甲斐承太郎26ページの事業計画書が、やっと完成したよ!
……えっ、融資には創業計画書も必要なの?
また最初から作るの?ボクの計画、いつ開業するんだよ!



最初から作り直す必要はありません。
詳しい事業計画書から、融資に必要な情報を抜き出して、公庫の創業計画書へ短くまとめます。
- 事業計画書と創業計画書の違い
- 事業計画書から必要な情報を抜き出す方法
- 書ききれない根拠を補足資料で伝える方法



事業計画書が詳しい設計図、創業計画書が融資用の要約版。
「こむぎ」の26ページから必要な情報を抜き出し、公庫の各欄へ記入する。
商圏分析や5年間の収支計画は、補足資料として添付すればよい。




第1章|事業計画書と創業計画書は何が違う?





名前が似すぎて、まだ違いがよく分からないよ。
事業計画書は店を始めるための計画で、創業計画書は創業するための計画?
ほとんど同じ意味に聞こえるんだけど。



書かれている内容はよく似ています。
違うのは、主な目的と情報量です。
事業計画書では、自分がどのような店を作り、どうやって利益を残していくのかを詳しく整理します。
一方、日本政策金融公庫の創業計画書は、融資の判断に必要な情報を所定の書式へまとめるものです。
事業計画書と創業計画書の違い
| 項目 | 事業計画書 | 創業計画書 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 店の計画を具体化する | 融資担当者へ事業内容を伝える |
| 書式 | 自由 | 公庫などの所定書式 |
| 情報量 | 詳しい | 要点を短くまとめる |
| 主な内容 | コンセプト、商品、商圏、売上、収支、リスクなど | 動機、経歴、商品、資金、事業の見通しなど |
| 主な使い方 | 開業準備や経営判断に使う | 融資の申込みに使う |
同じ計画を短くまとめる
「こむぎ」の事業計画書には、次の内容が26ページにまとめられています。
- 朝8時から営業する10席のワンオペカフェ
- ホットサンドと焼き菓子の商品計画
- 商圏・競合調査から考えた1日22人の来店予測
- 自己資金300万円と借入500万円の資金計画
- 生活費と借入返済を含めた5年間の資金繰り
これらを、創業計画書の小さな記入欄へすべて書くことはできません。
そこで、融資担当者に最初に確認してほしい結論を創業計画書へ記入し、その根拠を事業計画書で補います。
2つの書類の関係





創業計画書だけに、すべてを詰め込む必要はない。
創業計画書には結論を書く。
「なぜ1日22人を見込めるのか」「なぜ500万円を返済できるのか」という根拠は、補足資料で見せる。
ただし、創業計画書と事業計画書で、売上や必要資金の数字が違ってはいけない。



新しい計画をもう一つ作るんじゃなくて、完成した計画を融資担当者が読みやすい形にまとめ直すんだね!
第2章|「創業の動機」には何を書けばいい?





創業の動機なら簡単だよ。
「昔から自分のカフェを持つのが夢でした。絶対に成功させます!」
熱意は満タン。これで十分だよね?



気持ちは伝わりますが、それだけでは「なぜ承太郎さんが、その店を開けるのか」が分かりません。
創業の動機には、これまでの経験、地域で見つけた需要、開きたい店の形をつなげて書きます。
「こむぎ」の創業動機を整理する
| 整理する内容 | 「こむぎ」の計画 |
|---|---|
| これまでの経験 | カフェで6年間勤務し、うち3年間は店長を経験 |
| 経験から学んだこと | 料理だけでなく、ひとりでも落ち着ける空間が再来店につながる |
| 地域で見つけた需要 | 菊水には夜に働く人や病院関係者、通院・見舞いで訪れる人がいる |
| 開きたい店 | 朝8時から温かい朝食とコーヒーを提供する10席のカフェ |
| 売上を補う方法 | 焼き菓子、通販、朝のデリバリーを段階的に育てる |
創業計画書への記入例
カフェで6年間勤務し、うち3年間は店長として仕込み、発注、接客、売上管理を経験しました。その経験から、料理だけでなく、ひとりでも落ち着ける空間が再来店につながることを学びました。菊水で、夜勤明けの方や近隣住民が朝から温かい食事とコーヒーを楽しめる10席のカフェを開業します。
- 店長として店舗運営にも関わっている
- 地域の需要を考えて店を計画している
- 飲食店で働いた経験がある
- 開業する店の姿が具体的に決まっている
詳しいコンセプトは補足資料で見せる



