
良さげな物件も見つかって、立地調査も探偵もやってみたけどいい感じ!収支予測も合格もらえたから物件も仮押さえしてもらったよ!



ついに事業計画書の作成です。
事業計画書の目的は、事業の将来の方向性と戦略を示し、内外のステークホルダーに対してビジョンと行動計画を伝える重要なツールです。
資金調達の際にはその信頼性を高める証拠となり、リスク管理やパフォーマンスのモニタリングにも役立ちます。
事業を成功に導くためには、事業計画書が不可欠です。
- 開業に向けた計画書に必要な項目を理解し融資の資料にも使える書類が作成できます。
- 現在の自分の現在地を客観的に確認し進むべき方向の舵を切ることができます。
- 事業計画・収支計画・返済計画など相互に連携を伴った計画書をまとめることができます。



今回は以前コンサルした「カフェ&ベーカリー みちくさ」の事業計画書を参考に解説していきます。


事業計画書の全体図



まず、事業計画書ってどこからスタートすればいいの?



事業計画書は主に6つのパートで構成されます。
- 事業概要
- 商品やサービス
- 市場分析
- 資金計画
- 収支計画
- リスク対策
0.表紙・目次


表紙 – 第一印象が一番大事



表紙ってどうやって作ればいいの?そもそも表紙なんてそんなに大事?



表紙をあまくみてはいけません。
一番最初に目に入るのが表紙です。ここにお店のロゴを入れることで、「この店は本気だな」と伝わります。



ロゴはただのマークではありません。
お店の「こだわり」や「サービス内容」「雰囲気」を一目で伝える、言葉以上の“顔”です。たとえば「やさしいカフェ」のロゴは丸みのある文字や色合い、「しっかり和食」のお店は落ち着いた和風デザイン。ロゴひとつで“どんなお店か”が伝わり、覚えてもらえるのです。
- お店の「顔」になる(お客さんが一番最初に覚えるポイント)
- お店のコンセプトや雰囲気を“ひと目で”伝えられる
- ほかのお店と差別化できる(印象に残りやすい)
- 看板やメニュー、SNS、チラシなど色々な場所で使えて統一感が出せる
- 信頼感やプロっぽさを演出できる(手作り感でもOK!)
- 何度も見てもらうことで、リピーターの記憶に残りやすい


目次 – の重要性について



目次もとても重要です。
事業計画書の目次は、プレゼンテーション全体の構造を明確にし、聞き手がどこにどの情報があるのかを一目で理解できるようにするために役立ちます。
話のゴールを先に提示することでメリハリをもって話に集中してもらうことができます。
以下に目次の重要性と作成方法を説明します。
目次の重要性
- 全体像の把握
- プレゼンテーションの流れを理解しやすくなる。
- 関心の持続
- 聞き手が興味を持ち続けるために、どのセクションに何が含まれているかを知ることができる。
- 効率的なナビゲーション
- 途中で疑問に思ったり、詳しく聞きたいことがあった場合に必要な情報をすぐに見つけるこたり質問したりが可能
- 集中力の維持
- 話のゴールを先に明示することにより聞き手の集中力を継続させることができる


1.事業概要





この項目はどんなことを書けばいいの?



事業概要は、あなたが立ち上げようとしている飲食店の全体像を簡潔に説明するセクションです。
①コンセプト
②提案者プロフィール
③店舗情報
それぞれの内容について詳しく説明しますね。
①事業コンセプト – あなたの価値を伝えよう



事業コンセプト?
なんか、前にやったような…



事業コンセプトとは、あなたのお店が何を提供するのか、どのような価値をお客様に提供するのかを明確にするものです。
詳しくはこちら解説しています。




開業の背景と動機について



ん?開業の背景と動機?
前はこんなのなかったけど?



事業計画書は、自分のためだけじゃなくて、人に見せるためのものなのです。
たとえば融資担当者や協力者は、「この人が本当にお店をやりたい理由は何か?」「どんな気持ちでやろうとしているのか?」を知りたい。
だから「開業の背景(きっかけ・足りないもの)」と「動機(自分の思い)」をちゃんと書くことで、あなたの考えや熱意がしっかり伝わります。



つまり、「どんなお店にしたいか」だけじゃなくて、「なぜやりたいのか」を言葉にすることで、信頼されやすくなる。
むずかしく考えなくていいので、今の気持ちを2〜3行でまとめれば大丈夫です。



「開業の背景」と「動機」って、どうやって書けばいいの? どんな違いがあるの?



