視覚的に魅力的な表紙は、聴衆の関心を引き、プレゼンテーションへの期待を高めます。
- プロフェッショナルさのアピール
- しっかりとデザインされた表紙は、プレゼンテーションの相手に念入りに準備されていることを示し、信頼感を高めます。
- 内容の概観
- 表紙にはプレゼンテーションのタイトル、作成者、日付などの基本情報が含まれているため、
プレゼンテーションの内容や目的を一目で理解できます。
- 表紙にはプレゼンテーションのタイトル、作成者、日付などの基本情報が含まれているため、
- ブランド認識の向上
- 事業のコンセプトイメージやカラーを使用することで、プレゼンの内容やブランド認識を高めることができます。
目次 – の重要性について
目次もとても重要です。
事業計画書の目次は、プレゼンテーション全体の構造を明確にし、聞き手がどこにどの情報があるのかを一目で理解できるようにするために役立ちます。
話のゴールを先に提示することでメリハリをもって話に集中してもらうことができます。
以下に目次の重要性と作成方法を説明します。
目次の重要性
- 全体像の把握
- プレゼンテーションの流れを理解しやすくなる。
- 関心の持続
- 聞き手が興味を持ち続けるために、どのセクションに何が含まれているかを知ることができる。
- 効率的なナビゲーション
- 途中で疑問に思ったり、詳しく聞きたいことがあった場合に必要な情報をすぐに見つけるこたり質問したりが可能
- 集中力の維持
- 話のゴールを先に明示することにより聞き手の集中力を継続させることができる
2.事業概要
この項目はどんなことを書けばいいの?
事業概要は、あなたが立ち上げようとしている飲食店の全体像を簡潔に説明するセクションです。
①事業の基本情報や提案者のプロフィール
②提案の背景
③ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)
④事業コンセプトを紹介します。
それぞれの内容について詳しく説明しますね。
①提案者プロフィール – あなたについて
僕のプロフィール?
履歴書でいいの?
事業計画書における「提案者のプロフィール」は、履歴書とは異なります。
ここでは、あなたがどのような経験やスキルを持っていて、どうしてこのビジネスを始めたいのか、その動機や資格、経歴を具体的に説明する部分です。
②提案の背景 – なぜこの事業をはじめるのか
融資者があなたの事業計画書を見て、あなたの想いが伝わってくる必要があります。
提案の背景として4つのカテゴリーに分類されることが多いです。
- 問題意識型:特定の問題を解決したいという動機。
- 理念、使命型:強い信念や使命感から事業を起こす。
- 実現手段型:具体的な方法や技術で目標を実現しようとする。
- 望ましい将来像提示型:理想の未来を描き、それに向けて動く。
自分の現状が満足できなくて開業を目指している。
そんなボクの場合は何になるのかな?
1.問題意識型に該当します。
現状に何かしらの問題を感じ、それを解決するための手段として自分のビジネスを起こすという動機が明確です。
この問題意識を事業計画書に具体的に書き込むことで、あなたの強い意志や事業を始める理由がはっきりと伝わりますよ。
さらにこの事業計画書を熱意をもって説明できなければなりません。
自分を棚卸ししてみて、①過去の成功体験、②この事業への思い入れ、③やる気、これらをアピールしていきましょう。
③MVV(ミッション・ビジョン・バリュー) – 経営理念
超MMC…
またアルファベット?
要は経営理念のことです。
そして、経営理念とは、会社の目指す方向や目標を示す「地図」のようなものです。
これがないと、スタッフの行動や会社の方針が曖昧になり、混乱を招くことがあります。
経営理念の3つの要素
- ビジョン(Vision)
- 将来の姿:会社が将来どうなりたいかを示します。
- 例:「全国に炭焼きスープカレー文化を広めること」
- ミッション(Mission)
- 現在の使命:ビジョンを実現するために何をすべきかを示します。
- 例:「新鮮な食材と独自の体験で、お客様に驚きと喜びを提供すること」
- バリュー(Value)
- 価値観:ミッションを達成するために何を大切にするかを示します。
- 例:「高品質の地元食材と顧客体験の融合」
経営理念があると、お店の方針やサービスの基準が明確になります。
それに、理念に共感するファンが増えお客さんが集まりやすくなり、リピーターの増加が望めます。
そして、創業融資を受ける際には、明確な経営理念があることで、融資担当者に対してお店の将来性や信頼性をアピールしやすくなり、融資を受けやすくなります。
④事業コンセプト – あなたの価値を伝えよう
事業コンセプト?