創業計画書の欄へ、焼き菓子ギフトやデリバリー、病院周辺の需要まで詰め込むと、店の中心が分かりにくくなります。創業計画書では「朝から利用できる10席のカフェ」を主軸にします。
| 創業計画書に書く | 補足資料で見せる |
|---|---|
| カフェでの勤務経験 | 詳しい職歴と担当業務 |
| 菊水で開業する理由 | 商圏や周辺施設の調査 |
| 朝8時から営業するカフェ | 店内の空間と商品の構成 |
| 店内飲食を中心にする | 焼き菓子、通販、デリバリーの計画 |



「夢だったから」だけでは、事業を実行できる根拠にならない。
経験したこと、地域で見つけた需要、開業する店を一つの流れにする。
焼き菓子や通販まで詳しく説明する必要はない。創業計画書では店の主軸を伝え、細かな売上の柱は補足資料へ回す。



熱意だけを叫ぶ欄じゃないんだね。
ボクが店を開く理由と、実際に開ける根拠を一緒に書けばいいのか!
第3章|「経営者の略歴等」で開業できる根拠を示す





次は経営者の略歴か。
学校を卒業して、会社に入って、転職して……履歴書をそのまま写せばいいの?



経歴は年月順に書きますが、勤務先の名前だけでは不十分です。
融資担当者が確認したいのは、今回の事業に役立つ経験を積んでいるかどうかです。
飲食店なら、調理や接客だけでなく、仕入れ、発注、売上管理などの経験も重要になります。
「こむぎ」の経歴を整理する
| 経験・資格 | 開業に活かせること |
|---|---|
| カフェで6年間勤務 | 飲食店の基本的な営業を理解している |
| うち3年間は店長 | 店舗運営を任された経験がある |
| 仕込み・接客・会計 | ワンオペ営業に必要な業務を経験している |
| 発注・売上日報の管理 | 商品と数字を管理した経験がある |
| ドリンクを担当 | コーヒーやアルコールを提供できる |
| 食品衛生責任者 | 飲食店営業に必要な準備を進めている |
| 簿記3級 | 売上や経費を管理する基礎知識がある |
創業計画書への記入例
| 年月 | 内容 |
|---|---|
| 20XX年X月 | 株式会社〇〇入社。カフェ店舗で調理、仕込み、接客、会計を担当 |
| 20XX年X月 | 同店の店長に就任。発注、売上日報、在庫、スタッフ管理を担当 |
| 20XX年X月 | 同社退職予定。「ホットサンドと焼き菓子 こむぎ」を開業予定 |
| 取得年月 | 資格 |
|---|---|
| 20XX年X月 | 食品衛生責任者 |
| 20XX年X月 | 日商簿記3級 |
詳しい担当業務は補足資料へ
| 創業計画書に書く | 補足資料で見せる |
|---|---|
| カフェ勤務6年 | 調理・接客・会計の経験 |
| 店長経験3年 | 発注・売上管理・在庫管理 |
| 食品衛生責任者 | 許認可の準備状況 |
| 簿記3級 | 収支を管理する基礎知識 |



勤務先の名前だけでは、何ができる人なのか分からない。
「カフェで働いた」ではなく、調理、接客、発注、売上管理まで書く。
ワンオペで開業するなら、ひとりで店を回せる経験があることを経歴から示す。



経歴を立派に見せるんじゃなくて、これまでの仕事が「こむぎ」の営業にどうつながるかを見せるんだね!
第4章|「取扱商品・サービス」に店の強みをまとめる





商品なら、メニュー表を全部載せればいいよね。
ホットサンド、コーヒー、スムージー、焼き菓子、お酒……全部書いたら欄が足りないよ!