まずは“なぜその店が必要なのか”と“自分がやる理由”を分けて整理しましょう。
下の表に自分の気持ちを当てはめるだけでOKでいす。
項目 | 何を書く? | 例(朝カフェの場合) |
---|---|---|
開業の背景 | 世の中に足りないこと、 困っていること | 深夜と比べて早朝はほとんどのお店が開いていない。 ちゃんとした朝食をゆっくり食べられる店が少ない |
動機 | 自分の体験や気持ち ・やりたい理由 | 自分も朝ごはんを落ち着いて食べる場所がなくて困った。 そんな店を作りたい |
②提案者プロフィール – あなたについて



僕のプロフィール?
履歴書でいいの?



事業計画書における「提案者のプロフィール」は、履歴書とは異なります。
ここでは、あなたがどのような経験やスキルを持っていて、どうしてこのビジネスを始めたいのか、その動機や資格、経歴を具体的に説明する部分です。


③店舗情報



「店舗情報」は事業計画書のなかでも、とても大事な基本データです。
なぜ必要な理由はシンプルです。
- どこで開業するのかを具体的に示せる
- 店の広さや席数で、売上や必要経費のイメージが持てる
- 家賃や駐車場の有無など、コストや集客への影響がすぐわかる
- 物件が“すでに決まっている”こと自体が信用ポイントになる
- オープン日が入っていると、計画性とやる気が伝わる


2.商品やサービス





商品やサービスのセクションは、単になにを提供するのかの紹介だけではなく、他のメニューや体験型サービスも含めて事業の全体像を示すことが重要です。
また、事業の強みやターゲット、課題を明確にすることで、融資者に事業の魅力を伝えやすくなります。
①主力商品 – 売上の要



主力商品は直接的な売り上げの要になります。
提供する価格や原価率などの項目を明確にすることで売上予測を立てることができます。
商品やサービスについて説明するときは、商品を継続して安定的に提供できることを示せるよう、仕入れ先や外注先についても具体的に記載します。




②提供メニュー構成



主力商品だけじゃなく、できれば全体のメニュー構成もここで見せておきましょう。
理想は、開業前に「メニューブック(仮)」を作って、事業計画書にそのまま載せること。
これがあると、お店のコンセプト・客単価・原価率・調理オペレーションまでイメージが一気に具体的になります。
メニュー構成を載せる理由
- 売りたいメニューの「強み・幅」が伝わる
- 融資担当者も「実際に何が出てくる店なのか」イメージしやすい
- 原価率・価格設定・回転率の根拠を説明できる
- “思いつき”じゃなく、ちゃんと準備してる本気度が伝わる


③サービスの特徴



サービスの特徴は、「このお店ならでは」の“ウリ”をはっきり書く場所です。
競合(ライバル店)とどう違うのか、どこにこだわっているのかを1つでも良いのでしっかり伝えましょう。
ここが決まれば「選ばれる理由」が明確になります。
同じ土俵で正面勝負しない、“一点突破”の強みでもOKです。
- どんなお客さんに喜ばれるサービスか?(ターゲット目線)
- 他のお店にない「特別な体験」や「こだわり」
- 提供方法や時間帯など、ユニークなオペレーションでもOK
- 一番伝えたい“強み”はシンプルに1つに絞ってもOK
- 「たったひとつの違い」でも選ばれる理由になる



少しずつ自分のお店からライバル店への意識が移っていってるのを感じる…!
こんなにある差別化戦略
業態 | サービスの特徴例 | 差別化のポイント |
---|---|---|
ベーカリー | 朝6時オープン&全品焼きたて | 出勤前に「できたて」しか並ばない |
定食屋 | 小鉢が日替わりで3種選べる | 毎日飽きない楽しさ+健康志向 |
ラーメン店 | 麺の太さ・スープの濃さカスタマイズ自由 | 自分好みオーダーメイドで常連化 |
居酒屋 | ワンオペだけどセルフ注文&キャッシュオン | 注文も会計も“待ち時間ゼロ”の体験 |
バル | 一人飲み専用カウンター&0次会プラン | サクッと1杯の需要を確実に拾う |
立ち飲み | スマホから注文・決済できる | 混雑時でもストレスフリー、回転率アップ |
お好み焼き | 全席カウンター&目の前で焼くライブ感 | 一人客でも退屈しない+会話が生まれる |
うどん屋 | 自家製だし+夜はうどんバー | 昼は定食、夜はお酒も楽しめる二毛作 |
カフェ | Wi-Fi・電源・全席ひとり席 | 勉強・仕事・読書の“居場所”になる |
テイクアウト専門 | 注文はLINE、受け取りはロッカー式 | 非対面・待ち時間ゼロ・天候に左右されない |


3.市場分析





市場分析とは、事業を取り巻く環境を詳細に調査・分析し、その市場でどのように競争力を持ち、成功するかを考えるためのプロセスです。
以下の要素を含みます。
①ターゲット・ペルソナ



ペルソナ??あのキザなゲームの話じゃないよね…?



