甲斐承太郎居抜きも気になるけど、物件って結局、何を一番見ればいいの?
ボク、家賃が安ければ、そのぶん楽に始められると思ってたんだけど。



家賃が抑えられるのは助かりますね。
ただ、安く借りても、出したい料理のために大きな工事が必要なら、開業費用は増えてしまいます。
まずは、予定している営業を貸主が認めているか。
そのうえで、メニューに必要な設備と、ひとりで動ける広さを確かめましょう。
候補が残ったら、来てもらえそうなお客様と家賃を照らし合わせます。
- 貸主の条件と厨房設備から、出したいメニューを提供できる物件か確かめる方法
- 席数・立地・予測売上をつなげ、無理なく払える家賃を考える方法
- 申込金・保証金・工事期間の家賃など、契約前に確認するお金の違い



物件は、希望の営業ができ、必要な工事を予算内に収められるものを候補にします。
その候補で客数と売上を見積もり、家賃を払って生活を続けられるか確認してから契約してください。
安い物件を先に押さえて、設備や売上をあとから合わせると、開業できない、支払いが続かないという問題が起こります。


第1章|物件の設備で、作れるメニューを確かめる



メニューの記事で、唐揚げや焼きそばのアレンジを考えたよね。
出したい料理が決まったら、フライヤーや鉄板が置ける物件を探せばいい?



置き場所と一緒に、貸主がその調理を認めているかを確認します。
揚げ物の油煙や、炒め物のにおいが理由で、飲食店でも断られることがあります。
店名や業態だけでなく、メニューと調理方法を伝えるのが大切ですよ。
重飲食可・軽飲食可は、確認の入り口



募集情報の重飲食・軽飲食は、不動産の募集で使われる区分です。扱いは貸主や物件によって異なり、その表示だけで、どの料理まで出せるかは決まりません。





重飲食可でも、焼肉・揚げ物などが個別に制限される場合があります。
唐揚げと焼きそばを、どの機器で、何時まで提供するかを伝えて確認してください。
貸主の承諾と、行政上の営業許可は別です。
必要な機器と、残っている機器を照らし合わせる
- メニューに必要な機器を書く
- フライヤー、コンロ、鉄板、冷蔵庫など。実際の調理方法に合わせます。
- 居抜きの設備を確認する
- 型番・年式・サイズ・動作状況に加え、譲渡対象なのか、貸主の設備なのか、リース品なのかを確認します。
- 不足する設備と工事を見積もる
- 機器を搬入できるか、電気・ガス・排気・給排水が対応できるかを業者に見てもらいます。



機械が置いてあるだけで、そのままボクが使えると思ってたよ。
型番のプレートも写真に撮っておけば、あとで確認できるね。



ええ。
故障していた場合の修理負担も確認しておきましょう。
使える設備が多ければ居抜きのよさを生かせますが、交換が重なるなら、スケルトンと費用を比べ直したいですね。
第2章|排気とインフラは、契約前に工事の可否まで確かめる



厨房機器が入れば大丈夫かと思ったけど、排気も見るんだね。
ダクトの出口って、店の外に出ていればいいの?



その先に隣のお宅の窓があれば、においが届くかもしれませんね。
排気は、どこを通って、どこへ出るかを確認します。
外壁や共用部分に工事が必要なら、貸主の承諾も欠かせません。
排気は、経路・出口・清掃できるかを見る
- 経路: ダクトはどこを通っているか。予定の調理に必要な排気ができるか。
- 出口: 近隣の窓や通路へ、煙・におい・排気音が向かないか。
- 維持管理: 点検・清掃できる構造か。清掃履歴や油汚れの状態はどうか。
外壁から排気する方法も、屋上までダクトを延ばす方法もあります。周囲の建物、必要な風量、給気、工事の制約を合わせて、設備業者と判断します。



ダクトの経路が分からない場合は、確認を契約後へ持ち越さないでください。
図面と現地を業者に確認してもらい、工事できるか、いくらかかるかを確かめます。
インフラは、同時に使っても足りるかで見る
| 項目 | 内見・見積もりで確認すること |
|---|---|
| 電気 | 機器の電圧・消費電力、分電盤と回路、契約容量、増設の可否 |
| 動力 | 三相200Vなどを使う機器がある場合、その電源が使えるか |
| ガス | 都市ガス・LPガスの別、機器の適合、配管や供給能力 |
| 給排水 | 給水・給湯、排水の経路と能力、必要なシンクやグリストラップの設置条件 |



動力は、電気とは別の燃料ではなく、業務用機器などに使う電源のことです。
フライヤーや空調を同時に動かす場面まで含めて、機器の一覧を業者に渡しましょう。
ブレーカーが落ちたことはない、という説明だけでは、承太郎さんの使い方に足りるか分かりません。
第3章|席数は、座れる人数と提供できる人数の両方から決める



広い物件なら、席をたくさん作ったほうが売上も増やせるよね。
ボクが頑張って料理を運べば、なんとかならない?