創業計画書へ全メニューを書く必要はありません。
この欄では、主力商品、店の強み、販売する相手、周辺の市場環境を簡潔に伝えます。
詳しいメニューや商圏分析は、事業計画書へ残しておきましょう。
取扱商品・サービスの内容
| 販売方法 | 主な商品 | 価格 |
|---|---|---|
| 店内飲食 | ホットサンド | 750〜880円 |
| 店内飲食 | ランチセット | 1,200円 |
| デリバリー | 朝ごはんセット | 平均1,450円 |
| ネット通販 | 快気祝い焼き菓子12個入り | 3,200円 |
創業計画書への記入例
朝8時から、ホットサンド、コーヒー、ランチセットを提供します。午後は焼き菓子とドリンクを中心に販売します。店内飲食を主軸とし、朝のデリバリーと焼き菓子のネット通販にも同じ厨房を活用します。
セールスポイント
| 「こむぎ」の特徴 | お客様にとっての価値 |
|---|---|
| 朝8時から営業 | 夜勤明けや出勤前でも温かい朝食を取れる |
| ひとりで落ち着ける10席 | 一人客でも入りやすく、ゆっくり過ごせる |
| 店内で焼き菓子を製造 | カフェ利用だけでなく、手土産にも使える |
| 店内・通販・デリバリーに対応 | 来店以外の方法でも商品を購入できる |
創業計画書への記入例
朝8時から温かい朝食を提供し、夜勤明けや出勤前の利用に対応します。10席の小さな店内は、ひとりでも落ち着いて過ごせる空間とします。店内で製造する焼き菓子は、店頭販売と快気祝いの通販にも展開します。
販売ターゲット・販売戦略
| 主な客層 | 来店する場面 |
|---|---|
| すすきので働く20〜30代 | 夜勤後の朝食として利用 |
| 近隣病院の職員 | 昼休みの軽食や持ち帰り |
| 近隣住民・通院・見舞客 | 午後のカフェ利用や焼き菓子の購入 |
創業計画書への記入例
夜勤後に帰宅する方、近隣病院の職員、周辺住民を主な対象とします。朝食、昼の軽食、午後のカフェ利用に対応し、店頭、LINE、SNS、デリバリー、ネットショップを使って来店と購入につなげます。
競合・市場などを取り巻く状況
創業計画書への記入例
店舗は菊水駅から徒歩7分の路面店です。周辺には夜に働く住民、病院職員、通院・見舞客の利用が見込めます。商圏、競合店、店前通行量、類似店の来客数を調査し、通常期は1日22人を見込みます。10席で2.2回転となるため、ワンオペでも対応できる客数です。
| 創業計画書に書く | 補足資料で見せる |
|---|---|
| 主力商品と価格 | 商品写真や詳しいメニュー構成 |
| 朝8時営業と10席の空間 | 店舗コンセプト |
| 主な客層と利用場面 | 客層別の客単価 |
| 1日22人・2.2回転 | 商圏、競合、通行量の調査結果 |
| 焼き菓子通販を行う | 原価、販売手数料、製造可能数 |



創業計画書へ、すべてのメニューと調査結果を載せる必要はない。
主力商品、選ばれる理由、来店する客、1日の予測客数を書く。
「なぜ22人来るのか」という詳しい根拠は、事業計画書の商圏分析で見せる。



創業計画書には店の全体像を短く書いて、細かいメニューや計算は補足資料に任せればいいんだね!