ネガティブな意見は慎みましょう。
「ペルソナ」とは、お店のお客さん像を“ひとりの人物”としてリアルにイメージしたものです。
例えば「35歳・会社員・朝は忙しい独身男性・パンよりごはん派」のように、性別・年齢・仕事・生活パターン・好き嫌いまで決めておくと、メニューやサービスの方向性がズレません。





あなたが「こういうお客さんに来てほしい」と思うターゲットをしっかりイメージし、その人たちの行動や使い方を予測できれば、来客数や客単価(=どれくらい売上になるか)も現実的に計算できるようになります。
ペルソナは1つに絞りきれなくても大丈夫。
3パターンくらい(例:会社員/学生/夜勤明けの人など)想定してみると、お店の使われ方の幅も見えてきます。
- 具体的な人物像を“自分の友達のように”想像してみる
- 年齢・性別・生活パターン・来店の理由・お金の使い方まで書き出す
- 何時ごろ、どんな気持ちで、何を注文するかをシミュレーション
- 3つくらいパターンを作ると、より現実的な数字になる
②商圏分析



これは前にもやった気がする…商圏分析って何度も必要?



別の記事や資料でまとめた内容がすでにあるなら、そのまま転載でOKです。
むしろ「商圏分析の表や地図」は何度も使い回すもの。
事業計画書にもピッタリ貼り付けて、
・自分のお店が“どこで誰に向けて商売をするのか”
・どのくらいの人が来てくれるか、売上予測がどうなるか
を、一目で伝えましょう。



「商圏分析」は“数字で語れるストーリー”の土台です。
記事や資料で作ったグラフ・地図・表は、事業計画書にもどんどん使い回してOK。
※ちょっと数字やエリアを最新に直しておくと、さらに信頼感がアップします。
- 立地の“強み・弱み”を数字で説明できる
- 売上予測の根拠(=融資担当者が一番見ているポイント)になる
- 競合とのすみ分けや、ターゲット層の絞り込みに役立つ
- 地図や表を使うことで、感覚ではなく「事実」で話せる信頼性が生まれる




③競合店調査と考察





つぎに、自分のお店の近くを実際に歩いて「競合店」がどこにあるかを調べましょう。
地図で場所をマークするだけでも、「自店がどこで勝負できるか」「他のお店とどう違うか」が見えてきます。
競合店を選ぶポイントは大きく3つです。
- 業態が近い(例:同じカフェ、パン屋、ランチ営業店など)
- サービス内容が似ている(例:モーニング提供・Wi-Fi完備・テイクアウトなど)
- ターゲット層がかぶっている(例:通勤客・学生・一人客など)



競合店調査をする理由ですが
・“どこでどう勝てるか”の作戦が立てやすい。
・「他と同じことだけ」では勝てないので、必ず違いを見つけておく。
・融資担当者や関係者にも「ちゃんと現場を見て計画してる」と伝わる。
競合を知ることで潰れないお店を作ることができます。
逆に調査をしないで勢いで開店したお店はお客さんが来ない原因がわからず対策もできません。
競合分析と競合対策







競合店についてここまで細かく調べる必要あるの?なんか何度もやってる気がするけど…



これで最後です。
自分のお店と競合を「同じフォーマット」で並べて比べることで、
他には負けない“強み”=“選ばれる理由”がハッキリ見えてきます。
- 他店の良い点・弱い点が具体的に見える
- 「自店の独自性」がどこにあるかをはっきり言葉にできる
- 価格帯・ターゲット・営業時間・メニューの幅など、“数字と事実”で説明できる
- グラフや表を使えば、融資担当者や家族にも“説明がしやすい”



差別化ポイントの見つけ方として
①比較表で“空白”を探す
競合に無いサービス・時間帯・ターゲット・価格帯などが“自分のウリ”になる
②ポジショニングマップで立ち位置を視覚化
「うちは朝型で駅近・中価格」というポジションが一目でわかる



計画はあくまで「スタート地点」です。
お店は実際に始めてみると、うまくいかない部分もたくさん出てきます。
そんなときに大切なのは、「自分のお店の強み」や「差別化ポイント」をしっかり理解していること。
それがあれば、必要に応じて軌道修正もしやすく、ブレずにお店を育てていけます。



一番こわいのは、「なんとなく」で軌道修正してしまうことです。
利益やオペレーションを優先した結果、自分のお店らしさをなくしてしまい、お客さんからも選ばれなくなるケースが多く見られます。



ああ!コ○イチか!



