甲斐承太郎理想のお店は考えた。
でも、客単価や客数、家賃って、どうやって決めればいいの?
まだ開業していないのに、売上や利益なんてわからないよ。



収支計画の数字は、勘で決めるものではありません。
メニュー開発から客単価と材料原価。
物件探しから席数と家賃。
立地と商圏分析から来客比率と回転率。
この3つの準備で集めた数字を組み合わせて、お店が成り立つか確認します。
- 3つの開業準備から、収支計画に必要な数字を集める方法
- 固定費と変動費の分け方
- 無料の収支予測シミュレーションの使い方
- 売上・経費・利益から、計画の無理を見つける方法



Excelは計算してくれます。
しかし、入力する数字までは考えてくれません。
都合のよい数字を入れれば、都合のよい利益が出るだけです。
メニュー・物件・立地を数字でつなぎ、現実に続けられるお店なのか確かめていきましょう。


第1章|収支計画はメニュー開発から始まる





メニュー、物件、立地。
考えることが多いけど、どこから始めればいいの?



最初はメニュー開発です。
何を、いくらで売るのかを決めると、客単価と材料原価が見えてきます。
さらに、必要な厨房設備や調理時間もわかります。
その条件に合う物件を探し、席数と家賃を確認します。
最後に、立地と商圏を調べて、その地域のお客様にメニューや価格が合っているかを確かめます。





メニューを決めて、物件を探して、立地を調べれば完成だね。



一度で決まるとは限りません。
家賃が高ければ、もっと売上が必要になります。
立地の客層に価格が合わなければ、メニューの見直しが必要です。
席数を増やしても、料理を提供できなければ売上にはなりません。
3つの準備から売上と経費を作る





数字が合わなければ、メニュー・物件・立地のどこに無理があるのかを見直します。
この3つを行き来しながら、利益を出せるお店の形を探す。
それが、収支計画です。
まずは出発点となる、メニュー開発から始めましょう。
第2章|メニュー開発で「客単価と材料原価」を出す





看板メニューは1,500円にしよう。
ということは、客単価も1,500円だね!



全員が、そのメニューを注文するとは限りません。
客単価は「売りたい商品の価格」ではなく、実際の注文内容から考えます。
お客様の注文から客単価を考える
たとえば、1,000円のメニューに、500円のドリンクセットを用意するとします。
全員がセットを注文するなら、客単価は1,500円です。
しかし、セットを注文する人が半分なら、次のようになります。
1,000円+(500円×50%)=客単価1,250円



全員が一番高いセットを頼む計算ではダメなのか。



それでは、売上を多く見積もってしまいます。
食事をする人、ドリンクだけの人、商品を持ち帰る人。
実際にありそうな注文を考えることが大切です。
メニューごとの材料原価を出す
次に、料理を1品作るための材料原価を計算します。収支予測に必要なのは、次の数字です。
| 確認する項目 | 収支計画に使う数字 |
|---|---|
| 商品の販売価格 | 客単価 |
| 1品分の材料費 | 材料原価・原価率 |
| 注文される組み合わせ | 平均客単価・平均原価率 |
必要な設備と調理時間も確認する



メニューからわかるのは、客単価と材料原価だけではありません。
料理を作るために必要な厨房設備と、提供までにかかる時間も確認しましょう。
- どのような厨房設備が必要か
- どのような厨房設備が必要か
- 一度に何食作れるか
- 1品を提供するまで何分かかるか
- ひとりで何人分を作れるか
この条件によって、選べる物件や対応できる客数が変わります。



メニューを決めると、探すべき物件の形まで見えてくるんだね。



はい。
メニューの価格・材料原価・必要な設備を整理したら、次はそのメニューを提供できる物件を探しましょう。


第3章|物件探しで「席数と家賃」を決める





メニューが決まったから、次は物件だね。
10坪くらいあれば、15席は作れるかな?



図面上で15席を置けても、15人分の料理を提供できるとは限りません。
物件は、広さだけで選ばないでください。
メニューを提供できる設備があるか
- 必要な厨房機器を置けるか
- ガスや電気の容量は足りるか
- 給排水や排気設備に問題はないか
- 食材や食器を保管できるか
- 厨房から客席まで動きやすいか
設備が足りなければ、追加工事が必要になります。
安く見えた物件でも、工事費を含めると高くなることがあります。
席数は「置ける数」だけで決めない



席数は、売上に関わる大切な数字です。
しかし、多ければよいわけではありません。
調理、配膳、会計、片付けをひとりで行うなら、一度に対応できる人数には限界があります。