第5章|「取引先」と「従業員」にワンオペ営業の仕組みを書く





取引先って、契約している大企業を書く欄じゃないの?
ボクの店は一般のお客様に売るし、従業員もゼロ。
両方とも「なし」でいいのかな?



一般のお客様へ販売する飲食店でも、販売先と仕入先があります。
また、従業員を雇わない場合は空欄にせず、事業主がひとりで営業することを記載します。
大切なのは、商品を仕入れて販売し、代金を受け取るまでの流れを説明できることです。
販売先と代金の回収方法
| 販売方法 | 販売先 | 売上金が入る時期 |
|---|---|---|
| 店頭の現金払い | 一般のお客様 | 販売した当日 |
| 店頭のキャッシュレス決済 | 一般のお客様 | 決済会社から後日入金 |
| Uber Eats | アプリ利用者 | 売上確定後に入金 |
| ネットショップ | 通販利用者 | 販売サービスから後日入金 |
創業計画書への記入例
| 販売先 | シェア | 回収条件 |
|---|---|---|
| 一般個人客 | 100% | 現金38%、キャッシュレス・ネット62%。現金は即日、その他は数日から2週間後に入金 |
仕入先と支払条件
| 仕入れるもの | 仕入先 | 支払条件 |
|---|---|---|
| パン | 近隣のパン店 | 月末締め・翌月末払い |
| チーズ・製菓材料 | 食材卸業者 | 月末締め・翌月末払い |
| コーヒー豆 | 市内の焙煎所 | 月末締め・翌月末払い |
| 酒類 | 業務用の酒販店 | 月末締め・翌月末払い |
創業計画書への記入例
| 仕入先 | 仕入内容 | 支払条件 |
|---|---|---|
| 〇〇ベーカリー | パン | 月末締め・翌月末払い |
| 〇〇食品 | チーズ・製菓材料 | 月末締め・翌月末払い |
| 〇〇珈琲 | コーヒー豆 | 月末締め・翌月末払い |
従業員がいなくても空欄にしない



「こむぎ」は、開業時に従業員を雇わないワンオペ店舗です。
創業計画書には、従業員数を0人と記載します。
ただし、人数だけでは「本当にひとりで営業できるのか」という疑問が残ります。
そこで補足資料では、事業主が担当する仕事と提供能力を示します。
| 項目 | 「こむぎ」の計画 |
|---|---|
| 営業体制 | 代表者1人 |
| 担当業務 | 調理・接客・会計・焼き菓子製造・発送 |
| 焼き菓子の製造 | 店内利用が落ち着く14時以降 |
| 昼の注文数 | 最も多い時間でも店内4人とデリバリー1件程度 |
| 将来の採用 | ネット注文が増えた段階でパート1名を検討 |
創業計画書への記入例
従業員数:0人(事業主本人のみで営業)
補足資料には、次の説明を加えます。
開業時は代表者が調理、接客、会計を担当します。最も注文が多い12時台でも、店内4人とデリバリー1件程度を見込んでおり、ワンオペで対応できる範囲です。焼き菓子の製造と発送は、店内利用が落ち着く14時以降に行います。
創業計画書と補足資料の分け方
| 創業計画書に書く | 補足資料で見せる |
|---|---|
| 主な販売先 | 現金とキャッシュレスの構成 |
| 主な仕入先 | 商品ごとの仕入先 |
| 回収・支払条件 | 入金が遅れる期間 |
| 従業員0人 | ワンオペの業務分担 |
| 代表者が営業 | 時間帯別の注文数と提供能力 |



販売先が一般客でも、空欄にはしない。
誰に売り、いつ代金を受け取り、いつ仕入代金を支払うのかを書く。
従業員が0人なら、事業主ひとりで対応できる客数と作業時間を補足資料で示す。



「ひとりで頑張ります」だけじゃなくて、注文が集中する時間と、仕込みや発送をする時間まで考えてあることを見せるんだね!


