「飲食店経営で利益率を上げるには、何を優先的に改善すれば良いの?」
「どのメニューが売上に貢献しているのか判断しづらい…」
「経営分析をしたいけど、複雑なデータの扱いに苦手意識がある。
飲食店の経営には、多くの要素が絡んでおり、利益率や効率を上げるのは一筋縄ではいきません。
特に多様なメニューを扱う店舗の場合、どの商品が売上や利益に貢献しているのかを明確にするのが難しいのではないでしょうか。
こうした悩みを抱える読者にとって、ABC分析は頼もしい味方になります。
- 「ABC分析」を通じて、自店舗の売れ筋・死筋商品の把握方法がわかる
- どのメニューに力を入れるべきか、明確に理解できる
- 分析結果をもとに、効率的な経営改善策を立てるポイントがつかめる
ABC分析は、売上データに基づいて商品をランク分けし、効率的な経営を実現するための手法です。
Aランクは売上の主要な商品、Bランクは中堅商品、Cランクは利益が少ない商品として位置付けられ、効率的なメニュー管理が可能になります。
ABC分析とは?〜基本から解説〜
今夜もお勉強彼女とABC!
ってABCってナニすんのさ!
懐かしいですね。
ツッパリハイスクールロックンロール(試験編)
ABC分析は、どの商品が売上や利益にどれだけ貢献しているかを分けて管理するための方法です。
売れ筋商品を効率よく管理するために使います。
ABC分析のメリット
- 商品管理:
- 各メニューがどれだけ売れているのか、また利益にどれほど貢献しているかを視覚化できる。
- 改善施策の立案:
- 売れ筋と死筋を明確にすることで、どのメニューにリソースを割くかを判断しやすくなる。
- メニュー入れ替えの基準:
- 人気のないメニューを削除し、新しいメニューを導入する際の基準として活用できる。
ABC分析でわかること=メニュー開発や改善の方向性が見えてくる
なるほどね。事業計画で作成したメニューを見直しに使えるってことね?でも実際にはどうやって使えばいいの?
以下のように手順になります。
ABC分析の手順
- 商品開発の方向性を決める
- 売れ筋商品の分析:Aランクの商品がなぜ売れるのか、その理由を探ることで、新しいメニューの開発に活かせる。たとえば、人気のソースやトッピングを他のメニューに応用することも可能。
- 不人気商品の見直し:Cランクのメニューは、原価や味、提供方法などを見直すきっかけになる。改善して再投入するか、メニューから外すかの判断がしやすくなる。
- 価格設定やメニューの見せ方を最適化する
- 価格設定の調整:売れ筋だけれど利益率が低いメニューには、コストを抑えたり、価格を上げるなどの調整が考えられる。
- メニューの見せ方:売れ筋メニューをメニュー表の目立つ位置に配置し、写真や説明で魅力を引き出す。また、集客メニューはセットやキャンペーンの中心として、目を引くようにする。
- 販促や提供方法の改善
- 販促施策の強化:Aランク商品は、SNSやチラシなどでプロモーションを行い、さらなる売上拡大を図る。
- 提供方法の工夫:Bランクの商品は提供方法を変えるだけで売上が上がることもある。テーブルサービスや盛り付けを工夫し、注文の増加を狙う。
Aランク?Cランク?なにそれ?
メニューをABCランクに分けるとき、販売個数、販売額、利益額の3つの基準でそれぞれランクを付けていきます。
具体的には、次のようにランク分けになります。
3つのランク分け基準
- 販売個数ランク:
- どれだけ多く売れているかを基準に、売れ筋のメニューがAランク、そこそこのがBランク、売れていないものがCランクになる。
- 販売額ランク:
- どれだけ売上に貢献しているかで判断。高い売上を誇るメニューがAランク、中程度がBランク、低いものがCランクだ。
- 利益額ランク:
- 利益がどれだけ出ているかでランク付けする。利益率が高いものがAランク、そこそこのがBランク、利益が少ないものがCランクになる。
そして、それぞれのランクの組合せで以下のようなタイプに分けることができます。
ランク分けの仕方と商品タイプ
販売個数ランク | 販売額ランク | 利益額ランク | 商品タイプ | 施策 |
---|---|---|---|---|
A | A | A | 主力メニュー | 人気の理由を分析して、類似商品を開発する |
A | B以下 | B以下 | 集客メニュー | 集客力はあるが利益率が低いため、価格調整 |
B以下 | A | A | 利益重視メニュー | 利益が高いので、目立つ位置に配置する |
B | B | B | 隠れ人気メニュー | 安定した人気があるため、プロモーション強化 |
C | C | C | 改良検討メニュー | 改善が難しい場合は削除も検討する |
こうして3つのランクを付けると、メニューの特性に応じた商品タイプが見えてきます。
それぞれの組み合わせでメニューをどう活用すべきかが分かるんです。
ABC分析の手順〜Excelテンプレートで簡単に実施しよう〜
このランク付けってどうやってやればいいの?