4.資金計画





開業資金の計算方法についてはコチラで解説しております。




5.収支計画



資金計画で希望融資額が算出できたら次は融資者に対して返済ができることを証明するため損益計算書、キャッシュフロー計算書を作成します。


6.リスク対策





なんだかすごい量の横文字が出てきて頭がパンパンだ…
で最後のリスク対策とは?



リスク対策は、事業運営におけるリスクを予測し、それに対して適切な対応策を講じるための計画です。これには、事業を続けるべきか撤退するべきかの基準を定める撤退基準と、事業のさまざまなリスクに対して具体的な対応策を準備するリスク対策の二つの項目があります。
撤退基準 – デッドラインを決めておこう



撤退基準とは、事業が目標に達しない場合やリスクが現実化した場合に、事業の継続を見直すための基準です。具体的には、以下のような定量的および定性的な基準を設定します。


リスク対策 – 事前に対策しておこう



リスク対策は、事業運営において発生する可能性のあるリスクに対して事前に準備する具体的な対策です。内的要因と外的要因に分けて整理し、それぞれに対する対応策を準備します。



内的要因と外的要因ってどう違うの?



内的要因は、企業内部から生じるリスクや問題を指します。
これには、従業員、経営方針、社内の手続きやシステムなど、企業のコントロール範囲内の要素が含まれます。



外的要因は、企業の外部から生じるリスクや問題を指します。これには、市場の動向、経済状況、自然災害、法規制の変更など、企業のコントロール範囲外の要素が含まれます。




事業計画書をプレゼンしよう!



事業計画書は作っておしまいではありません。
自分以外の誰かに見せることを前提に作るものです。
新規開業の場合はほとんどの場合は金融機関からの融資を得ることが目的になるとおもいます。
この事業計画書をうまく使いクリティカルヒットを出せるようなプレゼンが必要になります。



事業計画書を用いた融資のためのプレゼンテーションでは、ただ情報を伝えるだけではなく、聴衆を引き込むストーリーを作成することが重要です。以下に、確実に融資がおりるプレゼンの方法を紹介します。
- ストーリーの構築
- スタートからゴールへ: 事業のビジョンや目標を明確にし、スタート地点から目標達成までのプロセスをストーリーとして展開します。
- 流れを視覚化: 矢印や図表を用いて、事業計画の流れを直感的に理解できるようにします。
- ポイントの強調: 事業計画のキーとなるポイントを強調し、理解しやすくするために、色やフォントサイズで目立たせます。
- 数値の整合性: 事業計画に含まれるすべての数値が整合性を持ち、予測が現実的であることを示します。
- 説得力のあるプレゼン
- 損益計算書の活用: 単に数字を提示するのではなく、「売れる」「実行できる」理由を具体的に説明します。
- 事業計画書の構成: 事業計画書の全体構成を理解し、各セクションがストーリーにどのように貢献するかを明確にします。
- ストーリーの着地点: 最終的なゴールや事業の成功イメージを具体的に描き、聴衆に共感や期待を持たせます。
- プレゼンテーション技術
- オーバーアクション: ここぞという時には、オーバーアクションを交えて、プレゼンを印象深く、覚えてもらいやすくします。ただし、信頼性を損なわない程度に。
- 情熱を伝える: 事業への情熱や信念を伝えることで、聴衆の心を動かし、プロジェクトへの信頼を築きます。
まとめ



事業計画書は融資先やパートナーなど事業を説明するのに必須のツールになります。
あなたの開業や事業に対する想いをストーリーにして伝えましょう。
この完成した事業計画書はアナタ自身の進む方向を間違わないようにする羅針盤であり、あなたの脱サラ物語です。



とくに事業の将来性や持続性を証明する収支計画は重要事項になります。
コンセプトを実現させるための根拠になる損益計算書やキャッシュ・フロー表は特に慎重に計画を立てる必要があります。



事業計画書って、ただお金を借り為の道具じゃなくて、僕の夢を実現させるためのロードマップなんだね。
これがあれば、どうやって店を大きくしていくか、どんな障害があっても乗り越える方法が見えてくる。
自分の未来を明確に示すための、大事な一歩なるんだね!



完成した事業計画書を手に次は融資に向けた創業計画書の作成に続きます。