料理を運んでいる間は、調理も会計もできませんからね。
まず、必要な厨房・収納・通路を取ったうえで席を置きます。
その席が埋まったとき、注文から片付けまで対応できるかを試します。
席の数だけで、ワンオペの上限は決まらない
| 確認すること | 見るポイント |
|---|---|
| 客席 | 滞在時間、テーブルの組み合わせ、一人客が座るときの空席 |
| 厨房 | 一度に作れる量、盛り付ける場所、注文が重なったときの提供時間 |
| 接客 | 注文・配膳・会計・片付けをひとりで行えるか |



席が空いていても、厨房の手が足りなければ受け入れられません。
反対に、調理が速くても、お客様が長く滞在すれば席は空きません。
客席と作業の両方を確認します。
席から計算するのは、受け入れ人数と満席率



満腹率?



満席率です。全席のうち、お客様が座っている席の割合をいいます。
今回は12席の65%、約8席が埋まると仮定します。平均滞在時間が1時間なら、客席から見た受け入れ人数の目安は、1時間に約8人です。





じゃあ、ボクも1時間に8人分作れればいいんだね。



その8人は、席から見た概算です。
調理と接客を合わせて、例えば6人分までしか対応できなければ、計画では6人を上限にします。
8人が一斉に来る場合と、少しずつ来る場合も違います。
試作や模擬営業で、注文が重なる場面を確かめたいですね。


第4章|立地は、来てほしいお客様が利用しやすいかで見る



設備も席数も確認できたら、やっぱり駅前がいいかな。
人が多ければ、お客さんも入りそうだよ。



その人たちが、承太郎さんの料理を食べたい時間に通るかも見ましょう。
平日のランチを出すなら周辺で働く人、家族向けなら近隣の世帯や車での来やすさなど、お店によって確認することが変わります。
- 客層と時間:
- 想定するお客様が、営業時間に周辺で働く・暮らす・通るか。
- 見つけやすさと入りやすさ:
- 看板、入口、階段、道路の横断、駐車場などが利用の妨げにならないか。
- 競合と使われ方:
- 似た価格帯のお店があるか。持ち帰りやスーパーの総菜なども含め、昼食などの用途が競合しないか。



人通りの少ない住宅街でも、近隣のお客様や予約客が来る店は考えられます。
歩いて偶然入る人を狙うのか、目的を持って来てもらうのか。
営業の形に合わせて調べてください。
第5章|家賃は予測売上と比べ、工事期間の支払いも用意する



家賃は売上の10%以内って聞くけど、その金額までなら借りていいの?



10%は、家賃の重さを点検する目安として使えます。
ただし、その範囲なら必ず生活できる、という上限ではありません。
材料費や借入返済、生活費まで確認して、自分のお店が払える金額を決めます。
12席のお店なら、1日に何人来てもらう?



その売上は、どう考えたらいいの?
ボクのお店は12席の予定だよ。



席数から考えるなら、回転率という数字を使えます。
1日の客数が席数の何倍になるか、ということです。
12席のお店に1日36人来てもらえれば、3回転ですね。
毎回、全席が一斉に入れ替わるという意味ではありませんよ。



なるほど!
昼の数時間で24人、午後から夕方に12人来てくれたら、合わせて36人。
じゃあ、まずは3回転で考えてみようかな。



まずは、その仮置きで考えてみましょう。
ただ、36人来てほしいという希望と、36人の来店を見込めることは別です。
実際に来てもらえそうかは、次の売上予測の記事で、周辺のお客様や似たお店を調べて確かめます。
売上を物件の家賃に合わせて増やさない



気になる物件が、それより高かったら?