なんか、前にやったような…
事業コンセプトとは、あなたのお店が何を提供するのか、どのような価値をお客様に提供するのかを明確にするものです。
詳しくはこちら解説しています。
3.商品やサービス
商品やサービスのセクションは、単になにを提供するのかの紹介だけではなく、他のメニューや体験型サービスも含めて事業の全体像を示すことが重要です。
また、事業の強みやターゲット、課題を明確にすることで、融資者に事業の魅力を伝えやすくなります。
- 主力商品:
事業で取り扱う商品やサービスの詳細を説明します。
機能や特徴、ユーザーにとってのメリット、競合他社との差別化ポイントなどを明確にします。 - 与件整理:
事業の現状や背景、課題、目標などを整理・分析します。以下の要素を含みます:- 課題: 解決すべき問題
- ターゲット: 目標顧客
- 目的: 事業の目標
- 自社の強み(バリュープロポジション):
自社の商品やサービスが市場で提供する独自の価値を明確にします。以下のポイントを含みます:- 独自の価値: 他社との違い
- 顧客メリット: 利用することで得られる利益
- 競合優位性: 競合他社に対する優位性
①主力商品 – 売上の要
主力商品は直接的な売り上げの要になります。
提供する価格や原価率などの項目を明確にすることで売上予測を立てることができます。
商品やサービスについて説明するときは、商品を継続して安定的に提供できることを示せるよう、仕入れ先や外注先についても具体的に記載します。
②与件整理 – ってなに?
予見整理?
ぼくの予測ではみずがめ座は運気が上昇するでしょう
かに座は…
ここで言う「与件整理」は、ビジネスで使う専門用語です。
事業を計画する際に、現状の課題や目標を整理し、何をどう解決するかを明確にすることです。
具体的には以下のように分けて考えます。
与件整理とは
- 課題:解決すべき問題点を洗い出します。
例えば、スープカレーの競合が多いとか、季節による売上変動が大きいなど。 - ターゲット:狙っている顧客層を明確にします。
例えば、健康志向の若い女性や観光客など。 - 目的:最終的に達成したい目標を設定します。
例えば、地域で一番人気のスープカレー店になることや、年間売上○○円を達成することなど。
③バリュープロポジション – 自社の強みとは
自社の強み(バリュープロポジション)とは
お客様に対して、他の競合とは違う、自社ならではの価値を提供することです。具体的には以下のように整理します。
4.市場分析
市場分析とは、事業を取り巻く環境を詳細に調査・分析し、その市場でどのように競争力を持ち、成功するかを考えるためのプロセスです。
以下の要素を含みます。
- SWOT分析
- 現状の内部・外部環境を把握するための基本分析。自社の強みと弱み、市場の機会と脅威を明確にします。
- 4P分析
- 製品・価格・流通・プロモーションの観点から具体的な戦略を立てるための分析。市場における自社のポジションを明確にし、戦略を具体化します。
- ビジネスモデル
- 収益構造や価値提供方法を明確にするための分析。どのようにして収益を得るか、顧客にどのような価値を提供するかを具体化します。
①SWOT分析 – 己を知るプロセス
SWOT分析ってなんのためにやるの?
SWOT分析は、事業の内部環境と外部環境を総合的に分析するためのフレームワークです。
これによって、事業の強みと弱み、機会と脅威を明確にし、効果的な戦略を立てることができます。
SWOT分析を行うことで、現状を客観的に把握し、今後の戦略を具体化することができます。
たとえば、強みを活かして観光客向けのプロモーションを強化し、弱みを補うために食材の安定供給体制を整える、といった対策が考えられるのです。
②4P分析 – 「どうやって売るかを考えよう」
ビジネスモデルが決まったら、それを踏まえて販売戦略(マーケティングプラン)を立てていきます。
ここからはマーケティングミックス(4P分析)を見ていきます。
マーケティングミックスまたは4P分析は、
製品(Product)、価格(Price)、宣伝(Promotion)、立地流通(Place)の4つの要素で構成されます。これらは、ビジネスモデルの中でも特に販売戦略を形成する上で重要な役割を担います。
なるほど!
