従業員を雇わないで個人経営を目指してるんだけどさ、どんな物件を選べばいいの?
ワンオペでも効率よく運営できる物件のポイントってなにかあるの?
そもそも家賃ってどのくらいが適正なの?
一人で飲食店を開業するのは夢でもありますが、不安もつきものですよね。
特に「物件選び」は、今後の経営に大きな影響を与えます。
「自分一人で切り盛りできるか?」や「コストを抑えられるか?」といった疑問に悩んでいる方は多いでしょう。
- 優良な店舗物件の探し方を理解できます。
- あなたのお店にあった理想的な家賃がわかります。
- 物件の家賃相場の見極め方が理解できます。
- 世間的には不利とされている物件でも弱みを強みに変える戦術が理解できます。
ワンオペで効率的に切り盛りするためには、無駄を排除し、少ない労力で最大の成果を上げる物件が必要です。特に、一人で回せる動線や、すぐに開業できる居抜き物件を中心に考えるとよいでしょう。
物件探しの基礎知識。物件の大前提を理解しよう
まずは物件についての大前提について解説します。
アナタの街でもしょっちゅう新規オープンしたが、気がついたら空きテナントで新規オーナー募集しているビルの光景を見たことありますよね。
このような地雷物件も多く存在します。
そもそも希望条件通りの物件は見つからないです。
そこで大切なのは、物件や立地の条件に合わせてお店の運営計画を合わせて修正することが大切になります。
物件さがしは基本的に条件を妥協しながら6ヶ月程度期間を掛けるのが一般的と言われています。
物件選びのキーポイント
- 変更困難な決定:
- 店舗の立地や物件は、一度決めると変更が難しく、コストもかかります。
- 家主の意向が重要:
- どんなに魅力的な計画でも、家主が拒否すれば物件は借りられません。物件探しは家主の意向に依存する競争です。
- 良い物件は希少:
- 優れた物件は稀で、特に大手企業との競争が激しいです。
- 価値ある物件は選ばれる者に限られる:
- 「良い物件」は家主にとって有利な条件で貸し出されるため、小規模事業者には厳しい選択です。
- 経営上の挑戦:
- 立地が良い物件は家賃が高く、売上の限界から経営は圧迫されます。
- 最適な立地の重要性:
- コンセプトに合った物件こそが、実際には最適な立地です。
- 地域への理解:
- 特に小規模店舗には、出店地域への理解が成功の鍵です。
- 立地と物件の重要性:
- それでも、人通りや地域のイメージ、人口動態などは非常に重要です。
こんなに注意事項があるのか…
物件の立地条件でコンセプトが変わってしまう可能性もあるからできるだけ早く物件を確保することが重要なんだね。
立地についてはこちらでも解説しています。
忘れちゃいけない駐車場問題もあるよね!
個人経営向け物件の3つのポイント
ワンオペでお店を経営するにはどんな物件が最適なの?
ワンオペでお店を切り盛りするには、いくつか重要なポイントがあります。以下の要素を押さえて物件を選ぶと、効率よく経営できます。
個人経営向け物件の3つのポイント
- 動線の効率化
- 一人で接客から調理、片付けまでを行うには、店舗内の動線が非常に重要だよ。例えば、カウンター席がある小規模な店舗だと、お客さんに料理を提供しながら、調理や片付けをスムーズに行える。厨房が客席から近いことも、無駄な動きを減らすコツ
- 広すぎない小規模な店舗
- 一人での運営なら、店全体がコンパクトで、移動距離が短い方が効率的。8~10坪くらいの規模が理想で、席数も18席前後が適切です。
- 住宅街など地域密着型の立地
- 繁華街も良いけど、ワンオペでやるならのような落ち着いた場所もおすすめです。
地元のリピーターや一人客を狙うことで、無理のない範囲で安定した営業ができ、地域密着型の小さなニーズに応えられるのがワンオペ店の強み。
- 繁華街も良いけど、ワンオペでやるならのような落ち着いた場所もおすすめです。
1.動線の効率化
動線の効率化ってつまりどういうこと?