第6章|「お借入の状況」は個人のローンも正直に書く





事業の借入なら、これから公庫に申し込む500万円のことだよね。
住宅ローンや車のローン、奨学金は店と関係ないから、書かなくてもいいのかな?
書いたら融資で不利になりそうだし……。



「お借入の状況」には、事業主個人が現在返済している借入を記載します。
借入があるだけで、直ちに融資を受けられなくなるわけではありません。
重要なのは、借入残高と返済額を正確に把握し、開業後も無理なく返済できる計画になっていることです。
記載する主な借入
| 借入の種類 | 記載する内容 |
|---|---|
| 住宅ローン | 借入先・残高・年間返済額 |
| 車のローン | 借入先・残高・年間返済額 |
| 教育ローン | 借入先・残高・年間返済額 |
| 貸与型奨学金 | 借入先・残高・年間返済額 |
| カードローン | 借入先・残高・年間返済額 |
| リボ払い | 借入先・残高・年間返済額 |
| その他の借入 | 親族・知人からの借入など |
「こむぎ」の借入状況
| 借入の種類 | 残高 | 毎月の返済額 | 完済予定 |
|---|---|---|---|
| 貸与型奨学金 | 40万円 | 1万3,000円 | 2029年 |
| 住宅ローン | なし | ― | ― |
| カードローン・リボ払い | なし | ― | ― |
創業計画書への記入例
| 借入先 | 使いみち | 借入残高 | 年間返済額 |
|---|---|---|---|
| 日本学生支援機構など実際の借入先 | 奨学金 | 40万円 | 15万6,000円 |
個人の借入返済は事業の経費にしない



奨学金の返済は、店の営業に必要な支出ではありません。
そのため、店の損益計算書へ経費として計上するのではなく、事業主の生活費から支払います。
「こむぎ」の資金計画では、事業主の生活費を1・2年目は年間300万円としています。
この生活費の中から、奨学金を毎月1万3,000円返済します。
| 確認する表 | 奨学金の扱い |
|---|---|
| 店の損益計算書 | 経費に入れない |
| 生活費を含む資金繰り | 生活費から返済する |
| 創業計画書 | 個人の借入として残高と返済額を書く |
返済状況を確認しておく
- 現在の借入残高
- 毎月または年間の返済額
- 完済予定の年月
- 返済の遅れがないか
- 返済予定表や明細を保管しているか



個人の借入を隠しても、返済負担は消えない。
残高と年間返済額を正確に書き、開業後の生活費から返済できることを示す。
奨学金返済は店の経費ではない。損益計算書へ入れず、生活費を含む資金繰りで確認しましょう。



借入があることよりも、金額を把握せず、返済できるか説明できないほうが問題なんだね!
第7章|「必要な資金と調達方法」の金額を一致させる





いよいよ開業資金だね。
厨房機器、工事、物件、仕入れ……必要そうなものを全部足して、足りない分を融資で借りればいいのかな?



基本的な考え方は合っています。
ただし、創業計画書では「何にいくら使うのか」と「そのお金をどう用意するのか」を左右で一致させなければなりません。
設備をそろえたあと、営業を続けるための運転資金も忘れずに計上します。
必要な資金は2つに分ける


「こむぎ」の必要資金
| 使いみち | 金額 |
|---|---|
| 内装工事・製造区画 | 290万円 |
| 外看板 | 58万円 |
| 厨房設備・製菓用オーブン | 210万円 |
| 什器・備品・広告など | 70万円 |
| 物件取得費 | 41万円 |
| 運転資金 | 131万円 |
| 合計 | 800万円 |
- 仕入れ・家賃・固定費などの約3か月分
- 内装工事中に発生する空家賃
- 開業準備中の予備費
調達方法も合計800万円にする
「こむぎ」では、必要な800万円を次の方法で用意します。
| 調達方法 | 金額 |
|---|---|
| 代表者の預金 | 200万円 |
| 夫からの贈与 | 100万円 |
| 日本政策金融公庫からの借入 | 500万円 |
| 合計 | 800万円 |



