
ぼくが理想とするお店の形で開業したい気持ちはあるんだけど、失敗したらどうしよう……
理想のかたちは頭の中にあるんだけど、うまくいくかな?



わかります。
何年も温めてきた構想を「現実」にするには、まず紙に書くことから始めましょう。
頭の中の理想を“見える形”にすることが重要です。
今回は「事業計画書」というツールを使って、あなたの構想を地に足のついた計画に変える方法をお伝えします。
- 自分のお店が月にどれくらい稼げそうか、数字で見えるようになる
- 開業に必要なお金がどれくらいか、ざっくり計算できるようになる
- やってみてから「失敗だった…」とならないための準備がわかる



事業の9割は、“始める前”の計画で決まります。
その計画の数字を根拠ある数字に変える。
そのために、事業計画書があるんです。
事業計画書とは?



事業計画書?なんか難しそう…やっぱり作らないとダメなの?
やってみないとわからないじゃん。



その気持ち、よくわかります。
でも、“わからない”からこそ、書いてみる価値があるんです。
事業計画書っていうのは、簡単にいえば――
「これから自分がやろうとしていることを、見える形にする設計図」なんです。
そして、その設計図を元に他の人に説明するために事業計画書を作成します。
- アイデアを“具体化”し、自分の頭の中を整理するため
- → どんなお店にしたいか、どうやって利益を出すかを“見える化”するツール。
- まわりに“伝える”ため(融資・協力者・家族など)
- → 金融機関や関係者に、ビジョン・戦略・実現可能性を伝えるための資料。



最初は、全部ざっくりで構いません。
でも、こうやって書き出すことで、「見えなかったもの」が少しずつ見えてきます。
まずは利益を出せる計画を立てる



やりたいことを思いついたら、次にやるべきは──
その構想で、どれくらい利益が出せそうか?をざっくり予測してみることです。まずは、「このお店なら、ちゃんと儲かるのか?」を具体的に計画していきましょう。



なるほど…
つまり、ボクが考えてるお店がどれくらい売上を出せるかを考えるってことだね。



その通り!
そして、経営を続けていくために必要なのは“利益”です。
まずは目安として、売上の10%以上の利益が出ることを目標に計画を立ててみましょう。
収支予測の作り方



売上から経費を引いて残った金額が、いわゆる利益になります。
これから、売上予測と経費予測を立てて、
「このお店でどれくらい利益が出せそうか?」を一緒に考えていきましょう。



その売上と経費の予測をつくるために必要なのが、以下の3つの要素です。
メニュー開発:客単価と材料原価が決まる
物件探し:席数と家賃が決まる
立地と商圏分析:回転率や人件費や諸経費が見えてくる
これらをもとに、数字を積み上げていきます。


メニュー開発|まずは「何をいくらで売るか」を考える



事業計画の出発点は「何を売るか」。
つまり、“どんなメニューを、どんな価格で提供するか”を決めることから始まります。



これは単なるメニュー表づくりではなく、客単価と原価率を決める大切な工程です。
STEP1:客単価を予想する



まずは、「1人のお客さんが来店して、どれくらい注文するか」をざっくり想定してみましょう。


- 例)ランチ帯:ホットサンド2品 (1,000)+ ホットサンドセット(500円) = 客単価 1,500円
- 例)ランチ帯以外:ホットサンド2品→ 客単価 1,000円



あなたが考えるお店では、お客さん1人あたりいくら使ってくれそうか?
メニュー構成をイメージしながら、数字を出してみてください。
STEP2:材料費(原価)を予想する



次に、そのメニューを提供するためにかかる材料費を見積もってみましょう。



たとえば、客単価が1,000円なら、材料費は300円以内におさめるのが目安です。
物件探し|メニューが決まったら「場所」の検討を



どんな料理を出すか決まったら、その料理が作れる設備がある物件を探しましょう。
まずは不動産サイトなどで「お店用の物件」がどんな条件なのか、ざっくり見ておくとイメージが湧きやすくなります。
- 家賃:経費の中でも固定費として重くのしかかります
- 坪数:席数や厨房の広さ、動線にも関わる重要ポイント
- 住所:繁華街か住宅地か、それによって客層も変わります
立地と商圏調査|売上の“現実味”をチェックする



気になる物件が出てきたら、次は「その地域に合ったお店ができるか?」を調べる番です。
グルメサイトやGoogleマップで、同じような規模・業態のお店をチェックしてみましょう。
- 客層(サラリーマン?主婦?学生?)
- 店内の広さ(席数の参考に)
- 平均予算(メニュー価格と一致してる?)



こういった調査で得た情報をもとに、メニューや価格設定を再調整して、最初に立てた客単価や原価率の精度を高めていきましょう。
回転率を調べよう



回転率?
昔のホテルのレストランは回転してたみたいだけど、今も回ってるの?



残念ながら回転展望レストランはもう閉店してしまったみたいです。
わたしのおじいさんは観光客をそのホテルに案内していたものですが。



“回転率”とは、「1日に同じ席が何回使われるか」という意味です。
たとえば──
10席あるお店に、1日30人のお客さんが来た場合:
→ 回転率は「3.0回」になります(30人 ÷ 10席)
この数字をもとに、1日の売上がどう変わるかが見えてきます。



近くの似たような店を見て「どれくらい入ってるか」を観察すれば、
現実的な回転率のヒントが手に入りますよ。
- 混雑する時間帯は?
- 1組の滞在時間はどれくらい?
- 席はどのくらい埋まってる?