動線の効率化というのは、スタッフの移動を最小限にして、作業をスムーズに進められるようにすることなんだよ。
特にワンオペのように一人でお店を切り盛りする場合、作業効率がとても重要だからね。
例えば、調理場とお客さんの席、特にカウンターが近いと、料理を作りながらすぐにお客さんに提供できる。カウンター越しに注文を受けたり、料理を出すだけで済むから、歩き回る必要がないんだよ。
動線効率化の具体例
- カウンター中心のレイアウト
- 調理をしながらその場でお客さんに料理を提供できる。
- 厨房設備の配置
- 冷蔵庫や調理器具、洗い場などの配置を工夫して、一度に複数の作業がこなせるようにする。
例えば、調理しながらすぐ隣で仕込みや片付けも進められるように厨房機器はできるだけコンパクトにしましょう。
- 冷蔵庫や調理器具、洗い場などの配置を工夫して、一度に複数の作業がこなせるようにする。
- 物の配置を最適化
- よく使う食材や道具は手の届く範囲に置いておくことで、移動の手間を省ける。
※トヨタ式「カイゼン」を参考に無駄を徹底的に減らしましょう。
- よく使う食材や道具は手の届く範囲に置いておくことで、移動の手間を省ける。
効率的な動線を意識すれば、一人でも無理なくお店を回せるようになります。
POSレジを導入することでカウンターの中からシームレスにお会計も可能で作業の手を止めること無くお店を回すことができます。
2.広すぎない小規模な店舗
一般的に、飲食店のワンオペ経営で理想とされる店舗の広さは8〜10坪ほどです。
このくらいの広さなら、1人でも効率よく調理・接客ができるます。
具体的に言うと、席数は12〜18席程度が目安になります。
広すぎるとお客さんの数が増えて一人で対応しきれなくなる可能性があり、逆に狭すぎると、厨房やお客さんの動線が悪くなって、効率が下がってしまいます。
10〜15坪くらいなら、調理スペースと客席のバランスが良く、少ない席数でも回転率を上げて収益を出すことができます。
10坪くらいのお店についはこちらで詳しく解説しています。
3. 住宅街など地域密着型の立地
なんで繁華街よりも住宅街のほうがおすすめなの?
住宅街だと、近隣に住んでいる常連客がつきやすく、一人や家族でゆっくり食事をするお客さんが多い傾向があります。繁華街では団体客や一見さんが多く、忙しさから対応が難しくなることもありますが、住宅街ではよりリラックスした環境で、降車駅からの2軒目利用としての一人客など、ゆったりとした営業が可能です。
このため、ワンオペでの営業に向いていると言えます。
加えて、住宅街の飲食店は競合が少ないことも多く、特にスキマ需要が狙えます。
地域の人々が「ここにちょうどいいお店があって良かった」って思ってくれるような立地だと、集客も安定しやすいです。
あなたのお店の理想の家賃は?
立地や階層やらで同じ広さの物件でも家賃って全然違うよね。
ボクの店の規模の場合はいくらくらいの家賃がいいんだろう?
開業計画書で策定した売上額を基準に理想の家賃を算出しましょう
理想の家賃は売上の10%以内におさえる。
これが基本になります。
飲食店にとって家賃は経費の大部分を占めるので、売上が不振のときでも固定して払わないといけないのでできるだけ家賃が低い物件を選びましょう。
取得後の開店までの工事期間にも家賃は発生するため注意が必要です。
スケルトン物件で4ヶ月分、居抜き物件でも2ヶ月分は空家賃として予算にいれておきましょう。
理想家賃の例
サンプルカフェ本店を参考に計算してみます。
- 坪数:20坪
- 1坪あたりの席数:1.4席(1.3〜1.5席の平均)
- 満席率:60%
- 営業時間:8時間
- 平均滞在時間:1時間
- 客単価:500円
売上高=坪数✕坪当たり席数✕満席率✕可能客席稼働回数✕客単価
で計算すると1日の売上高:約67,200円です。
昔から飲食店の家賃は3日の売上で払える範囲を目安にしろといわれています。
なので、1日の売上高から単純計算すると
理想の家賃は約20万円と導き出せます。
あ、うん。売上の3日分が目安ね…OK。わかった。
その地域の家賃の相場を調べよう。
駅チカでいくら、路面店だからいくら。って言われてもオトクなのかどうかわからないよ!ましてや知らない地域だとなおさらわからないよ!
その地域の家賃の相場を調べておきましょう。
家賃の金額は、その地域の1坪(3.3平方メートル)あたりの相場に契約面積を掛けたものを基準にして考えるとよいでしょう。
コスパが悪そうに見えた物件でも、坪単価で見ればオトクな場合もあります。
特に、路面店や駅チカなどの好条件が付加される場合は、坪単価で比較するとよいでしょう。
家賃のほかにも共同スペースの管理費である共益費や看板などを利用する場合は看板使用料なども月額でかかってきますので注意してください。
物件の内見でチェックするべきポイント
いよいよ、目星がついた物件を見つけて内見に行きます。
実際に希望の物件を内見する場合に失敗しないためにチェックするべくポイントは有るんですか?