収支全体で払えるかを確かめます。
厳しければ、賃料の交渉や別の物件も考えましょう。
家賃に合わせて客数を多く見積もったり、作れない数の料理を売る計画にしたりしては、帳尻を合わせただけになってしまいます。
- 毎月の賃料・共益費などを交渉する
- 工事費も含めて、別の物件と比較する
- メニューの価格や構成を見直す場合は、お客様に選ばれるか、提供できるかを再確認する
フリーレントは、一定期間の賃料を無料にする条件です。開業時の負担は減りますが、期間終了後の家賃が安くなるわけではありません。対象費用や途中解約時の条件も確認します。
工事期間の家賃も、開業資金に入れる



家賃が発生する日と、開店して売上が入る日は一致しません。
契約条件と工事日程から、開業までに払う家賃を資金計画へ入れてください。
| 説明用の想定 | 賃料が発生してから開店まで | 家賃10万円の場合 |
|---|---|---|
| スケルトン | 4か月 | 40万円 |
| 居抜き | 2か月 | 20万円 |
これは事業計画のサンプルで使う仮定です。一般的な工期を保証する数字ではありません。設計、工事、機器の納期、検査、引渡日を施工業者などと確認し、遅れた場合の資金も見ておきます。
第6章|契約前に、お金の名目と返金条件を確かめる



いい物件が見つかったら、先に申込金を払って押さえたほうがいいかな?
契約しなかったら、戻ってくるんだよね。



払う前に、そのお金が何のためのものか、契約がどの段階にあるかを確認しましょう。
申込金、手付金、保証金は、名前が似ていても扱いが違います。
申込金と、契約成立後の手付金を分ける



契約成立前に仲介業者へ預ける申込金・預り金は、申込みを撤回した場合、返還が必要です。
一方、契約成立後の手付金や解約時の負担は、契約内容によって扱いが変わります。
契約書に署名していないだけで、必ず未契約とは限りません。
契約時の支払いは、見積書で一覧にする
| 費用 | 確認すること |
|---|---|
| 敷金・保証金 | 預ける額、未払賃料などの精算、償却・敷引き、返還時期 |
| 礼金 | 金額と返還されない条件 |
| 前家賃・共益費 | いつから発生し、何か月分を先払いするか |
| 仲介手数料・保証会社費用 | 初回の額、更新料や継続費用 |
| 造作譲渡代金 | 買う設備の一覧、所有者、故障や撤去の負担 |
| 保険など | 契約上必要なものと支払い時期 |



北海道では礼金がないって聞くけど、店舗も同じ?



地域の印象だけでは決められませんね。
礼金がなくても、保証金の一部を返さない償却の条件などがあるかもしれません。
物件ごとの見積書と契約書で、預けるお金と、戻らないお金を分けて確認しましょう。
保証金の戻る額と、融資対象を決めつけない



保証金が何割戻るかは、一律には決まりません。
償却、原状回復、未払金などの条件で変わります。
居抜きで借りても、退去時はスケルトンに戻す契約なら、その工事費も必要です。



保証金は自己資金で全部用意しないといけないの?



融資の対象になる場合もあります。
日本政策金融公庫の創業計画書の記入例でも、店舗保証金を設備資金に含めています。
ただし、借りられるか、いくら借りられるかは審査や制度次第です。
契約前に金融機関へ確認し、支払日までに資金が間に合うかも確かめましょう。
まとめ|営業できる物件を残し、売上と支払いを確かめてから契約する



物件を見るときは、家賃だけでなく、そこで料理を作って営業を続けられるかを確認します。
貸主の条件、設備と工事費、ひとりで対応できる席数を調べたら、候補地ごとの売上を見積もって家賃と比べましょう。
- メニューと調理方法を伝え、貸主の承諾と必要な手続きを確認する
- 排気・電気・ガス・給排水を調べ、追加工事の見積もりを取る
- 客席と調理・接客の両方から、受け入れられる人数を考える
- ターゲットが利用しやすい候補地を残し、売上予測と家賃を照合する
- 開業前の家賃、契約時のお金、返金・原状回復の条件を確認する



設備が使えても、お客様が来なければ支払いは続きません。
人通りが多くても、営業できない物件では開業できません。
営業条件と収支の両方がそろってから契約してください。



まずは、気になる物件で唐揚げや焼きそばを出せるか聞いて、設備と費用を書き出すよ。
気になる物件が3つもできたけどこいつをどうしたらいいの~!?