こういった情報を集めて、自分のお店の売上予測に活かしましょう。
業態によって「回転率」はこんなに違う!
業態 | 平均的な回転率 | 特徴 |
---|---|---|
ラーメン屋 | 3.0〜5.0回 | 滞在時間が短く、席の回転が早い |
カフェ | 1.0〜2.0回 | 滞在時間が長く、回転率は低め |
居酒屋 | 1.5〜3.0回 | ピーク帯に集中。回転率は時間帯で変動 |
バー | 1.0回前後 | 長時間滞在が多く、回転は低め |



え〜、回転率を調べるのって大変そうだなぁ……
店の前でずっと張り込むの?ストーカーみたいにならない?



そんなに構えなくても大丈夫です。
ざっくりでいいのです。
近所のお店にランチ時や夜に何度か行ってみて、どれくらいお客さんが入れ替わってるかを見れば、だいたいの回転率はつかめます。
- 11:30に満席、その後12:30にまた満席なら「約2回転」
- 混み始めてから満席までのスピード
- 1人あたりの滞在時間の体感(例:30分 or 90分)



グルメサイトや口コミでも「落ち着いた雰囲気」「すぐ満席になる」などの記載があります。
そういった定性的なヒントも、十分役立ちますよ。
経費予測|“いくらかかるのか”を見える化しよう



では次は経費の予測です。
ざっくりでいいので、あなたのお店でかかる“毎月の出費”を見積もっていきましょう。



FLRとは、飲食店の三大コストの頭文字です。
F:Food(材料費) L:Labor(人件費) R:Rent(家賃)
この3つで、ほとんどの経費が構成されます。



材料費と家賃は、さっきのメニュー開発と物件探しのとこで出てきたやつだよね。
後は人件費はひとりでやるからかからないね。
その他の経費はどうやって出すの?



その他の経費は売上に対する割合からおおよそ算出するのがよいでしょう。
経費項目 | 売上に対する目安 | 根拠・理由 |
---|---|---|
水道光熱費 | 約8% | 厨房機器・冷暖房・照明などの使用が多く、店舗用契約で基本料金も高いため。売上に比例して変動しやすい。 |
広告・交際費 | 約10% | 開業初期の集客(チラシ・SNS・グルメサイト掲載)や、リピーター獲得のためのドリンクサービス等に必要。 |
消耗品・備品費 | 約5% | ナプキン・洗剤・レジロールなど、日常的に使用する細かな消耗品が多く、地味にコストがかかる。 |



これらの経費は売上に応じて“じわじわ効いてくるコスト”です。
利益の計算をする前に、あらかじめ見込んでおきましょう。
利益予測|最終的に“いくら残るか”を見てみよう



これで、売上と経費が計算できたね。
いくら利益がでるのか楽しみ!



でも、ここからが本当のスタートです。
売上から経費を引いた“利益”
──それが「手元に残るお金」です。
そして、ワンオペ経営では、通常の飲食店よりかなり高い利益率を狙うことができます!
項目 | ワンオペ理想数値 | 通常店舗の数値目安 |
---|---|---|
原価率(食材費) | 約30% | 約30% |
人件費 | 0%(店主のみ) | 約30% |
家賃 | 売上の10%以内(最大15%) | 約10% |
その他経費 | 売上の30%程度 | 売上の20%程度 |
利益 | 売上の30〜40% | 売上の10%前後 |



通常の飲食店では「FLコスト(食材+人件費)」が売上の60%くらいかかりますが、
ワンオペなら人件費ゼロの分だけ、利益率がグンと高くなるんです!



え、めっちゃ夢あるじゃん!
それなら少ない売上でもやっていけそうだね!
…あれ?”その他の経費”はちょっと高いね。



良いところに気が付きましたね。
実は──
ワンオペ経営は、自分の身体が資本なんです。
仕込み、接客、会計、清掃……すべてをたった一人で回さなければいけません。
だからこそ、できるだけ「手間を減らす仕組み」を作っておくことが超重要なんです。



そのために必要なのが──
ワンオペを支えてくれる“神ツール”たちです。
・注文を自動化する
・会計をキャッシュレスで簡単にする
・在庫や予約管理もスマホでできるようにする
こういったシステムに投資することで、時間も体力も節約できるようになります。


エクセルでかんたん!収支シミュレーションの使い方



そんなわけで──
収支シミュレーションができるエクセルファイルを作成しました!
メニューや来店パターンを入力するだけで、売上・経費・利益率まで自動で計算してくれます。





まずは、あなたのコンセプトに合ったメニューを開発しましょう。
そのうえで、「この物件にこんなお客さんが来たら、何を注文して、いくら使うか?」をシミュレーションします。



なるほど〜。
その注文パターンから平均客単価や原価率が見えてくるわけだ!
で、利益率が30%くらいになるように、価格や仕入れコストを調整すればいいんだね。



そのとおりです。
たとえばこのサンプルでは、月間売上45万円に対して利益が約14万円、利益率32%とかなり健全な数字になっています。



ちなみに、客単価・原価率・来店人数・営業日数などをちょっといじるだけで、収支バランスが大きく変わります。
何度もシミュレーションして、理想の収益構造に近づけていきましょう。
\「あなたのお店、いくら儲かる?」がパッと見える!/
まとめ



事業計画書は「あなたの頭の中にある理想のお店」を現実に落とし込むための設計図です。
その中でも、どれだけ利益が出せるか=収支予測は最も大事なパート。
「思いつき」ではなく、「数字」で語れる経営を目指しましょう。



客単価・回転率・家賃・材料費
ひとつひとつ見える化していけば、利益も自然と見えてきます。
そしてワンオペ経営では、高い利益率と引き換えに、店主の負担が大きくなることも忘れてはいけません。



うん、数字がわかると夢が現実に近づいてくる感じがするね!
でも、一人で全部やるのはやっぱり大変そうだ…。
次は、ワンオペでもラクに回せる“神ツール”たちをチェックしてみよう!
準備中



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