必要な資金800万円と、調達する資金800万円が一致しています。
自己資金は合計300万円で、必要資金に対する割合は37.5%です。
創業計画書への記入例
必要な資金
| 区分 | 内訳 | 金額 |
|---|---|---|
| 設備資金 | 内装・製造区画 | 290万円 |
| 設備資金 | 外看板 | 58万円 |
| 設備資金 | 厨房設備 | 210万円 |
| 設備資金 | 什器・備品・広告等 | 70万円 |
| 設備資金 | 物件取得費 | 41万円 |
| 運転資金 | 仕入・家賃・固定費等 | 131万円 |
| 合計 | 800万円 |
調達方法
| 区分 | 金額 |
|---|---|
| 自己資金 | 300万円 |
| 日本政策金融公庫からの借入 | 500万円 |
| 合計 | 800万円 |
金額の根拠を補足資料で見せる
| 創業計画書に書く | 補足資料で見せる |
|---|---|
| 内装工事290万円 | 工事内容と見積書 |
| 厨房設備210万円 | オーブンなどの設備一覧 |
| 運転資金131万円 | 3か月分の経費と空家賃 |
| 自己資金300万円 | 預金と贈与の内訳 |
| 借入500万円 | 返済期間と毎月の返済額 |



自己資金については、金額だけでなく、通帳などで資金の流れを説明できるようにします。
夫から受け取った100万円を贈与として扱うなら、返済が必要な借入と混同しないように整理してください。
自己資金に一律の合格ラインはない



日本政策金融公庫の現在の創業融資では、一律の自己資金要件は設けられていません。
ただし、自己資金が不要という意味ではありません。
自己資金をどのように準備したのか、借入後も無理なく返済できるかを、事業計画全体で説明する必要があります。



必要資金と調達方法の合計は、必ず一致させる。
設備に800万円を使い切る計画では、開業後の支払いができない。
設備資金669万円と運転資金131万円に分け、売上が安定するまでの現金を残す。



店を完成させるお金だけじゃなくて、完成した店を動かし続けるお金まで用意するんだね!
第8章|「事業の見通し」に売上・経費・利益を記入する





最後は売上と経費の計算か。
通常月の売上は79万円だから、創業計画書にも「売上79万円」と書けば完成だね!



売上だけでは、返済できる事業なのか判断できません。
売上高、売上原価、経費、利益をセットで記入し、それぞれの金額をどのように計算したのか説明します。
創業直後と、営業が軌道に乗ったあとの違いも分けて考えましょう。
「こむぎ」の通常月の売上
| 売上の種類 | 計算方法 | 月間売上 |
|---|---|---|
| 店の売上 | 22人×客単価1,336円×25.9日分 | 約76.1万円 |
| Uber Eats | 1年目の月平均 | 約1万円 |
| ネット通販 | 1年目の月平均 | 約2.1万円 |
| 合計 | 約79万円 |
創業直後と通常月を分ける