大丈夫です。エクセルを使えば簡単にABC分析を実施できます。
このようにお店の一ヶ月のデータを元に
商品名・単価・販売個数・原価を入力するだけで結果が自動的に計算してくれます。
全部、自動的に計算してくれるなんて最高だね!
ABC分析シートのエクセルファイルを用意しました!
ダウンロードは↓からできます。
原価計算につきましてはコチラの記事で詳しく解説しています。
主力メニュー
主力メニューって、どんな特徴があるの?
主力メニューは、販売個数・販売額・利益額のすべてがAランクの商品です。
具体例としては焼肉店の「和牛カルビ」のような安定した人気でリピート率も高いまさに主力となります。
そうですね、和牛の柔らかな食感や風味が支持され、売上と利益を支える柱となっているなど、売れる理由を深掘りすることで、似たメニューを追加したり、他のメニューの改善に役立てることもできます。
- メニューの強化:
- 人気の理由を分析して、味や見た目、提供方法をさらに工夫して価値を高めましょう。
- 類似メニューの開発:
- たとえば人気のソースを使った新しいメニューを試して、ファン層を広げるのも良いですよ。
- プロモーション強化:
- このメニューをSNSやポスターで積極的にアピールして、リピーターを増やします。
集客メニュー(キラーメニュー)
集客メニューって、どういう役割があるの?
例えば、こぼれるイクラ丼のような利益度外視の集客メニューは、お客さんを呼び込む効果があるけれど、売上や利益はそこまで大きくない商品です。
販売個数はAランクだけれど、利益率は低めです。
たくさん注文されるので、お店の賑わいを演出するには効果的です。
ただし、コストがかかる場合があるので調整が必要ですね。
- コスト削減と価格調整:
- 原価を見直して、利益率を少しでも上げられるよう工夫しましょう。
- セットメニューやキャンペーンの活用:
- 集客効果があるため、他のメニューとセットにして注文数を増やす方法も効果的です。
利益重視メニュー
利益重視メニューって、少しわかりにくいな~…
どういう意味なんの?
これはね、注文頻度はそれほど高くないけれど、利益率が高いメニューのことです。
具体的には居酒屋の「天ぷら盛り合わせ」のような手軽な調理で高利益を出しやすいので、利益重視の商品として推奨されます。
プロモーションで目に留まるようにし、特別感を出して注文を増やす工夫をするなどリピーター向けやイベント時にアピールするのも効果的です。
- リピーター向けプロモーション:
- 常連さんや特別な機会におすすめして、売上を安定させる。
- 目立つ位置に配置:
- メニュー表の目につきやすい場所に配置して、少しでも注文頻度を増やしましょう。
隠れ人気メニュー
隠れ人気メニューって、どうやって分かるの?
販売個数・販売額・利益額がすべてBランクのメニューがこれにあたります。
例えばラーメン屋さんで提供されるチャーシュー丼などのサイドメニューが当たることが多く、一見地味だけれど、安定して注文されるメニューなのです。
こういうメニューは、プロモーションを少し強化すると人気が伸びる可能性があります。
- プロモーション強化:
- SNSや口コミを活用して、少しずつ認知度を上げていきましょう。
- 改善と魅力付け:
- 商品の説明文を工夫して、思わず注文したくなるようにしてみてください。
改良検討メニュー
最後に、改良検討メニューっていうのは、要するに人気がないメニューってこと?
販売個数・販売額・利益額のすべてがCランクの商品だよ。
こうした商品は見直しが必要なんだ。
カフェの「アサイーボウル」など原価が高めで注文数が少ないメニューは期間限定にするなどテコ入れが有効だったりもしますね。
改善する価値がなければ、思い切って削除することも検討すべきですね。
- 削除も視野に入れる:
- もし改善が難しい場合は、他のメニューと入れ替えて新しい商品を試してみると良いでしょう。
- 改良や新メニューの導入:
- 味や見せ方を改善して、新しい魅力を加えてみましょう。
まとめ
ABC分析は、飲食店のメニューを「売上や利益への貢献度」でランク付けし、効率的な商品管理を行うための方法です。
メニューを販売個数、販売額、利益額の3つの基準で評価し、各基準ごとにA、B、Cランクに分けることで、主力メニュー、集客メニュー、利益重視メニュー、隠れ人気メニュー、改良検討メニューといった5つのタイプに分類します。
この分類により、メニューの特性に合わせた改善・プロモーション施策を計画しやすくなります。
例えば、主力メニュー(例:焼肉店の和牛カルビ)は、さらに価値を高める工夫を加え、看板メニューとして強化します。
集客メニュー(例:イタリアンカフェのマルゲリータピザ)は、セット販売で利益率を高める工夫が有効です。
また、利益重視メニューは高利益率を活かし、隠れ人気メニューは認知度を上げるプロモーションを行います。
最後に、改良検討メニューについては需要に応じて改善や削除を検討します。
ABC分析を活用することで、店舗の売上・利益を支えるメニューの特性に応じた運営が可能になるのね!
お店が落ち着いてきたらメニューを強化しよう!