席を増やしても、料理を出せなければ意味がないのか。



はい。
メニューの調理時間と店内の動線を考えて、無理なく対応できる席数を決めましょう。
毎月かかる物件費を確認する
- 家賃
- 共益費・管理費
- 駐車場代
- 設備のリース料
- 店舗に付随する固定費





家賃は、売上が少ない月でも支払わなければなりません。
席数から作れる売上と、毎月の物件費が釣り合っているかを確認する必要があります。



これで、席数と物件費が見えてきました。
次は、その場所にどのようなお客様がいて、何人の来店が見込めるのかを調べましょう。


第4章|立地と商圏分析で「来客比率と回転率」を考える





メニューと物件が決まったら、売上も計算できるよね?



まだ「どのようなお客様が、何人来るのか」が決まっていません。
お店の周辺にいる人や、近隣店の利用状況を調べましょう。
その地域にいるお客様を考える
- 周辺に住んでいる人
- 近くで働いている人
- 学校へ通っている学生
- 買い物や観光で訪れる人
同じカフェでも、住宅街とオフィス街では、来店するお客様や利用時間が変わります。



大切なのは、その地域に「来てほしいお客様」が実際にいるかどうかです。


3つのお客様と来客比率を考える
収支予測シミュレーションでは、来店するお客様をA・B・Cの3つに分けます。
たとえば、次のように考えます。
| お客様 | 利用方法 | 来客比率 |
|---|---|---|
| A | 食事とドリンク | 50% |
| B | カフェ利用 | 30% |
| C | 焼き菓子の購入 | 20% |
回転率から1日の客数を考える



回転率って、昔の展望レストランみたいに店が回るの?



回るのはお店ではなく、席です。
回転率とは、1日に同じ席が何回使われるかを表す数字です。


立地に合わせて計画を見直す



調査した結果、最初に考えたメニューや物件が合わないこともあります。
- 客層の予算とメニュー価格が合っているか
- 想定したお客様がその地域にいるか
- 滞在時間に対して席数は足りるか
- 見込んだ客数をひとりで対応できるか
合わなければ、メニュー・席数・物件を見直します。



ここで最初の計画に戻るんだね。



はい。
これで、収支計画に必要な客単価・材料原価・席数・家賃・来客比率・回転率がそろいました。


第5章|経費は「固定費」と「変動費」に分ける



家賃も食材費も、店から出ていくお金だよね。
全部まとめて経費に入れればいいんじゃないの?



経費としては同じでも、金額の増え方が違います。
収支計画では、固定費と変動費に分けて考えましょう。
固定費は売上が少なくても発生する
固定費とは、売上にかかわらず、毎月ほぼ決まった金額がかかる経費です。
| 固定費の例 | 金額の決まり方 |
|---|---|
| 家賃・共益費 | 毎月決まった金額 |
| 通信費 | 契約した月額料金 |
| 保険料 | 契約内容で決まる |
| リース料 | 毎月の支払額 |
| 固定給の人件費 | 雇用契約で決まる |



お客様がゼロでも、家賃の請求書は遠慮してくれません。
固定費が大きいほど、毎月必要な売上も増えます。
変動費は売上に合わせて増える
変動費とは、商品が売れるほど増える経費です。
| 変動費の例 | 計算方法 |
|---|---|
| 材料原価 | 売上×原価率 |
| キャッシュレス決済手数料 | 対象売上×手数料率 |
| 販売手数料 | 対象売上×手数料率 |
| 包装資材 | 販売数×1個あたりの費用 |
金額が毎月変わる経費もある



水道光熱費や広告費は、どっちなの?



水道光熱費には基本料金があり、使用量によっても変わります。
広告費や修繕費も、毎月同じとは限りません。
このシミュレーションでは、通常の1か月にかかる金額を見積もって入力しましょう。


利益は売上から2つの経費を引く





固定費を少なく見積もれば、必要な売上を低くできます。
変動費を少なく見積もれば、利益を大きくできます。
しかし、それでは計画を良くしたのではなく、数字を良く見せただけです。



見積書や料金表を確認し、わかる範囲で現実に近い金額を入れましょう。
これで、収支予測シミュレーションへ入力する数字がそろいました。
第6章|収支予測シミュレーションで計画を確かめよう



メニュー、物件、立地から数字を集めたけど、これを全部自分で計算するの?