開業した月から、毎月79万円を売り上げられるとは限りません。
「こむぎ」は、開業直後の売上を通常月の80%とし、その後いったん売上が下がり、常連客が増えて10か月目に通常の水準へ達する計画です。創業計画書では、1年目の月平均と、軌道に乗った通常月を記入します。
創業計画書への記入例
金額は、事業計画書の年間損益を月平均へ直し、万円単位に丸めた記入例です。
| 項目 | 創業当初・1年目平均 | 軌道に乗ったあと |
|---|---|---|
| 売上高 | 63万円 | 79万円 |
| 売上原価 | 18万円 | 22万円 |
| 人件費 | 0円 | 0円 |
| 家賃 | 10万円 | 10万円 |
| 支払利息 | 1万円 | 1万円 |
| その他の経費 | 17万円 | 20万円 |
| 利益 | 17万円 | 26万円 |
売上高の算出根拠
記入例
店舗売上は、1日22人×客単価1,336円×営業日数25.9日分で月約76.1万円を見込みます。Uber Eatsは月1万円、焼き菓子のネット通販は月2.1万円を見込み、軌道に乗ったあとの月商を約79万円としました。1日22人は、商圏・競合店・店前通行量の調査結果から設定しています。
売上原価と経費の算出根拠
経費には、次の費用を計上します。
| 区分 | 主な内容 |
|---|---|
| 変動費 | 決済手数料、販売手数料、包装資材、水道光熱費など |
| 固定費 | 家賃、通信費、広告費、保険、修繕、減価償却費など |
| 支払利息 | 公庫から借りる500万円の利息 |
| 人件費 | ワンオペのため0円 |
記入例
売上原価は、商品別の原価計算から売上の約28%としました。家賃は月9.9万円です。その他の経費には、水道光熱費、決済・販売手数料、包装資材、通信費、広告費、保険料、修繕費、減価償却費を計上しています。開業時は代表者1人で営業するため、人件費は0円です。
生活費と借入元金は利益から支払う



個人事業主本人の生活費は、店の経費にはなりません。
借入金の元金返済も、損益計算書の経費には含めません。
そのため、創業計画書で利益が出ていても、生活費と元金返済後に現金が残るとは限りません。
| 確認する数字 | 「こむぎ」の計画 |
|---|---|
| 損益分岐点売上高 | 月約34万円 |
| 生活費・元金返済を賄う必要売上高 | 月約73万円 |
| 通常月の売上 | 月約79万円 |



「こむぎ」は1年目から事業利益が黒字です。
ただし、1年目は生活費と元金返済後の年間資金収支が約77万円のマイナスになります。
この不足は、開業時に確保した運転資金で補います。
2年目からは、生活費と元金返済後の年間資金収支もプラスへ転じる計画です。
詳しい数字は補足資料で見せる
| 創業計画書に書く | 補足資料で見せる |
|---|---|
| 創業当初と通常月の売上 | 1年目の月別売上計画 |
| 売上原価と経費 | 5年間の損益計算書 |
| 月間利益 | 生活費を含む5年間の資金繰り |
| 売上の計算根拠 | 客数・客単価・営業日数 |
| 返済できる見通し | 元金返済後の現預金残高 |



創業計画書の利益と、自由に使える現金は同じではない。
創業計画書には、売上、原価、経費、利益を書く。
生活費と借入元金を支払っても店を続けられるかは、補足資料の資金繰り表で示す。



「黒字になる」だけじゃなくて、その利益から生活費と借入返済を出しても現金が残るかまで確認するんだね!
第9章|書ききれない根拠は補足資料で見せる



創業計画書には、必要なことを短く書けたよ。
でも、せっかく作った26ページの事業計画書も全部見せたいな。
資料は多いほど、本気度が伝わるんじゃない?



ページ数が多ければ、説得力が上がるわけではありません。
大切なのは、創業計画書に書いた結論と、その根拠がすぐにつながることです。
「こむぎ」の事業計画書は、創業計画書だけでは説明しきれない内容を補う資料として使います。
創業計画書と補足資料の対応表
補足資料の最初に、どのページを見れば根拠が分かるのかを示します。
| 創業計画書の欄 | 補足資料の内容 | ページ |
|---|---|---|
| 創業の動機 | 創業の動機と店のコンセプト | 4 |
| 経営者の略歴等 | 経営者の経歴 | 5 |
| 取扱商品・サービス | 商品と価格・焼き菓子・客層・商圏 | 7〜10 |
| 取引先・取引関係等 | 従業員と取引先 | 11 |
| 従業員 | ワンオペ体制と提供能力 | 11 |
| お借入の状況 | 自己資金と借入の状況 | 12 |
| 必要な資金と調達方法 | 必要資金800万円の内訳 | 13 |
| 事業の見通し | 売上・利益・生活費・返済 | 3・14〜17 |
| 事業の見通しの数表 | 損益・資金繰り・月別計画 | 22〜24 |