4P分析はどうやって売上を出すかに特化した考え方なんだね!
③ビジネスモデル – とは?
ビジネスモデル?どんなモデルさんなの?
ビジネスモデルとは、「モデルさん」ではなく、あなたの事業がどのように収益を生み出すかの計画です。
具体的には、どんな商品やサービスを誰に提供するのか、そしてどのようにお金を稼ぐのかを明確にする枠組みのことを言います。
例えば、直接商品を販売するのか、サブスクリプション(定額制)で提供するのか、または広告収入で運営するのかなど、事業の「稼ぎ方」を決める重要な要素です。
飲食店業界におけるビジネスモデルは多様です。
これらのモデルはそれぞれ独自の運営戦略が求められ、市場のニーズやターゲット顧客に合わせて選択することが重要です。
ビジネスモデル | 概要 | 飲食業界での例 |
---|---|---|
マージン追求モデル | 高価格帯での提供を通じて高い利益率を目指すモデル。 | 高級レストラン、特化した専門料理店 |
高回転モデル | 低価格と効率的な運営で顧客を素早くさばくことにより、小利多売で利益を上げるモデル。 | ファストフード、セルフサービスカフェ |
顧客確保モデル | 顧客を長期的に獲得し維持するためのリピーターを増やす戦略。会員制、リワードプログラムを用いることが多い。 | 会員制バーや地元中心の居酒屋など |
ほかにもビジネスモデルが存在します。
ビジネスモデル | 概要 | 飲食業界での例 |
---|---|---|
ターゲット選別モデル | 特定の顧客層にフォーカスし、ニーズに合わせた製品やサービスを提供する。 | ヴィーガン専門レストラン、ハラールフード店 |
ブランド確立モデル | 独自のブランドイメージを作り上げ、認知度と顧客の信頼を高める。 | 地元で有名なラーメン店、国際的なコーヒーチェーン |
サービス無償提供モデル | 基本サービスを無料で提供し、アップグレードや付加価値のあるサービスで収益を上げる。 | 無料のお通しや前菜を提供し、高価格のドリンクやディナーで利益を得る |
参入障壁モデル | 特殊な技術や許可、地域的な要因を利用して競合の参入を困難にする。 | 地域限定の特産物を使った料理、特許を持つ料理方法 |
パッケージ商品モデル | 複数の商品やサービスをセットで提供し、顧客にとっての便益を高める。 | コース料理、季節限定のフルコースメニュー |
専門家集団モデル | 特定の専門知識を持った人材を集め、その専門性を前面に出したサービスを提供する。 | ソムリエを配置したワインバー、特定の料理法を極めたシェフのレストラン |
これらのモデルは、様々な戦略的アプローチを通じて、特定の市場ニッチや顧客層を効果的にターゲットにし、競争に勝つための方法を示します。
ひとりで切り盛りする小さなお店の場合はマージン追求モデル最適だね!
ビジネスモデルを具体化しよう!
ビジネスモデルの基本が見えてきたら、これを具体化させましょう。 具体化させるにはビジネスモデルキャンパスが有効です。
…?
キャンパスモデル?
ビジネスモデルキャンバスとは、ビジネスの基本要素を一枚の大きな紙に視覚的にまとめて考えるツールです。
このキャンバスを使うことで、事業の全体像を把握しやすくなり、戦略の立案やアイデアの整理が容易になります。
ビジネスモデルキャンバスは、事業計画のさまざまな側面を一枚の視覚的な図にまとめることで、統合的な理解を促進し、戦略的な議論を容易にすることを目的としています。
このキャンバスは、事業を成功に導くために必要な要素を9つのブロックで構成しており、それぞれが事業の異なる側面を表しています。
右側(顧客、チャネル、顧客との関係、収益の流れ)
これらは事業がどのように顧客に価値を提供し、その対価を得るかを説明します。
左側(主なリソース、主要活動、パートナー、コスト構造)
これらは事業運営のために必要な内部の資源や活動を明確にします。
4.収支計画
収支計画についてはコチラで解説しております。
5.リスク対策
なんだかすごい量の横文字が出てきて頭がパンパンだ…
で最後のリスク対策とは?