居住目的の物件とは違い飲食店舗は機能や設備の確認が重要です。
その必要な設備を専門家に依頼して確認してもらわないと、内装工事の際に電気容量が足りなかったり目標の席数にならない。投資額が予算をオーバーしてしまうなどトラブルにつながる可能性があります。
さらに内見と合わせて物件の周りのチェックもおこないましょう。
・店舗周辺の環境(事業所・住宅。商業施設・駅など)
・店舗周辺の人の流れ
・店舗へのアクセス(来店経路)
・近隣競合店の状況
これらの項目をチェックしておきましょう。
契約前に必ず確認すべき10のポイント
ここでは投資額の算出と収支予測を行い申込みをするか判断をしなければなりません。そこで重要になってくるのがPART2で解説した開業計画書が活きてきます。
条件が合えば申し込みを行いますが、さいごに確認する事項があります。
基本的な契約条項 | 付帯的契約事項 |
---|---|
物件面積・賃料・保証金など | これから行う内装外装工事、営業上の条件など |
不動産業界では独特の慣習などもありますので注意してください。
不動産業界での独特な習慣や用語
- 申込金(もうしこみきん)
- 物件を借りたいと申し出る際に支払う金銭です。この金額は通常、契約成立時に敷金や礼金の一部として充当されます。ただし、申し込みを撤回した場合は返金されないことが多いです。
- 手付金(てつけきん)
- 契約を結ぶ際に支払う金額で、契約の意思を固めるための保証として機能します。通常、契約成立後は敷金や賃料の一部として充当されますが、契約を破棄した場合には返金されないことが一般的です。
- 敷金(しききん)/保証金
- 物件を借りる際に、家主に対して支払う保証金。家賃の未払いや物件の損害に備えるために用いられます。飲食店の場合、通常の住宅よりも高額に設定されることが多いです。
- 礼金(れいきん)
- 物件を借りる際に家主へ支払うお礼の金銭。全額非返金で、地域や物件によって異なります。
- 坪単価(つぼたんか)
- 賃貸物件の家賃を坪(約3.3平方メートル)あたりの価格で表したもの。飲食店などの商業施設では、この単価で家賃が計算されることが多いです。
- 賃貸借契約(ちんたいしゃくけいやく)
- 賃貸人(大家)と借主(テナント)間で結ばれる契約。契約期間、家賃、敷金・礼金の額、修繕責任などが定められます。
- 優先交渉権
- 物件が空く際に、現テナントや特定の候補者が他の希望者よりも優先して交渉できる権利。特に人気のエリアでは重要な要素です。
- テナントミックス
- 物件オーナーが意図的に異なる業種のテナントを配置すること。商業施設や複合ビルでは、来訪者に多様な魅力を提供するために重要視されます。
- 出店ロイヤリティ
- 物件の利用に伴う、家主への追加料金や契約上の特典。特に商業施設内での出店時によく見られます。
- リースバック
- ビルや店舗を購入し、その後、以前の所有者に賃貸すること。資金調達や税務上の利点を得るために利用されることがあります。
保証金が高すぎる!そんな時は
気に入った物件があったんだけど保証金が高すぎる!
どうしても借りたいから融資でまかなうつもりだけど
他の物件を探したほうがいいかな?
開店する際に、保証金と家賃のどちらを重視するかは資金繰りで需要な判断になります。以下は、どちらを抑えるべきかについての考え方を示しています。
保証金と家賃、どちらを抑えるべきか
- 資金がある場合
- 保証金が高くても家賃が低い物件を選ぶと、開店後の定期的な支出を抑えることが可能です。
- 資金が限られている場合
- 高い保証金よりも、保証金を低く抑えるべきです。
- 家賃を増やして保証金を減額してもらう交渉を検討する。
- 保証金を借り入れる際の注意
- 保証金を借りると、家賃と保証金の両方に金利が発生します。
- 家賃にはもともと金利が考慮されており、保証金を借り入れることは、ダブルで金利を支払うことになるため、慎重に検討する必要があります。
居抜き物件は初期費用をおさえる強い味方
居抜き物件は、前のテナントが使っていた内装や設備がそのまま残っている物件のことです。
これを活用すれば、新しい内装工事や設備の購入を最小限に抑えられて、初期費用がグッと抑えられます。
特に、厨房設備がすでに整っている飲食店の居抜き物件なら、大幅にコストを削減できます。
まとめ
物件探しは本当に慎重にしなければなりませんね。
物件探しはある程度失敗すること前提で計画を立てることが重要ですね。開業計画書でしっかり失敗してもなんとかなるところと絶対ゆずれないところを明確にしておきましょう。
良い物件と出会ったとしても資本やノウハウが無い新規開業者はよく思われない場合が多いです。
できるだけ早く事業計画書を完成させて創業融資を得ることが重要です。
そのため物件探しと資金調達は同時進行で行う必要があります。
しかし、物件に目処がつかなければ事業計画書も完成ができませんで、物件が次の人に決まってしまう前に融資がすぐにおりるようにコンサルにお願いするのも一つの方法です。
行政書士などは許認可の他に事業計画書のサポート一緒にやっていることが多いので相談してみるのもよいです。