書式にない情報も補足できる
創業計画書には、店のリスクや開業後の管理方法を詳しく書く欄がありません。
そこで、次の内容を補足資料へ加えます。
| 補足する内容 | ページ | 伝えられること |
|---|---|---|
| 店舗・許認可 | 6 | 必要な許可と設備を把握している |
| 撤退基準 | 18 | 売上が計画を下回ったときの判断基準 |
| リスクと対策 | 19 | 体調不良や原価上昇への備え |
| 開業スケジュール | 20 | 融資から開業までの手順 |
| 3年後の展望 | 21 | 焼き菓子の定期便と卸売の計画 |
| 月次実績シート | 25 | 開業後に計画と実績を比べる方法 |












創業計画書には結論、補足資料には計算過程
同じ内容を、両方の書類へ長く書く必要はありません。
| 創業計画書 | 補足資料 |
|---|---|
| 月商79万円 | 客数・客単価・営業日数の計算 |
| 1日22人 | 商圏・競合・時間帯別の需要 |
| 必要資金800万円 | 設備と運転資金の内訳 |
| 自己資金300万円 | 預金と贈与の内訳 |
| 借入500万円 | 返済期間と5年間の残高 |
| 通常月の利益26万円 | 5年間の損益計算書 |
| ワンオペで営業 | 時間帯別の注文数と提供能力 |







創業計画書だけを読んでも、事業の全体像が分かるようにします。
そのうえで「この数字はどうやって出したのか」と思ったときに、補足資料で根拠を確認できる構成にします。
提出前に数字を照合する
- 店名、代表者名、所在地、開業予定日
- 必要資金の合計
- 自己資金と借入金額
- 主力商品の価格
- 1日の予測客数
- 客単価
- 通常月の売上
- 売上原価と経費
- 月間利益
- 借入金の返済額
添付資料もそろえる
必要に応じて、事業計画書とは別に、金額や準備状況を確認できる資料を用意します。
- 内装工事や厨房設備の見積書
- 物件の資料
- 店舗の平面図
- メニュー案
- 自己資金を確認できる通帳
- 借入金の返済予定表
- 許認可の相談記録や申請状況



創業計画書が主役で、事業計画書は根拠を見せる補足資料。
創業計画書には結論を書き、補足資料には計算過程を書く。
対応表を付け、同じ数字でつなげれば、26ページあっても必要な根拠をすぐに確認でます。



全部読んでもらう前提で詰め込むんじゃなくて、知りたい数字の根拠へすぐ移れるようにするんだね!
まとめ|完成した事業計画書を創業計画書へ落とし込もう



事業計画書と創業計画書は、別々の事業を考える書類ではありません。
詳しい事業計画書から、融資判断に必要な情報を抜き出し、日本政策金融公庫の創業計画書へ短くまとめます。
書式に入りきらない商圏分析、売上の計算、5年間の収支計画は、補足資料として提出します。



創業計画書には結論を書く。
事業計画書には、その結論に至った根拠を残す。
店の名前、客数、売上、必要資金、借入額を一致させれば、2つの書類が一つの計画としてつながる。
- 事業計画書は、店の内容と経営計画を詳しく整理する書類
- 創業計画書は、融資に必要な情報を所定書式へまとめる書類
- 完成した事業計画書から、公庫の各欄に必要な情報を抜き出す
- 創業計画書には結論、補足資料には数字の根拠を書く
- 生活費と借入元金は経費にせず、資金繰り表で確認する
- 提出前に、創業計画書と補足資料の数字を照合する



まずは創業計画書の各欄に、事業計画書の何ページを使うのか書き出してみるよ。
あとは必要な部分を短くまとめれば、また最初から考え直さなくていいんだね!