計算は、無料の収支予測シミュレーションに任せましょう。
集めた数字を順番に入力すると、1か月の売上・経費・利益が計算されます。
最後にグラフを見れば、現在の計画にどのくらい余裕があるのか確認できます。


メニューの価格と原価率を入力する
最初に、考えたメニューを入力します。
- 商品名
- 販売価格
- 原価率
販売価格から売上が作られ、原価率から材料原価が計算されます。



材料原価は、商品が売れるほど増える変動費です。
原価率が高くなると、売上が増えても利益が残りにくくなります。
物件と営業条件を入力する
次に、物件探しで確認した数字を入力します。
- 家賃・共益費
- 人件費
- その他の固定費
- 席数
- 回転率
- 営業時間
- 営業日数
家賃や固定人件費は、売上が少なくても毎月発生する固定費です。
席数・回転率・営業日数は、月間売上の計算に使われます。





回転率を高くすれば、売上も簡単に増やせるね。



Excelの売上は増えますが、実際のお客様は増えません。
立地調査や近隣店の状況から、現実に見込める回転率を入力してください。
お客様A・B・Cの注文と来客比率を入力する
想定する3つのお客様について、注文するメニューを設定します。
たとえば、次のように考えます。
- お客様A:食事とドリンク
- お客様B:カフェ利用
- お客様C:焼き菓子の購入
メニュー番号を入力すると、それぞれのお会計額と原価率が計算されます。
続いて、3つのお客様の来客比率を合計100%で入力します。
| お客様 | 客単価 | 来客比率 |
|---|---|---|
| A | 1,500円 | 50% |
| B | 1,200円 | 30% |
| C | 900円 | 20% |
平均客単価は、単純に3で割りません。
来店する割合が高いお客様ほど、平均客単価と平均原価率へ強く反映されます。
売上・経費・利益を確認する
入力した数字から、通常の1か月の収支が表示されます。
- 月間売上
- 月間経費
- 月間利益
- 利益率



利益がプラスなら、計画は完成だね!



まだです。
黒字でも、売上と経費の差が小さければ、少し売上が下がるだけで赤字になります。
最後に、損益分岐点グラフを確認しましょう。
損益分岐点グラフの見方


グラフは、右へ進むほど売上が増え、上へ進むほど金額が大きくなります。
まずは、3本の線を確認します。


売上高の線
商品が売れるほど、右上へ伸びる線です。
グラフの右端が、入力した客単価・席数・回転率・営業日数から計算した予測売上です。
固定費の線
家賃や固定人件費など、売上が増減しても金額がほとんど変わらない経費です。
売上がゼロでも発生するため、固定費の線はゼロから始まりません。
総費用の線
固定費と変動費を合計した金額です。
総費用の線は固定費の金額から始まり、売上が増えるほど材料原価などの変動費が加わって右上へ伸びます。
売上高と総費用が交わる場所を見る





確認するのは、予測売上が交点を超えているかだけではありません。
損益分岐点と予測売上の間に、どのくらい余裕があるかを見てください。
交点を少し超えただけでは、客数の減少や材料費の値上がりで、すぐに赤字へ戻ってしまいます。



グラフを見ると、どの数字が計画を苦しくしているのかもわかります。
- 固定費が高いなら、物件や人件費を見直す
- 変動費が高いなら、メニューや材料原価を見直す
- 売上が足りないなら、客単価・席数・回転率を見直す
グラフは、赤字か黒字かを見るだけのものではありません。
メニュー・物件・立地のどこへ戻るべきかを確認するためのものです。


まとめ|3つの準備を一つの収支計画につなげよう



収支計画は、未来の売上を当てるものではありません。
メニュー開発・物件探し・立地と商圏分析から集めた数字を組み合わせて、お店が成り立つか確認するものです。



計算結果が悪くても、失敗ではありません。
開業前に、計画の無理を発見できたということです。
数字を都合よく書き換えず、メニュー・物件・立地のどこに戻るべきかを確認してください。
- メニュー開発から、客単価と材料原価を出す
- 物件探しから、席数・家賃・固定費を出す
- 立地と商圏分析から、来客比率と回転率を出す
- 経費を固定費と変動費に分ける
- シミュレーションで月間売上・経費・利益を確認する
- グラフで損益分岐点と予測売上の距離を確認する
- 無理があれば、3つの開業準備へ戻る



Excelの中だけでお客様を増やして、黒字にしても意味がないんだね。
まずはメニューの価格と原価、席数、家賃から入力してみるよ!
無料Excelで収支計画を作ってみよう
無料の収支予測シミュレーションでは、メニュー・物件・立地から集めた数字を入力するだけで、通常の1か月の売上・経費・利益を確認できます。
最初から、すべての数字が決まっていなくても構いません。
まずは仮の数字を入力し、調査や見積もりが進んだら実際の金額へ置き換えてください。