リスク対策は、事業運営におけるリスクを予測し、それに対して適切な対応策を講じるための計画です。これには、事業を続けるべきか撤退するべきかの基準を定める撤退基準と、事業のさまざまなリスクに対して具体的な対応策を準備するリスク対策の二つの項目があります。
撤退基準 – デッドラインを決めておこう
撤退基準とは、事業が目標に達しない場合やリスクが現実化した場合に、事業の継続を見直すための基準です。具体的には、以下のような定量的および定性的な基準を設定します。
リスク対策 – 事前に対策しておこう
リスク対策は、事業運営において発生する可能性のあるリスクに対して事前に準備する具体的な対策です。内的要因と外的要因に分けて整理し、それぞれに対する対応策を準備します。
内的要因と外的要因ってどう違うの?
内的要因は、企業内部から生じるリスクや問題を指します。
これには、従業員、経営方針、社内の手続きやシステムなど、企業のコントロール範囲内の要素が含まれます。
外的要因は、企業の外部から生じるリスクや問題を指します。これには、市場の動向、経済状況、自然災害、法規制の変更など、企業のコントロール範囲外の要素が含まれます。
事業計画書をプレゼンしよう!
事業計画書は作っておしまいではありません。
自分以外の誰かに見せることを前提に作るものです。
新規開業の場合はほとんどの場合は金融機関からの融資を得ることが目的になるとおもいます。
この事業計画書をうまく使いクリティカルヒットを出せるようなプレゼンが必要になります。
事業計画書を用いた融資のためのプレゼンテーションでは、ただ情報を伝えるだけではなく、聴衆を引き込むストーリーを作成することが重要です。以下に、確実に融資がおりるプレゼンの方法を紹介します。
- ストーリーの構築
- スタートからゴールへ: 事業のビジョンや目標を明確にし、スタート地点から目標達成までのプロセスをストーリーとして展開します。
- 流れを視覚化: 矢印や図表を用いて、事業計画の流れを直感的に理解できるようにします。
- ポイントの強調: 事業計画のキーとなるポイントを強調し、理解しやすくするために、色やフォントサイズで目立たせます。
- 数値の整合性: 事業計画に含まれるすべての数値が整合性を持ち、予測が現実的であることを示します。
- 説得力のあるプレゼン
- 損益計算書の活用: 単に数字を提示するのではなく、「売れる」「実行できる」理由を具体的に説明します。
- 事業計画書の構成: 事業計画書の全体構成を理解し、各セクションがストーリーにどのように貢献するかを明確にします。
- ストーリーの着地点: 最終的なゴールや事業の成功イメージを具体的に描き、聴衆に共感や期待を持たせます。
- プレゼンテーション技術
- オーバーアクション: ここぞという時には、オーバーアクションを交えて、プレゼンを印象深く、覚えてもらいやすくします。ただし、信頼性を損なわない程度に。
- 情熱を伝える: 事業への情熱や信念を伝えることで、聴衆の心を動かし、プロジェクトへの信頼を築きます。
まとめ
事業計画書は融資先やパートナーなど事業を説明するのに必須のツールになります。
あなたの開業や事業に対する想いをストーリーにして伝えましょう。
この完成した事業計画書はアナタ自身の進む方向を間違わないようにする羅針盤であり、あなたの脱サラ物語です。
とくに事業の将来性や持続性を証明する収支計画は重要事項になります。
コンセプトを実現させるための根拠になる損益計算書やキャッシュ・フロー表は特に慎重に計画を立てる必要があります。
事業計画書って、ただお金を借り為の道具じゃなくて、僕の夢を実現させるためのロードマップなんだね。
これがあれば、どうやって店を大きくしていくか、どんな障害があっても乗り越える方法が見えてくる。
自分の未来を明確に示すための、大事な一歩なるんだね!
完成した事業計画書を手に次は融資に向けた創業計画書の作成に続きます。